糖尿病の専門医インタビュー (ふくだ内科 循環器・糖尿病内科)

糖尿病

糖尿病の問題点は「糖尿病が引き起こす病気」すなわち「合併症」。合併症を予防・早期に発見する糖尿病専門医

福田 佑介先生

2017/08/02

MEDICALIST
INTERVIEW
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ふくだ内科 循環器・糖尿病内科
福田 佑介 院長
Yusuke Fukuda

  • 医学博士
  • 日本内科学会認定医・総合内科専門医
  • 日本循環器学会専門医
  • 日本糖尿病会専門医
  • 日本糖尿病協会療養指導医
  • 日本高血圧学会専門医(2016〜)
  • 心臓リハビリテーション指導士
  • 福岡心血管・腎・呼吸リハビリ研究会世話人
  • 厚生労働省認定 緩和ケア研修会修了
  • 厚生労働省認定 臨床研修指導医
経歴
  • 西南学院中学校卒業
  • 京都私立洛星高等学園卒業
  • 平成15年 久留米大学医学部医学科卒業
  • 平成15年〜福岡大学第2内科入局
  • 平成21年 福岡大学大学院医学研究科病態生化学 修了
  • 平成21年〜福岡大学筑紫病院 内科/救急部 助手
  • 平成23年〜福岡大学内科 助手
  • 平成24年〜福岡大学医学部 心血管疾患先進治療学講座助教
  • 平成26年〜福岡大学医学部 心臓・血管内科学講師 、福岡大学病院循環器内科病棟医長
  • 平成27年~ふくだ内科循環器科 院長、福岡大学心血管疾患先端治療研究講座客員准教授

糖尿病外来で、正しい知識を学ぶ

糖尿病外来で、正しい知識を学ぶ

健康で幸せな生活を継続する
私共は、皆様が日常生活について正しい知識を学ぶことに力をいれています。 情報が氾濫しているなかで『正しい知識を得る』ことは簡単ではありません。偏った食事療法で一過性に血糖を改善しますが、多くはリバウンドを招き継続できません。糖尿病と上手くつきあうには、正しい知識を得ることが重要です。

私共は、治療を継続するうえで長くつきあえる良きパートナーになります。人生をマラソンと例えると、伴走するガイドのような存在でありたいと思います。自分のペースで、長い人生を楽しく送るためのお手伝いをします。

<食事を知る> 安心して美味しく食べる。

病気を気にして、やみくもに食事制限される人がいます。偏った食事療法は、短期間血糖を改善することもありますが、多くはリバウンドを招き継続ができません。食事の知識を増やし、豊かに美味しく食べましょう。私共にとって何よりの幸せは、「いろいろな食事の知識を得て、糖尿病と診断される前より食事の楽しさ・美味しさを実感できるようになった」と言って頂けることです。 糖尿病治療の柱は食事療法です。その人にあった食事を考えます。「甘いものは全てダメ」ではなく、「この位まで食べてよい」、外食がメインの会社員には「外食だったらこのメニューがより良い」と具体的に提示します。ただ制限するだけでなく、食事を楽しみましょう。

<運動を知る>

運動が血糖を改善するのは皆さんご存知のことです。では、何をどの位運動するべきでしょうか?その人にあった適切な運動を提示し、安心して運動に取り組むお手伝いをします。ウオーキングはとても良い運動です。また、糖尿病・狭心症や心不全などの持病がある方でも、「この位の運動が良い」と運動強度の設定を行い適切な運動を提示します。低血糖にならないための時間設定も重要です。また、院内には心臓リハビリも併設しています。元気な方だけでなく、持病がある方の運動に対しても万全のサポートを行っています。

<合併症を予防する>

糖尿病と向き合う上で定期的な診察・検査は糖尿病の合併症予防には欠かせません。 『合併症』は腎臓・目(網膜)・神経障害の3大合併症がよく知られています。なかには重篤な合併症もあります。しかし早期からしっかり治療できれば合併症はかなり減らせる時代です。 3大合併症の早期発見はもちろん、心臓や脳卒中の予防に真摯に取り組んでいます。現状は、糖尿病であっても4割が病院を受診していません。(健康日本21推進フォーラムより) 合併症を起こしてからの治療では、障害は大きく、結果として医療費も高額になります。糖尿病を疑ったら受診してください。早期の受診があなた自身を守ります。

糖尿病の合併症「糖尿病性腎症」

糖尿病の合併症「糖尿病性腎症」

腎臓が機能しなくなると、最終的に人工透析を行います。現在、透析導入される一番の病気が糖尿病性腎症です。早期から治療をしっかり行えば腎症は予防できます。あなたは〈自分に腎症があるのか〉ご存知ですか?

糖尿病性腎症は、定期的な採血と尿検査で調べます。
糖尿病腎症は採血と尿の2つで十分です。症状はかなり進行しないとでません。

検尿:蛋白尿、微量アルブミンを調べます。
採血:クレアチニン(Cr) 糸球体濾過量(GFR)がメインです。時にシスタチンCを調べます。
検査をもとに医師は腎症の説明を行います。

糖尿病性腎症病期分類
第1期  正常アルブミン尿(30 mg/g・Cr未満)
第2期  微量アルブミン尿(30~299mg/g・Cr)
第3期  顕性アルブミン尿(300mg/g・Cr 以上) あるいは 持続性蛋白尿(0.5g/gCr以上)
第4期  GFR(eGFR): 30ml/min/1.73㎡未満
第5期  透析療法中
(糖尿病性腎症合同委員会より)

糖尿病性腎症を予防するには?
早期に糖尿病を診断し、治療することが一番の予防です。そして、血圧も重要です。血圧の目標は一人一人違います。腎症予防には、家庭血圧で125/75未満を目指します。早期に糖尿病治療を行えば、確実に重篤な腎症を回避できます。
予防に必要なもの
1:適切な運動
2:適切な食事 腎臓病の進行に伴い、適正な蛋白やカロリー、カリウム摂取量が異なります。
3:適切な血糖コントロール
4:適切な血圧コントロール 診察室血圧130/80(家庭血圧125/75)未満が予防に重要です。

糖尿病に対する疑問を解消する

全ての医師が食事や栄養・運動に精通しているのでしょうか?残念ながら手術・薬に精通していても、食事指導に関してのプロフェッショナルは多くありません。糖尿病専門施設は医師・看護師・管理栄養士らが一体になり治療にあたります。それぞれが専門性を持って説明にあたります。薬を出すことで満足するのではなく、食事や運動を一から見つめ直し、病気や将来の不安を解消するのが私共の役目です。

 

私がはじめて糖尿病のプロフェッショナルに憧れたのは、安西 慶三先生(現在佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・内分泌内科教授)との出会いからです。患者さんに対して真摯に耳を傾け、どうすればよいか具体的に提案される姿に心を揺さぶられました。糖尿病の奥深さを教えて頂き、糖尿病専門医を志しました。また、柳瀬敏彦先生・ 小林 邦久先生・野見山崇先生と素晴らしい先生にご指導を頂いたことも幸運でした。今後は微力ながら社会に還元できるよう力を尽くしたいと思います。