眼科専門医インタビュー (オリーブ眼科クリニック)

眼科専門医

「患者様の生活スタイルに合わせた眼内レンズをご提案します」 最新の機械と培った技術を駆使する白内障患者の救世主

井出 光広先生

2019/01/09

MEDICALIST
INTERVIEW
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オリーブ眼科クリニック
井出 光広 院長
Mitsuhiro Ide

  • 日本眼科学会認定眼科専門医
  • ICL認定医
経歴

■経歴

  • 平成22年 群馬大学医学部医学科卒業
  • 平成22年 国家公務員共済組合連合会東京共済病院
  • 平成23年 東京医科歯科大学医学部附属病院
  • 平成24年 東京医科歯科大学医学部眼科学教室入局
  • 平成25年 東京都立多摩総合医療センター眼科
  • 平成28年 東京医科歯科大学医学部附属病院眼科
  • 平成29年 同大学病院退職後、都内大手クリニック勤務
  • 平成30年 オリーブ眼科クリニック開院

■資格・所属学会

  • 日本眼科学会認定眼科専門医
  • ICL認定医

  • 日本眼科学会
  • 日本眼炎症学会
  • 日本白内障屈折矯正学会
  • 日本眼科手術学会
  • 日本近視学会
  • 日本網膜硝子体学会
  • 日本緑内障学会

80歳になると100%の方が白内障

検査

白内障は、眼の中にある水晶体と言うピントを合わせるレンズの部分が濁ってくる病気で、80歳以上では100%の方に発症するとされています。白内障の原因にはいろいろありますが、日本で一番多いのが、加齢性白内障と呼ばれるものです。65歳ぐらいから始まり、70歳を過ぎるころになると、見えにくいといった症状に気が付くようになります。では、何故水晶体が濁ってくるのでしょうか。水晶体というのはタンパク質の塊で、由来としては皮膚と同じです。皮膚が年齢と共に変わってくるのと同じように、水晶体も年齢と共に老化し、たんぱく質が変性して濁りが生じてくるのです。
その他にも原因があり、紫外線の影響、糖尿病、眼の炎症であるぶどう膜炎、またその治療に使用するステロイドによる薬剤性のものもあります。また近視の方は白内障になりやすいこともわかっています。
一言で白内障と言っても、原因によってそれぞれ濁り方が異なり、水晶体を観察すると、白内障の原因を判別するのは意外に容易です。また、原因によって症状にも違いがあります。加齢性の場合、視力が下がるのはもちろんですが、眩しさを訴える方が多いです。一方、糖尿病など他の病気に伴って起こる白内障では、眩しさよりもかすんで見える、見えにくいといった視力低下を訴える方が多くいます。また、白内障は一般的に高齢になって発症する方が多いのですが、加齢性以外の原因の方では40代ぐらいから発症し手術が必要になる方もいます。
白内障になると、視力が下がる、見えにくい、眩しいという症状を訴える方が多く、また一番辛い症状でもあります。人間の五感のうち、外から得られる情報の80%が視覚から得られるものです。そのため、「見えにくくなる」というのはとても苦痛で、治療したいと思う動悸に成り得ます。

白内障の治療は手術が基本

検査

患者さんとしては、手術をせずに薬で治したいという希望もあるかと思いますが、実際には、たんぱく質が変性しているので、それを薬で元に戻すというのは、今の医療技術では難しいことです。白内障に使用する点眼薬もありますが、進行を遅らせて手術までの期間を延ばすにすぎません。現時点での根本的な治療は、濁った水晶体を人工的な眼内レンズに取り換える手術が基本となります。
この治療法は何十年も前から確立されたものとなっていますが、時代とともに少しずつ手法が変わったり、便利な手術道具などが開発されたりして、安全性が高まっています。

最新の手術装置と顕微鏡による白内障手術

診察室

白内障の手術で眼内レンズを入れるためには、まず濁って硬くなった水晶体を取り出す必要があります。超音波乳化吸引術といって、超音波の振動で、袋の中に入っている水晶体を砕き、細い筒状の穴から吸引します。その後、水晶体の入っていた袋に人工レンズを固定することになります。
この一連の術中で大事なことは、眼圧を調節して眼球の丸みをしっかり保たせることです。そのためには吸引した分だけ水分(潅流液)を注入して眼圧をコントロールしなければなりません。眼圧の急な低下や変動があると、レンズを入れる袋が破れたり、感染症のリスクが上がったり、レンズの固定がうまくいかないなどのトラブルの原因になることがあります。当院で導入している最新式の手術装置では、この潅流液の量や圧力をコンピューターのシステムで制御するため、眼圧の変動が少なく、眼球の丸みを保たせることが出来るため、術中のリスクを減らし、安全に手術をすることができます。
また、
手術顕微鏡においては特殊な光学システムを導入しているため、一般的に手術が難しい進行した白内障でも、明るくシャープに観察しながら手術をすることができます。当院では、今まで培ってきた白内障手術の技術を、最新式の手術装置と顕微鏡がタッグを組んだ手術システムがサポートすることで、患者さんに安心して安全な手術をお受け頂けるようにしています。

