ソフロロジー式分娩
「自然分娩による安心のお産」をモットーにソフロロジー式分娩(超痛分娩)を取り入れている産婦人科専門医
2017/07/04
ソフロロジー式分娩(超痛分娩)で出産の苦痛・不安をプラス思考へ
分娩における生命の危険は、母体及び退治にとって最大の脅威であり、またそれに伴う痛み、つまり陣痛は妊産婦にとって大きな恐怖です。知らないことから生じる恐怖・緊張を和らげ、より良い分娩に導く為に妊娠・分娩に関する正しい知識を勉強してもらうのが分娩準備教育です。
ソフロロジー法は、1960年スペインの精神神経科医アルフォンソ・カイセド博士によって創案された思想で、物事を全て良い方に捉え前向きな思考の方向(プラス思考)へと進ませる方法です。 西洋風のリラックス法と東洋古来のリラックス法(禅・ヨガ)を巧みに組み合わせて考案された積極的リラックス法を柱とするソフロロジー法は、1976年フランスのジャンヌ・クレフ博士によって始められ、ヨーロッパではすでに今主流になった出産法です。
積極的リラックス法を用いて、物事を全て良い方にとらえ前向きな思考の方向(プラス思考)へと進ませるソフロロジー式分娩教育は、1987年熊本の松永博士が初めて日本に紹介されました。 まさに九州で起った新しい出産法が、波のように日本全国に広がろうとしています。
人間の意識段階は、①覚醒状態
②睡眠状態
③ソフロリミナル状態
の3つに分けられます。
ソフロロジー式分娩では陣痛時においても、③のソフロリミナル状態、つまり肉体的にも精神的にもとてもリラックスして落ち着いた状態を求めています。 そして、このような状態に導くための手段として、分娩に初めてイメージトレーニングを取り入れました。 イメージトレーニングは精神的な影響を受けやすい妊娠、分娩に素晴らしい効果をもたらしています。
イメージすることはとても簡単です。実はみんな知らず知らずのうちにいつも行っていることです。それをほんの少し意識的に行うことにより、安産の手段として役立てていきます。 分娩のイメージトレーニングでは、常にお腹の赤ちゃんをイメージすることが大切です。 お腹の赤ちゃんを愛しいと想う心の積み重ねが、母性を育み、陣痛でさえも苦痛ではなく子宮口の開大、胎児の下降・回旋を促す為に必要なエネルギーとして、肯定的に受け入れられるようになります。 このため、ソフロロジー式分娩は超痛分娩とも言われています。 分娩は実に静かに進行し、赤ちゃんが誕生した瞬間、母親は赤ちゃんとの最初の共同作業が無事終わったという喜びと充実感を学ぶことにより、きっと素晴らしい、感動に満ちた分娩を体験なさることと思います。
出産に対してよりポジティブになれるソフロロジー法は不安を乗り越える助けに
そもそも出産は、分娩のときだけを無事に過ごせればいいわけではありません。おなかの中の“命”を赤ちゃんと意識して、母親になるスタート地点でもあるのです。いま、少なからず不安を感じているなら、まずはおなかの赤ちゃんにどんどん話しかけてあげましょう。
できれば健診の度に心音を聞かせてもらったり、超音波で感じてください。 そうすることで、自分の中でだんだん出産をするんだ、母親になるんだということがイメージできてくるはずです。 そうやって母性をはぐくみ、また、「出産は、ママと赤ちゃんの初めての共同作業」「陣痛は、赤ちゃんを生み出すための大事なエネルギー」というように、出産に対して前向きに考えられるようにしていく方法を、「ソフロロジー式分娩」といいます。 さらにソフロロジーでは、リラックスできる音楽を聞きながら、呼吸法を練習したり、テープの語りかけに誘導されながら、出産の様子をイメージトレーニングしていきます。 その積み重ねが母性をますます強くし、やがて、陣痛や分娩への「不安・避けたい」という気持ちが、「大丈夫・受け入れよう」というように、ポジティブに変わっていくのです。当クリニックでも、「ソフロロジー式分娩」を推奨していますが、出産後のアンケートでは、「ソフロロジーでの出産に満足した」と答えてくれた患者さんが90%以上でした。
