狭心症の専門医インタビュー (ながい内科・循環器内科クリニック)

狭心症

狭心症は心臓が発する危険なシグナル。狭心症の早期発見に力を入れている循環器専門医

長井 善孝先生

2018/01/23

MEDICALIST
INTERVIEW
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ながい内科・循環器内科クリニック
長井 善孝 院長
Yoshitaka Nagai

  • 医学博士
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本医師会認定産業医
経歴
  • 平成5年3月 第87回医師国家試験合格
  • 平成5年6月 産業医科大学病院 内科研修医
  • 平成6年6月 社会保険筑豊病院 内科医員
  • 平成6年12月 産業医科大学病院 集中治療部研修医
  • 平成7年6月 けいはい労災病院 内科医員
  • 平成8年8月 健康保険直方中央病院 内科医員
  • 平成9年6月 産業医科大学大学院
  • 平成13年4月 日本赤十字社熊本健康管理センター
  • 平成13年6月 九州労災病院 内科医員
  • 平成16年6月 総合せき損センター 内科医員
  • 平成17年6月 社会保険筑豊病院 内科医員
  • 平成18年7月 九州労災病院 門司メディカルセンター 内科医員
  • 平成22年4月 東筑病院 内科医員
  • 平成23年4月 産業医科大学若松病院 循環器内科医員(学内講師)
  • 平成25年4月 東筑病院 内科医員
  • 平成29年10月 ながい内科循環器内科

狭心症は虚血性心疾患のひとつです

狭心症について説明

心臓の外側を覆って、心臓に栄養と酸素を供給している血管を冠動脈と呼びます。この冠動脈が動脈硬化などの血管の老化が進み、血管の内側が狭くなるなどして、心臓に充分な血液が行き渡らなくなる状態を、虚血性心臓疾患と言います。

狭心症は虚血性心臓疾患が一時的に起こり、また血流が復活する疾患です。しかし、繰り返しているうちに悪化し、冠動脈が完全にふさがってしまうこともあり、これが心筋梗塞です。狭心症は心筋梗塞の初期段階ということもできます。

こんな時に胸が痛むことはありませんか?こんな症状は狭心症かもしれません。

  • ・急いで歩いた時
  • ・階段を上る時
  • ・寝ている時痛くて目が覚める
  • ・明け方にトイレに起きた時
  • ・顔を洗う時

これらの時に胸に痛みが生じ、長くても15分ほどで消えていきます。痛みは胸が多いですが、胸全体、背中、首、左腕などで感じることもあります。

狭心症は動脈硬化が原因で起こる疾患です

動脈硬化が原因で起こる狭心症について説明

虚血性心臓疾患の主な原因は動脈硬化です。動脈硬化は血管の老化を指します。年を取ると肌の表面にしわが増え、つややハリが失われていくように、血管も年齢とともにしわが増えて狭くなり、柔軟性を失って硬くなっていきます。

老化である動脈硬化によって、血管の内側が狭くなり詰まりやすくなる、血圧の上下に対応しにくくなるなどの影響が出てきますが、ここに内臓に脂肪がたまるタイプの肥満や、継続する高血圧や高血糖、中性脂肪やコレステロールが増えすぎてしまう脂質代謝異常などが加わると、動脈硬化は一層進んでしまい、狭心症や心筋梗塞が起こりやすい状態になってしまいます。

狭心症を予防するためにできることは?

狭心症を予防するためには、こんなことが効果的です。

・禁煙

タバコは高血圧の原因となり、狭心症などの虚血性心臓疾患になる確率は、非喫煙者に対して2~3倍も増えてしまいます。

・塩分、糖分、脂肪分の摂取を少なめに

塩分の摂りすぎは高血圧の原因となり、糖分の摂りすぎは高血糖や糖尿病の原因となり、脂肪分の過剰摂取は高脂血症で血管が詰まりやすくなります。

・適度に定期的に運動しましょう

適度な運動は、全身の血流を改善し、血管の柔軟性を増す効果があります。また肥満の防止や改善にも効果的です。少し息が上がる程度の軽めの運動を1日に30分以上、週に3回ほどを目安に行うといいでしょう。好きなスポーツを見つけて継続すると楽しみも増えます。

・ストレスを避けましょう

睡眠不足などの物理的なストレスも、人間関係などの精神的なストレスも、どちらも血圧を上昇させます。自分なりのストレス解消法を見つけて、穏やかな生活を送れるようにしましょう。