手術を受けるタイミング

クリニック

白内障手術を受けるタイミング。それは「日常生活が不自由になってきた時」で良いと思います。「かすんで見えにくい」「外に出ると眩しい」「夜、運転する時に眩しくて仕方がない」と言う自覚症状があれば、手術によって改善を実感することが出来ます。検査をして白内障があったとしても、視力がそれほど落ちておらず日常生活に不自由していない状態で手術をすると、手術前と変わらない、あるいは手術前の方が良く見えたという方もいらっしゃいます。目安としては、運転免許の視力基準である0.7ぐらいが見えにくさを感じるラインになると思います。それほど視力が落ちていなければ、多少白内障が進行しても今では手術が可能ですので、点眼薬で様子をみても良いと思います。ただし、白内障の他に別の病気が隠れている場合もあります。今お使いのメガネやコンタクトレンズが合わなくなってきたと感じた時や、白内障が始まる60歳前後には一度受診していただき、ご自分の眼の状態を知るということが大切だと思います。

眼内レンズは生活スタイルに合わせて選ぶ

クリニック

保険診療で行う白内障手術では、単焦点レンズと言って、1点だけにピントが合うレンズを使用します。例えば、遠くが良く見えるように合わせた場合、中間距離から手元を見るためのメガネが必要になり、手元が良く見えるように合わせた場合には、近眼の方の様に遠くを見るためのメガネが必要になります。必要に応じてメガネをかけることに抵抗が無ければ良いのですが、極力メガネを使う頻度を減らしたいという方のニーズに応えた形で、近年では多焦点レンズが話題になっています。
多焦点レンズにも種類があり、遠くと近くの2点にしっかりと焦点が合う2焦点レンズ(中間距離は少し見えにくい) や遠方、中間、近距離の3点にピントがしっかり合う3焦点レンズ、遠くから中間距離までスムーズに見える焦点深度拡張型レンズ(近距離は少し見えにくい)があります。
多焦点眼内レンズは原則自費診療となりますが、2焦点レンズと焦点深度拡張型レンズの中には「先進医療特約」が適応となるものもあり、ご検討の際にはご加入の保険会社へ確認していただくことをおすすめいたします。 焦点深度拡張型レンズが一番自然な見え方が得られ、極めて小さい文字などの場合には老眼鏡が必要ですが、パソコン程度であればメガネ無しで見える方が多いようです。
どのぐらいの距離の物がよく見えるようになりたいか、またどのぐらいの大きさの文字を見る必要があるのか、職業や生活スタイルに合わせて選ぶ必要がありますので、入念に相談して決めていきましょう。

白内障手術後の経過

眼内レンズは半永久的ですので、基本的に取り替える必要はありませんし、一度得られた視力も原則的に落ちることはありません。ただ、後発白内障と言って、手術後約2~3割の方に元々水晶体が入っていた袋に濁りが生じることがあります。手術後、1.2ぐらいの視力が得られた方が、0.4~0.5に落ちてしまった場合には、レーザーでその濁りを取れば視力は回復し、再発することはありません。ただし、緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、眼底出血など視力が低下する他の病気もあるので、1年に1回程度定期的に受診されることをお勧めします。
緑内障は、40歳以上の約20人 に1人発症し、視野が欠けて失明の原因となる病気です。以前は眼圧と視野検査など検査の所見 が重要視されていました。
最近では、視野検査で異常が出る前から、光干渉断層計(OCT)で網膜の断層画像を解析することで早期に緑内障を診断することができるようになりました。 OCTは緑内障に限らず他の網膜疾患を診るために必須の検査機器であり、当院でも導入していますので検査をお受け頂くことができます。

院長

医療の根本は「患者さんの困っていること」を治すこと

診察をすれば、患者さんに何が起こっているのかはわかります。でも、患者さんが「何に困っているのか」その困っていることを治して差し上げないと意味が無いと思っています。そのためには、患者さんとコミュニケーションを上手にとって、治してほしいと思っていることに耳を傾け、今患者さんの身体に起きていることを写真や図で示したり、模型を使ったりしながら説明します。その上で治療の選択肢を提示し、納得して治療をお受け頂けるように心がけています。その他にも、眼に関することは何でも気軽に安心してお話しいただけるように、努力していきたいと思っています。

患者さんが見えるようになった時に喜ぶ姿というのがとても嬉しく、その喜びを共有できることが眼科を目指そうと思ったきっかけでもあります。当院の開業地である馬込沢はご高齢の方が多く 、眼科医療のニーズが高い地域と伺い、地域の方の力になれればと思い開業しました。
 もちろん、お子様も診療させていただきます。お子様からご高齢の方まで幅広く診療し、丁寧で正確な医療を提供できるよう努めてまいりたいと考えております。 眼に関することであれば、ご家族皆さんで何でも気軽にご相談していただければと思います。