総合内科専門医インタビュー (みんなの内科クリニック人形町水天宮)

総合内科専門医

大学病院と同じレベルの医療を街のクリニックで。腎臓専門医が悩みに寄り添い、ストレスの少ない治療を提案

谷津 圭介先生

2019/01/28

MEDICALIST
INTERVIEW
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みんなの内科クリニック人形町水天宮
谷津 圭介 院長
Keisuke Yatsu

  • 医学博士
  • 日本内科学会 内科認定医・総合内科専門医
  • 日本腎臓学会 腎臓専門医
  • 日本高血圧学会 高血圧専門医
  • 日本透析医学会 透析専門医
  • 東京医科歯科大学 国際健康推進医学分野 非常勤講師
経歴
  • 1974年 東京都生まれ
  • 1993年 筑波大学附属駒場高等学校卒業
  • 2000年 横浜市立大学医学部医学科卒業
    横浜市立大学附属市民総合医療センター 臨床研修医
  • 2002年 横浜市立港湾病院 内科勤務
    横浜市立大学 循環器・腎臓内科学教室入局
  • 2007年 横浜市立大学大学院医学研究科卒業
  • 横浜市立大学附属市民総合医療センター 腎臓・高血圧内科 助教
  • 2013年 横浜市立大学医学部 循環器・腎臓高血圧内科 助教
  • 2014年 横浜市立大学医学部附属病院 腎臓・高血圧内科 診療講師
  • 2018年 11月 みんなの内科クリニック 人形町・水天宮 開院

腎臓に疾患があると高血圧になるリスクが高い

検査

腎臓病と高血圧は、腎臓病を抱えていると高血圧になりやすく、高血圧だと腎臓病になりやすいという相互の関係です。腎臓病をもともと持っている方はかなりの割合で高血圧を合併していると言えます。
腎臓病の方が高血圧になりやすい理由は2つあります。1つは腎臓の組織が障害を受け血圧を上げるホルモンが過剰に分泌されるため、もう1つはナトリウム(塩分)を体外に排出しにくくなるためです。

患者のライフスタイルに合わせた、ストレスの少ない治療を

検査

腎臓病の治療で、まず行うのが塩分制限です。塩分摂取量が1日6g以下になるよう調整するのですが、きっちり1食2gずつにするのか、それとも塩分を抑える日と自由に外食できる日を作り1週間単位で考えるのか、患者さんと話し合って生活スタイルに沿えるプランを提案します。
塩分1日6gは決して少なすぎる量ではありません。塩分に関しては、基本的に慣れの部分が大きいので、数週間継続できれば食事制限は苦ではないと考えられています。
塩分は多すぎてもいけませんが、少なすぎるのも問題があります。1日に2.5~3gは摂らないと、血圧が下がりすぎて倒れてしまうのです。中には厳しく食事制限をし過ぎて、低ナトリウム血症で倒れて入院加療が必要になる方もいます。
その次が、低タンパク質の食事です。こちらは腎機能の低下の程度や原因によって異なりますので、来院された際に詳しくお話し致します。
食事以外では運動療法も行いますが、運動療法が合っている方もいれば、ご高齢で運動自体が難しい方もいます。患者さん個々の事情に合わせ、薬、食事、運動を組み合わせ、できるだけストレスがかからない治療を行うよう心がけています。

