狭心症
予防と早期発見をモットーとし、循環器内科を中心に、一般内科から生活習慣病外来まで幅広く対応する循環器内科のスペシャリスト
2018/01/11
- 経歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 九州大学病院 循環器内科 入局
- 九州厚生年金病院(現JCHO 九州病院)、九州大学病院にて研修
- 飯塚病院 循環器内科
- 北九州市立医療センター 循環器科内科
- 直方中央病院 (現JCHO 福岡ゆたか中央病院)
狭心症は心筋梗塞の前段階となる病気で、特に注意が必要です。
当院では循環器内科を設けており、高血圧や高脂血症といった生活習慣病の管理から、狭心症や心筋梗塞の診断、治療も行っています。
狭心症の症状としては下記が挙げられます。
- ・胸が痛むがしばらくすると収まってしまう
- ・動悸がする
- ・動くと息切れがする
- ・歩くと足が痛い
- ・寝ているときに息苦しい
- ・健康診断で血圧やコレステロール値が高いと言われた
これらは狭心症と言って、心臓の血流が不足して起こる病気です。
心臓は休みなく全身に血液を送り出すポンプの役割をしていますが、このポンプ作用を休みなく行うためには、心臓に充分な酸素と栄養を届ける必要があります。その役割をしているのが心臓冠動脈です。
心臓冠動脈は心臓の外側に枝分かれして張り付くように巡っている血管です。この血管が、心臓が休まずに働き続けるために、酸素と栄養を届けています。しかし、この血管が狭くなり、血流が少なくなり、酸素と栄養が不足することがあります。
心臓冠動脈が酸素と栄養を充分に届けることができなくなると、心臓は動けなくなります。そのため、胸の痛みや重苦しい感じが生じますが、15分ほどの短時間で消えてしまいます。これが狭心症です。
この時、心臓冠動脈の内側はとても狭くなっています。狭くなる理由は、高血圧や糖尿病で血管に負担がかかり続けて、血管がもろくなっていることや、高脂血症で脂質が多くどろどろの血液が、血管を詰まらせやすくなっていることなどです。
狭心症が悪化すると心筋梗塞が起こります
狭心症は、一時的な心臓冠動脈の詰まりで、短時間で解消されますが、詰まったままになると、酸素と栄養が届かない心臓の細胞が壊死を起こします。この状態が心筋梗塞です。心臓の冠動脈に血液が不足している状態が一時的な場合を狭心症、完全に詰まってしまった状態を心筋梗塞と呼び、合わせて虚血性心臓疾患を言います。
狭心症はこんな検査・治療をします
胸の痛みや動悸などで受診すると、狭心症と診断するために主に以下の3つの検査をします。
- ①心電図
- ②心エコー
- ③血管進展性検査
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①心電図
心電図は、胸と両手と両足に電極をいくつかつけて行う検査です。心臓は規則正しく脈を打ち、血液を全身に送り出すポンプの役割をしていますが、このリズムは心臓の中で作られる小さな電気信号によって刻まれています。この電気信号を読み取るのが心電図検査です。
狭心症や心筋梗塞の場合を含め、さまざまな心臓疾患の異常は、この電気信号に異常をきたしますので、心電図に現れることになります。しかし、狭心症は一時的な発作症状ですので、短時間の心電図には異常が記録されないこともあります。こんな時に行うのが、運動負荷心電図やホルター心電図検査です。
運動負荷心電図は、運動時に起こりやすいとされる狭心症の症状を、検査で再現します。階段昇降運動や自転車をこぐ、トレッドミルなどを行い、運動後の心電図に異常が見られるかを調べます。
ホルター心電図は、小さな携帯型の記録装置を電極につなぎ、24時間の心電図を記録することのできる検査方法です。これらの心電図検査で異常が見つかった場合、心エコー検査も行います。
