糖尿病の専門医インタビュー (田川内科医院)

糖尿病

慢性疾患に安心の専門医療を。糖尿病外来に注力する「糖尿病」の専門医

田川 暁大先生

2017/01/13

MEDICALIST
INTERVIEW
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田川内科医院
田川 暁大 院長
Akihiro Tagawa

  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本糖尿病学会専門医
  • 医学博士、等
経歴

1998年、山形大学医学部卒業ののち、横浜市立大学大学院医学研究科博士課程修了。呼吸器内科を専門とし、神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科等で研鑽を積む。その後、糖尿病内科との出会いから糖尿病専門医を取得。呼吸器内科および糖尿病内科専門医として、海老名総合病院糖尿病センター、景翠会金沢病院内科・糖尿病内科等、神奈川県下の病院で数多くの患者の診療にあたる。専門医としてのキャリアを生かし、患者一人ひとりに身近で、かつ質の高い医療を提供すべく2016年9月、「田川内科医院」を横浜市金沢区能見台に開院した。

地域に根ざす質の高い医療をより身近な場所で提供すべく開業

駅から徒歩でも楽に通える糖尿病内科専門クリニック

田川内科医院の受付

2016年9月に開院しました。ここは金沢区能見台という地区なのですが、金沢区での医療に携わるようになって、横浜市立大学病院大学院時代から数えると、おそらく16年ほどになるでしょうか。この周辺地区は、医師として成長させていただいた場所であり、患者さんとの思い出もたくさんあります。開業準備の段階から、場所としては研鑽を積んだこの地域が希望でした。

また、能見台駅付近は、私のように糖尿病内科、呼吸器内科を専門にしていらっしゃる先生が少ないんですね。診療の対象は慢性疾患が中心ですから、スムーズに通える場所に専門クリニックがあったほうが患者さんにとって便利というのと、病診連携もスムーズに行えるので安心いただけるだろうと考えたのも大きな理由です。

日常に病気リスクが潜む。慢性疾患と生活について

院長 田川暁大

日本人の5人に1人がかかる糖尿病

誰もが知る糖尿病ですが、非常に難しい病気だといえます。それは、多くの方が「自分は糖尿病ではない」と感じながら罹患してしまうからです。2008年のメタボ健診の義務化以降、罹患率は落ち着いたともいわれていますが、現在でも潜在患者を含めると日本人の5人に1人が糖尿病患者だと推測されています。

糖尿病は大きく1型、2型に分類され、一般的に知られるのは2型。患者さんの約9割がこのタイプの糖尿病です。発症の要因は、暴飲暴食や運動不足、不規則な生活など、生活習慣に起因するものもありますが、遺伝によるケースもありさまざま。よく、中高年の病気というイメージもあるかと思われますが、患う年代も多岐にわたります。

変動しにくい血糖値に極端な異変

院長と患者さんの診療風景

糖尿病を簡単に説明すれば、すい臓から分泌されるホルモンのひとつ「インスリン」がうまく分泌されない状態です。インスリンは、人のエネルギー源になる血糖を体内のいたるところに届ける働きをしています。

血糖値は通常、食事をすれば高くなり、運動をすれば低くなりますが、その変動は一定の範囲内に収まります。しかし、先ほどのインスリンのバランスが崩れてしまうと、血糖をうまく体内に届けることができないので、血糖値が極端に高まってしまう。これが糖尿病の仕組みです。

症状で怖いのが初期では気づかないということで、痛みもなければ、不調もない。なので、重複しますが、糖尿病ではないと思ってしまう方が少なくないんですね。また、ここから治療が遅れやすい病気でもあって、クリニックに来院したときは症状が進んでいるケースも少なくなりません。そこがいちばんの怖さで、糖尿病には合併症というリスクがつきまといます。

糖尿病が悪化すれば、糖尿網膜症で目が見えなくなってしまうことや、腎臓障害で人工透析が必要になるリスクもあります。なので、早期発見・早期治療が必須の病気であるものの・・・、気づきにくい病気でもある。ここが難しさなんです。

治療では、「食事管理・運動療法」、「内服加療」、「インスリン療法」と段階がありますが、初期であればお薬を飲まず食事管理・運動療法で治療していけますので、検診で血糖値が高いと診断を受けた方は、ぜひお早めに糖尿病の検査を受けていただきたいと思います。

田川内科医院の診察室

大切なのは一人ひとりの健康意識。そこに寄与できるクリニックであるために

クリニックの受付

患者の将来の健康を支えるためのこだわり

当院のこだわりは、質の高い治療・検査環境を整えるのはもとより、いちばんは診療のなかにあると感じています。

これまでのお話しのように、糖尿病や呼吸器疾患といった病気にしても、要因は患者さんの日々の生活にある。だからこそ、病気を診るとともに患者さん一人ひとりの意識を健康に向けさせる診療が大切です。それには、「〇〇という病気なので、このお薬を飲んでください」という説明では十分ではないと考えています。

また、食事や運動にしても、呼吸器疾患に関わるタバコにしても、それらを病気だから明日から止めてください、控えてくださいというのは簡単です。しかし、それで果たして患者さんにそうしていただけるのか、確実に実行できるのかというと、そうではないと思います。もちろん、患者さん自身に頑張っていただきたいこと、生活習慣を整える重要性は繰り返しご説明します。だからこそ、一人ひとりと向き合って、病気や治療内容をわかりやすく伝え、将来の健康について共有していく。それが大切だと私は思っています。

安心でき、気兼ねないクリニックとして

糖尿病においては、まだまだ医療機関と患者さん(予備軍の方も含めて)の間に壁がある印象を受けます。症状がなければ放って置かれがちだったり、生活習慣を知られてしまうようでクリニックに足を運びづらいと思ってしまったり。しかし、再三となりますが、早め早めの対策が欠かせない病気ですので相談いただきたいということ、中断なく治療を継続していただきたいこと、また、私ども専門医としても一人ひとりがクリニックへ足を運びやすい環境をつくっていくことも使命だと感じています。

また、最後にインスリン療法について。一般的に「インスリン療法は糖尿病の最終手段」というイメージがあると聞きますが、それは正しい見識ではありません。決して早々に受ければいいというものでもありませんが、早期より治療をスタートさせることで、すい臓の温存ができ、結果、インスリン療法を離脱できる可能性もあります。

自分の体を知り、正しい情報を得て健康に向かうこと。そこに確かなお手伝いができるクリニックを、これからもめざしていきたいと考えています。何か心配事がある方は、ぜひ当院までお気軽にご相談いただければ幸いです。