ヘルニアの専門医インタビュー (亀山整形外科医院)

ヘルニア

傷が小さく術後の痛みも少ないヘルニアの手術法・MED(内視鏡下ヘルニア摘出手術)で、患者さんの負担を軽減

亀山 博生先生

2017/10/20

MEDICALIST
INTERVIEW
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亀山整形外科医院
亀山 博生 院長
Hiroo Kameyama

  • 日本整形外科学会専門医
  • 日医スポーツ医
  • リウマチ財団登録医
  • リハビリテーション認定医
  • 脊椎脊髄病認定医
  • 日医産業医
経歴
  • 1977年 熊本大学医学部卒業(宮崎市出身、ラ・サール高卒)、聖路加国際病院(東京)にて麻酔学・救急医療を2年間研修
  • 1980年 九州大学整形外科にて脊椎外科・膝関節外科・手の外科・先天性疾患等を学ぶ
  • 1983年 福岡県古賀市(当時:古賀町)の国立福岡東病院(現 福岡東医療センター)にて整形外科医長を担当。古賀の風土・人柄の良さに魅せられ、当地での開業を決意
  • 1989年 亀山整形外科開院

腰痛はまさに国民病。正確な診断で重症化を避ける

腰痛について説明

腰痛は椎間板ヘルニアが原因のことも。専門医の診断と適切な治療が回復への近道です。

日本人の体の悩みで一番多いのは腰痛です。推定で1200万人以上が患っていると考えられており、まさに国民病と言えます。しかし、これほど多い腰痛ですが、どうも軽くとらえられている傾向があるようで、腰痛を抱える人の10~20%しか病院やクリニックを受診していないようなのです。重症化してから受診すると、行動や動作が制限されている状態で、生活の質の低下は避けられませんし、治療も大掛かりなものになりがちです。

腰痛は、痛みに波があることが多いです。痛みが強まり、動かせなくなる、しかし、安静にしていると腫れや痛みが引いて動けるようになる。だから、受診せずに済ませてしまう。でもこれは、治ったわけではないので、いずれまた、痛みが出るでしょう。

もちろん、腰痛の治療の第一は、痛みを感じたら無理をしないということですので、間違った対応をしているわけではありません。腰痛には、実は原因がいろいろあります。原因ごとに治療法も異なりますので、ぜひ、整形外科専門医を受診して、原因を突き止め、症状に応じた内服薬や牽引、ブロック注射やコルセットといった治療を受けられるのがおすすめです。

腰痛は悪化します。痛みの波がある中で、一度引いた痛みも、再発したときは前よりも強まっていることが多いのです。無理を重ねて休むべき時に休まない、あるいは休めない上に、受診しないで放置していると、重症化は避けられません。いずれはしたくもない手術をせざるを得なくなるでしょう。

痛みが引いても治ったということではありませんので、ぜひ整形外科専門医を受診してください。さらに、痛みをかばって、痛みがある方の足を浮かせて歩くなどしていますと、姿勢から背骨も歪んでしまいます。自己流で対処せず、整形外科にて正確な診断を受け、適切な治療を受けることが、腰痛解消への近道です。

腰痛の手術というと、以前は1ヶ月入院して、手術後数日は寝たきりというものが多かったのですが、今は手術翌日には歩行練習が行えて、術後2日間で歩けるようになり1週間で退院できるようになっています。これは手術方法が革新されたおかげです。当院では、最新の手術方法であるMED(内視鏡下ヘルニア手術)を行っています。

椎間板ヘルニアが原因の腰痛もあります

椎間板ヘルニアについて説明

ヘルニアは、飛び出しているという意味のラテン語ですが、圧迫などに耐えられず、内臓や軟骨などが本来の位置から飛び出してしまい、周囲の内臓や神経に障害する病気です、腰痛の原因となるヘルニアには、椎間板ヘルニアがあります。

椎間板ヘルニアは、背骨の腰辺りに椎体骨という骨がいくつかあり、その骨と骨の間でクッションの役割をしている軟骨を椎間板と言います。この椎間板が飛び出してしまい、神経を圧迫して痛みが生じるヘルニアが椎間板ヘルニアです。発症する年代は幅広いのですが、特に20~40代の男性に多く見られます。