・生活リズムを整えましょう

不規則な生活はストレスとなります。ストレスを軽減するためにも、自分に合った無理のない生活リズムを整えましょう。

・高血圧、高脂血症、糖尿病にかからないようにしましょう

いずれも動脈硬化を促進し、狭心症になりやすくなる原因となる疾患です。これらの疾患にならないことが、狭心症予防には大切です。

当クリニックではこんな検査を行います

ご来院頂きましたら、まず、予診票へご自分の気になる症状をお書きください。次に看護師が予診票を元に詳しい症状をお聞きします。症状が始まった時期、どんな症状、など、わかる範囲で詳しくお聞かせください。その後に医師による診察を行い、疑わしい場合は以下のような検査も行います。

・心電図

心臓の規則正しい収縮運動は、心臓内部で発生する小さな電気信号によって作られています。この電気信号を読み取って記録するのが心電図検査です。

・ホルター心電図

心電図検査は短時間で行いますが、その中で異常が発見されないこともあり、24時間かけて携帯型の心電図で記録する検査です。24時間電極と携帯型装置の装着が必要となりますが、装置はとても小さく軽くできており、以前より患者さんの負担は軽減されています。

狭心症の治療について

狭心症の診断が下りたら、薬物治療を開始します。狭心症の薬物治療は主に以下の4つです。

①発作を軽減する薬

舌の下で溶かす舌下錠とスプレータイプがあり、どちらも強力な血管拡張剤で、冠動脈に限らず全身の血管を広げ、血流を改善します。冠動脈への血流が充分になると、狭心症発作は収まります。

②血管拡張薬

全身の血管に作用し、血管を広げますので、冠動脈も負担が軽減されます。血管が広がると冠動脈だけでなく全身の血流も良くなり、心臓への血流が増えて症状が改善されます。

③β遮断薬

自律神経に働きかける薬です。自律神経は、血圧の調整も担っていますので、血圧を高くする交感神経を抑制して、血圧を上がりにくくします。高血圧治療薬としても使われる薬です。

④アスピリン

血液を固める働きをする血小板を抑制して、血栓を作りにくくします。

 

また、当クリニックでは、内科とともに循環器内科も設置しています。循環器内科ではこんな疾患を扱います。

・高血圧

血圧が高い状態が続くと、血管に強い負担がかかり続けることになります。負担によって傷ついたり弱くなってしまった血管は、破裂の危険が高まります。

・不整脈

心臓が不定期に脈打ち、ポンプ作用が弱まることがあり、不定期な脈を不整脈と言います。不整脈には危険なものから、大きな心配が要らないものまでありますので、まずは来院の上検査を受け、正確な診断を受けることが大切です。

・大動脈疾患

大動脈とは、心臓から全身へと血液を送り出す、体の中で最も太い血管です。大動脈の疾患で主なものは、大動脈がこぶ状に膨らんでしまう大動脈瘤と、大動脈に亀裂が入る大動脈解離の2つです。いずれも自覚症状がなく進行することの多い疾患です。

・静脈瘤

静脈が膨らんでこぶ状になることで、足の静脈で起きる下肢静脈瘤の他、食道静脈瘤や胃静脈瘤などもあります。下肢静脈瘤は、重力に逆らって心臓へ血液を繰り返すことができなくなり、だるさやこむら返りなどを伴って、足の静脈が皮膚の上からも目立つようになる疾患です。

・動脈硬化

肌にシミやしわが増え、髪に白髪が増え、つやが無くなっていくように、血管も年を取ります。血管もしわが増え、しなやかさを失い、弱くなっていくことを動脈硬化と言います。弱くなった血管は突然破裂することもあり、命に関わります。

狭心症は早期発見が重要。気になることがあればお気軽にご相談下さい。

狭心症は胸痛を主な症状とする疾患ですが、症状の現れ方が一時的であることから、我慢したり、見過ごしてしまう患者さんも見受けられます。悪化すると心筋梗塞になる危険が高まるとても怖い疾患ですので、できる限り早く正確な診断が必要とされています。そのためには、患者さんおひとりおひとりの気になることを大小問わず丁寧にお聞きし、真摯に受け止め、医療として還元することが当クリニックの目標です。

狭心症は繰り返すことで悪化し、手術療法が必要となることもあります。その場合は、提携病院と素早く密な連携をとり、患者さんの不安を解消できるよう努めてまいります。気になる症状は率直にお聞かせください。私たちは全力で医療の力をもって、お応えします。