消化器病専門医
肝臓、消化器の疾患の早期発見・治療に取り組む専門医
2017/11/06
大船内科・消化器内科クリニック
金原 猛 院長
Takeshi Kinbara
- 日本内科学科認定内科医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本肝臓学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 経歴
- 平成5年 浜松医科大学医学部卒業
- 平成9年 帝京大学医学部附属溝口病院第4内科
- 平成13年 東京大学医学部附属病院消化器内科
- 平成15年 大船中央病院消化器肝臓病センター
- 平成20年 東芝病院消化器内科
- 平成24年 湘南鎌倉総合病院消化器病センター
- 平成29年 大船内科・消化器内科クリニック開業
肝臓と消化器をメインに苦痛のない内視鏡を検査もおこなう内科・消化器内科
私はこれまで大学病院や地域の拠点病院で、主に肝臓病の治療に取り組んで来ました。また消化器内科医として内視鏡検査の経験も多く積んでおり、この二つの専門分野を活かして皆さまの健康に貢献していきたいと考え、このクリニックを開業いたしました。さらに風邪やウイルス性胃腸炎などの感染症、糖尿病、脂質異常、高血圧などの生活習慣病など、内科全般の幅広い病気にも対応し、地域の皆さまからホームドクターとしてなんでも気軽にご相談いただけるクリニックを目指しています。
当クリニックがモットーとしているのは、「患者さんの思い」を大切に医療をおこなっていくことです。検査でわかる病気や症状だけに注目するのではなく、患者さんにどんな悩みや不安、苦しみがあるのかをお聞きした上で、最善の治療をおこなっていきたいと考えています。そのために小さな疑問にもお答えできるよう話しやすい雰囲気づくりを心がけています。
ウイルス性から生活習慣が原因へと変わった国内の肝炎事情
以前まで肝臓の病気といえばウイルス性肝炎が中心でした。A〜E型までがあるウイルス性肝炎のうち、国内では血液を介して感染するB型、C型の患者が多く、それが社会問題ともなっていました。ウイルス性肝炎が持続すると、肝臓の機能が衰え、肝硬変、肝臓がんへと進む恐ろしい病気です。しかし、近年このウイルス性肝炎に非常に効果の高い抗ウイルス薬が開発され、治療すれば治る病気となり危険性はとても小さくなりました。
その一方で、現在は生活習慣を原因とする肝臓の病気が増えてきています。生活習慣に原因する肝臓の病気とは主に脂肪肝のことで、脂肪肝が持続するとウイルス性肝炎と同様に、肝硬変や肝臓がんになってしまう危険性があります。
いずれの原因とするものにしても肝臓はとても「沈黙の臓器」といわれていて、病気の初期に自覚症状は全くありません。肝臓による症状が出現する状況は、かなり病気が進行した時期であり、命に関わるといっても過言ではないのです。健康診断で肝機能に異常が出たら、一刻も早く専門医に相談し、精密検査を受けてください。良い薬ができて、治療も可能となったB型、C型のウイルス性肝炎ですが、実は国内に数十万人以上の感染者が気づかずに生活していると推測されています。他の人への感染を防ぎ、肝硬変など重症化することのないよう、早期の治療が必要です。
糖尿病、高脂血症など生活習慣病との関連性が強い肝臓疾患
ウイルス性の肝炎が抗ウイルス薬によって治療できるのに対して、生活習慣を原因とする肝臓病には、現在のところ有効な治療薬はありません。しかし、肝臓に大きな負担を与えるのが、飲酒や脂質の取り過ぎであることは以前から知られていて、食事や生活習慣を改めることが、肝臓の状態を飛躍的に改善することがわかっています。また脂質代謝異常(高脂血症)などの脂質異常、糖尿病、高血圧などの生活習慣病は肝臓へも大きく影響します。血糖を下げる薬、中性脂肪を減らす薬など、生活習慣病の治療薬を用いて、肝臓の状態を改善していくことが一般的な治療法の一つです。しかし、生活習慣病はその名の通り、病気の原因はその人の送る生活習慣にあります。薬だけではなく生活習慣そのものを改善することが必須です。