椎間板ヘルニアは、椎体骨の間から飛び出した軟骨(椎間板)が神経を圧迫して、腰から足、つま先に痛みや麻痺、しびれが起こりますが、ヘルニアがどの骨の間で起こっているのかによって、症状が出る部位が変わります。

一番上の椎体骨である第一頚椎と第二頚椎の間のL1/2と呼ばれる椎間板でヘルニアが起こると、股関節全面に痛みが出ます。L2/3ならば大腿全面に痛みやだるさ、しびれが出ます。L4/5は椎間板ヘルニアの中で最も症状が出やすい箇所で、おしりから大腿の脇の方と、膝から下や脛の外側に痛みやしびれが出ます。このため、この部分でヘルニアが起こると、親指に力が入らなくなったり、かかとをつけなくなったりします。一番下の仙骨との間であるL5/Sは、おしりの中央から真下、足の裏側から小指にかけて症状が出ます。

また、ヘルニアが飛び出す方向によっても痛みの出る場所が変わります。右に飛び出れば右半身に、左に飛び出れば左半身に痛みやしびれが出ますが、それだけではなく、そちら側の足の筋力低下も起こります。そのため、片足をかばって行動しているうちに、背骨がゆがむということも起こってくるのです。

術後3日安静は昔のこと。MED治療(内視鏡下ヘルニア摘出手術)は体に優しい

さて、痛みが強くて歩けない、姿勢がゆがんでしまう、など重症化してしまうと、手術が必要になります。腰痛の手術というと、1ヶ月間入院、術後3日は絶対安静など、とても大掛かりで危険なイメージがありますが、それはもう昔のことです。

当院で行っている最先端の手術は、MED治療と言って、直径16㎜の穴を1ヶ所のみ切開して行います。従来の方法ですと、皮膚を10~15㎝切開し、椎間板に到達するために健康な筋肉を切りはがして行いました。ですので、術後は筋肉が元通りになるまで安静にする必要があったのです。

しかし、MED(内視鏡下ヘルニア摘出手術)は、小さな16㎜の穴1つで手術を行い、さらに、健康な筋肉を傷つけることなく行いますので、体にとても優しい手術なのです。

部分麻酔で1〜2時間。体に優しいMED治療

手術は横向きで、硬膜外麻酔という部分麻酔で行います。手術はまず、レントゲンでヘルニアの位置を正確に確認して始まります。手術を始めると、まず、皮膚の1ヶ所を16㎜切開します。そしてそこに4㎜のガイドという細い管を差し込みます。次にそのガイドの上から少し太い管を差し込み、穴を少し押し広げます。さらにもう少し太い管を複数回差し込んで、16㎜まで筋肉を押し広げたら、内視鏡を挿入します。

挿入した内視鏡カメラは、ぐるりと回して360度見ることができ、最適な位置で固定します。カメラで見る画像は肉眼よりも大きく明るくクリアに見ることができます。また、穴は1ヶ所のみで行いますので、鉗子と呼ばれる手術道具を、さまざまな形や用途のものをいくつも使います。

手術は、内視鏡で確認したヘルニアを、椎間板から飛び出た部分のみ切除して摘出します。神経に癒着していることもありますので、その場合は癒着部分の切除摘出も行いますが、1〜2時間ほどで完了します。

手術を受けた患者さんは、激痛が嘘のように消える、手術後5時間で傷の痛みのみで、ベッドの上で足が伸ばせる、歩行器が必要だったのが痛みなく自分で歩けると、みんな驚かれます。皆さんが口をそろえておっしゃるのが、もっと早く手術すればよかったということです。

私はここにもう一言付け加えたいと思います。腰痛を感じた時点でできるだけ早く受診し、正確な診断と必要な治療を受けましょう、と。早期治療で手術の必要がなくなる場合も多いのです。

MED治療は、すべて保険適用ですので、3割負担10万円ほどで受けられる手術です。入院費も含めて15万円ほどになります。高額医療の適用も受けられます。

腰痛は何といっても、正確な診断のもと、必要適切な治療を受けることが、重症化を防ぐために必要なことです。自己流の対処で我慢なさらず、整形外科専門医を受診してご相談ください。