②心エコー(心臓超音波検査)
超音波とは、人の耳には聞き取れない高い周波数の音のことを指します。超音波を胸に当てて、血球に当たって跳ね返ってきます。これを読み取ると、血液の動き方や速度、心臓の大きさや形、動き方、心臓の壁の厚みまでわかります。
狭心症は、心臓冠動脈が詰まりやすくなる、一時的に詰まってしまう病気ですので、血管の様子がよくわかる心エコーはとても大切な検査です。
③血管進展性検査
血管年齢を調べる検査です。両手と両足で血圧を測り、血管の硬さ(弾力性)と詰まりの程度(ABI)から血管年齢を算出します。
狭心症の原因となるのは、主に高血圧や糖尿病、高脂血症であると先に述べましたが、これらは生活習慣病と呼ばれます。長い年月の生活習慣が体の負担となり、積もり積もって体に異常を起こしているのです。そのため、治療はまず、生活習慣の改善から行います。
・食生活の改善
血管に負担をかけない食生活を心がけましょう。塩分や糖分、脂肪分を控えめに、バランスのよい食事をとりましょう。炭水化物の摂りすぎ、食べ過ぎには注意しましょう。
・適度に運動しましょう
定期的に適度な運動を行いましょう。運動と言っても厳しいものではなく、ウォーキングや水泳、サイクリングや水中ウォーキング、ランニングなどの有酸素運動を、あまり息が上がらない程度に30分以上続けるのがおすすめです。
時間が取れないという方は、外出先のエスカレーターを階段で上る、バスの停留所を1つ手前で降りて歩くなどでも効果的です。好きなスポーツを見つけて取り組むのも良い方法です。運動すると血流が増え、血管の柔軟性も増し、血管年齢の若返りも期待できます。
・ストレスを減らしましょう
ストレスとは、心理的なストレスだけでなく、疲労や睡眠不足なども含まれます。イライラしない、焦らない、怒らないなどの心理的な対処法と、休息をしっかりとる、しっかり食べる、しっかり寝るなどの規則正しい生活も大切です。
・禁煙
タバコには血管を収縮させ、血管の内側を傷つけ、血液をドロドロにしてしまう成分が含まれています。いずれも、心臓冠動脈には大きな負担となるものです。喫煙している人は禁煙しましょう。
・投薬治療
上記の生活改善を行った上で、必要に応じて薬物治療も行います。主に血管拡張薬とβ遮断薬、アスピリンなどを使用します。血管拡張薬は、心臓冠動脈を広げて、血流を増やし、全身の血管も拡張することで、心臓への負担を軽くしてくれます。
β遮断薬は、血圧を下げることで心臓への負担を軽減します。アスピリンは、動脈硬化を予防し、血栓を作りにくくして、狭心症を起こりにくくします。
これらの治療を、月に1〜2回のご来院で行っていきます
当院では手術治療後の管理も行っています
狭心症や心筋梗塞には、詰まった部分の心臓冠動脈に細い管を入れて固定し、血管の内側から支えるステント治療という手術が行われることがあります。他にも狭心症や心筋梗塞の手術治療はありますが、いずれの手術後の管理も行っています。
時代は医療に予防と早期発見を求めています。私たち医師はこれに応えなければなりません。心筋梗塞の予防のための狭心症治療、狭心症予防のための生活習慣病の管理。早期発見は患者さんの生活の質を落とさずに病気と向き合っていく、大切なきっかけです。
早期発見のためには、迅速で正確な診断が必要です。当院では診断に必要な検査を行うために、高性能な検査機器を完備しています。しかし、行き過ぎた検査は患者さんの心身、経済両面への負担を考慮して控えておりますので、ご安心ください。
患者さんはご自分のお体の様子に不安になってご来院しますので、小さな不安や疑問にも、医師、スタッフ皆で丁寧に答えていきます。温かく話しやすい、アットホームなクリニックを目指しておりますので、どうぞお気軽に遠慮なくお尋ねください。