出産に対して前向きに、積極的になることで、不安を少なくしていく・・・・・・・これも安産のための大切な考え方です。
ソフロロジー式分娩はポジティブにお産を考える新しい出産スタイル
ソフロロジーでは物事すべてをあるがままに、前向き(ポジティブ)にとらえます。 その目的は、妊娠中から豊かな母性をはぐくみ、出産、育児へとつなげていくこと。 陣痛についても前向き思考です。陣痛は赤ちゃんを生み出すための大事なエネルギー。そして出産は赤ちゃんとお母さんが行う初めての共同作業。人生のなかで意義深い、エキサイティングな経験にするために、お母さんにだけ与えられたこの大事なエネルギーを最大限に生かしましょう。 痛みに抵抗したり押さえ付けたりせず、あるがままに受け入れて乗り切ることで、お産の不安や恐怖心は消え、痛み自体も軽く感じられるようになるのです。 妊娠中から積極的に、お腹の赤ちゃんを中心に考え暮らすことで、女性が本来持っている母性がより強くはぐくまれ、本当の意味での「お母さん」になっていくのです。これがソフロロジーのベース「母性の確立」です。
当院のフロロジー式分娩について
・妊娠中はテープやCDを聴いてイメージトレーニング
心のふれあいを大切にする温かさと、経験ゆたかな産科医院としての確かな技術。スタッフ体制も万全で、栄養士や調理師も活躍。15床というベット数の医院としては充分すぎるほどの内容によって、安心と信頼のマタニティーを可能にしています。
・精神的リラックスを身体と心で実感します。
ソフロロジー出産は自然な流れのなかで、自分の力によって進める自律出産です。そのため、より深くリラックスすることが大事なポイント。ピンク色の元気な赤ちゃんが自然に出てくる力を生かせるよう、お母さんは、心と体でリラックスをはかります。より深いリラックスが実感できるよう(精神的リラックス)、ソフロロジー出産では日本人に馴染みやすい東洋の禅やヨガを、さまざまなエクササイズに組み入れています。
・呼吸法は、ゆっくりと深く吐くのがポイントです。
実際の出産で最もリラックスに効果があるのは呼吸法。心強い味方です。妊娠中から深くゆっくりとした呼吸で、心と体がゆったりと落ち着く方法をマスターしておくと、お産の時もリラックスして乗り切ることができます。
・あぐらが基本のポーズ
ソフロロジーでは「あぐら」が基本のポーズ。妊娠中のトレーニングから出産まで幅広く用います。イメージトレーニングや呼吸法の練習では、気持ちを安らげると同時に、妊婦さんにとって出産に大切な骨盤底筋肉を自然に鍛える効果も上げられます。
出産では病院や陣痛室で過ごす分娩第一期をあぐらで過ごします。リラックスして上半身を立てる姿勢は、赤ちゃんが早く降りてきやすく、子宮の開きを進めます。そして分娩台では、あぐらのバリエーションとも言える座産スタイル。いきみやすく、赤ちゃんを自分の目で見て迎えられるというプラス面もあります。
無痛分娩の危険性とソフロロジー分娩による安心のお産
最近では出産時の痛みを和らげる為に、無痛分娩を選択される患者さんも増えてきています。 しかし、無痛という安易なイメージのみで無痛分娩を選択することは非常に危険です。 無痛分娩にはメリットと同時に母子ともにデメリットやリスクもあります。 また麻酔に対するクリニックの環境・対策によっても非常に左右されますので、リスクやクリニックの環境をしっかりと理解・把握した上で判断することが大事です。
当院では母子ともに自然に分娩することが一番だと考えています。 「自然分娩による安心のお産」をモットーとする当院が実践しているのは、優秀なスタッフ体制や先端機器の導入と、快適なホスピタリティー。産科医としての総合的なバランス力こそが、生まれてくる生命への敬意と感謝につながると私達は自負しています。