血液検査でのAST(GOT)ALT(GPT)やγ-GTP、ALPなどの数値は、肝臓や胆管に含まれる酵素で、これが異常な値であると肝細胞が炎症によって壊されているということを意味します。炎症の原因となる脂肪肝にはアルコール性脂肪肝と、非アルコール性脂肪肝とがあります。アルコール性脂肪肝は飲酒が原因で起こる脂肪肝で、非アルコール性脂肪肝は肥満や糖尿病等によって起こる脂肪肝です。どちらも、飲酒を控える、ダイエットをおこなうなどの生活習慣を変えることで、薬剤を使わなくても劇的に改善する場合もあります。ご自身の状態に気づき、対応していくことで病気の進行は食い止めることができます。なかなか症状に表れない肝臓の疾患は、10年後20年後にいきなり、肝硬変、肝臓がんとなって見つかることもあります。健康なときから、意識を持っておくことが大切なのです。
消化管の検査で最も精度の高い内視鏡検査
健康診断での胃がん検診は、今でもバリウムを使ったレントゲン検査が広くおこなわれています。しかしこれは一度にたくさんの方を検査するための方法で、食道、胃、十二指腸の検査する最も精度の高い検査方法は内視鏡です。近年では対象年齢をしぼって健康診断に内視鏡検査を取り入れる地域も出てきました。また内視鏡検査は病院だけでなく、検査可能なクリニックも増えており、健診ばかりでなく、何らかの症状があった場合の身近な検査方法として広まっています。私は消化器内科医としての内視鏡検査にも長年たずさわってきており、クリニック開業時から上部内視鏡を導入して検査をおこなっています。
当クリニックの内視鏡検査の特徴は、「鎮静剤による苦痛のない内視鏡検査」です。上部内視鏡には経鼻と経口の2種類があり、それそれのメリット、デメリットを持っています。経鼻内視鏡は鼻から入れる内視鏡で、おえっとなるのどの反射が少ない分苦痛は少ないのですが、鼻炎などの人には鼻の痛みが強く検査ができない場合もあります。一方経口内視鏡の問題点は咽頭(のど)の反射で、個人差がありますが経鼻に比べると苦痛が大きいということです。
当クリニックでは上部内視鏡の検査では注射による鎮静剤を経口内視鏡での検査をおこなっています。検査は鎮静剤によって眠った状態でおこないます。検査時間自体は5分程度です。検査終了後鎮静から目を覚ますまでの時間は、個人差もありますが長くて1時間程度までです。ほとんどの方が「もう終わったの?」という感じで苦痛を感じることなく検査を終えられます。「これまで怖いと思っていた内視鏡検査への抵抗がなくなった」とおっしゃっていただける方もいらっしゃいます。内視鏡検査に不安がある、または、内視鏡検査で苦しい思いをしたことがあるという方もぜひご相談ください。
内視鏡検査と腹部超音波検査、血液迅速検査で総合的な診断が可能
当クリニックには、健康診断で内視鏡検査が必要とされた患者さんの他に、胃や食道などの痛みや違和感を自覚され内視鏡検査を受けられる患者さんが多数いらっしゃいます。内視鏡検査によって胃がんの原因となりピロリ菌の有無や、食道炎や胃炎、潰瘍、初期のがんなど、様々な病気が見つかります。しかし内視鏡検査によっても何も見つからない場合もあります。そのような場合、当クリニックでは腹部超音波検査器(エコー)による検査や血液検査等範囲を拡げて検査を行ない総合的に診断するようにしています。また30分以内に結果判明できるよう血液検査機器を備えているため、より迅速な総合的な診断が可能です。
内視鏡で検査することのできない、膵臓、胆のう、肝臓などの臓器はエコーによって検査が可能です。しかも、膵臓、胆のうの違和感は患者さんにとって「胃の不調」と感じられていることも多く、心窩部痛から膵臓がん、胆のうがんなどが見つかる場合もあります。内視鏡からエコーへ、またエコーから内視鏡へ、さらに血液検査を加えるなど、患者さんの状態に合わせ検査の範囲を拡げ組み合わせることができるのも、消化管だけではなく肝臓・膵臓・胆のうまで腹部・消化器全体を専門とする当クリニックの強みです。
年に1度の健康診断は必要です。必ず受診してください。
当クリニックが内視鏡、エコー、血液検査による迅速で総合的な検査に力を入れているのは、何よりも患者さんの病状をいち早く知り、病気の早期発見・早期治療を目指しているためです。症状のない忙しい方にとっては1年はあっという間で、健康診断は面倒なものかも知れません。健康診断から病気を見つけられることは多く、健康を維持する上で欠かすことのできないものなのです。
私が診察した30代の女性の例ですが、健診で便潜血陽性をしてきされたのですが検査を受ける時間がなく2〜3年たって内視鏡検査を受けたところ、進行した大腸がんが発見されたという例がありました。
病気は肝臓病のように何年もかけてゆっくり進行する場合もあれば、がんのように短時間で進行してしまう場合もあります。症状がないから安心ということはありません。なによりも大切なあなたの健康のために、定期的な健康診断を必ず受診してください。