腎臓専門医を主治医とするメリット

診察室

現在の医療では、基本的に腎臓そのものを完全に治すことができません。ただ、悪くなる速度を遅くするのは可能です。早めに医師が介入すれば、現状を長く維持しやすくなるのです。この維持という部分において、腎臓専門医の治療を受けるのか、一般の医師の治療を受けるのかで差が出てきます。
腎臓病はひとくくりにされ「年齢のせい」「高血圧のせい」で終わりにされるケースが珍しくありません。実は違う病気、例えばC型肝炎などを持っていて、それが原因で腎臓に障害が出ている方の場合、C型肝炎の治療をすれば良くなるケースがありますし、膠原病が隠れていることもあります。しかし専門医でないと、なかなかそこまで目を配れないのです。
今はいろいろな治療のガイドラインがあります。腎臓の病気についてもガイドラインがありますが、必ずしもそれがすべてではありません。それを知った上で個人のライフスタイルに合わせた治療を使い分けることが大切です。専門医が関わることで治療の選択肢が増え、その方にとって総合的にベストな方向に行けるように導けるのです。
また、腎臓の治療で使う薬剤についても精通しています。腎機能の時期によって使う薬剤が変わりますが、それを見極められるのは専門医でないと難しい。いずれ透析を受けることになったとしても、そのタイミングが年単位で変わってきます。数年先の未来を考えると、専門医を選んで受診することをおすすめします。

腎臓病を早期発見できるタイミングは検診の尿検査

クリニック

腎臓病や高血圧は自覚症状が出にくい病気ですが、検診の尿検査で病気を早期発見できます。早い段階で体の不調や検査の異常に気づけば、腎臓が悪くなる前に予防することも可能です。
家庭に入った女性の方は、自主的に検診を受けに行かない限り、腎臓病を発見するチャンスがありません。長い期間検診を受けずにいた結果、末期腎不全になるまで気づけなかったという方を何人も見ています。
腎臓を守るには、減塩と健康的な食生活を心がけましょう。低タンパク質食も重要です。ただし、腎臓が悪くなった人には有効ですが、それが早期の腎障害に対して予防になるかどうかはわかっていません。単純にこれをすれば防げるという腎臓病の予防方法はありませんが、病気を早期発見できれば、腎臓を保護する薬なども使用し進行を遅らせることができます。また、腎臓が悪くなる原因を見つけ、その原因にアプローチすることで腎臓の不調が治ることもあります。
検診をきちんと受けることがとても大切です。

腎臓領域に進むきっかけとなった患者と続く交流

研修医のとき、小児の腎移植を行った患者さんがいました。それが腎臓領域に進むきっかけとなった出来事です。今は元気になり、それ以来ずっと年賀状の交換をしています。病気で苦しんでいた時期を乗り越え、元気になって、成長していく姿をずっと見ていられるのは医師にとって何よりの喜びです。

多くの腎臓病患者が通いやすい環境を作るために開院

クリニック

18年間大学を中心に腎臓・高血圧の治療に携わり、十分に学ばせて頂いたので、次のステップに進もうと開院を決意しました。
大学病院は完全予約制のため、お勤めの方や介護を受けている方から、通うのが大変だというお声を聞いていました。しかし開業すれば、平日の夕方や土曜に、予約なしでも大学病院と同じレベルの医療を受けていただけます。また、今までの経験を活かし、開業医として地域の皆さんを支えていければとも思いました。
開業するにあたり、通院の負担を減らすためアクセスが良い場所を探しました。ここは浅草線、日比谷線、半蔵門線の3線が合流しているエリアです。東京駅からもバスやタクシーで来院しやすいため、この場所を選びました。

患者に共感しつつ、プロとしてのぶれない視点で接する

患者さんの不安に共感することを大切にしています。可能な限り患者さんに寄り添うよう心掛けていますが、家族と同じになってしまうと判断が鈍ってしまいます。あくまでプロとして、客観的な視点を失わないよう心がけています。
患者さんにはそれぞれ悩みがあります。私ができるだけそれを理解し、患者さんからも心を開いてもらうことで、高い治療効果を出せると考えています。お互い心に壁を作らないことは、患者さんの心身の負担を減らすうえでも大切です。

大学病院は、専門分野以外は相談しにくい場所です。医師も自分の専門以外を気軽に回答することは難しいです。けれどクリニックなら総合内科専門医として、あらゆる症状を相談していただければ、アドバイスできます。気軽に何でも相談でき、広くいろいろな悩みに対応できるクリニックにしていきたいです。
また、当院は在宅医療も手掛けています。特に腎臓病を専門医が在宅で診るというのは非常にまれです。腎臓病を抱えていて在宅医療を受けたい方は、お気軽にご相談ください。