内視鏡検査の専門医インタビュー (ながたクリニック)

内視鏡検査

反射による苦痛を静脈麻酔でコントロール 気軽に受けて欲しい効果の高い内視鏡検査

永田 博康先生

2017/03/23

MEDICALIST
INTERVIEW
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ながたクリニック
永田 博康 院長
Hiroyasu Nagata

  • 医学博士 (東京医科大学 健康増進スポーツ医学分野)
  • 日本外科学会 専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医
  • 日本医師会 認定産業医
  • 日本乳癌学会 認定医
  • マンモグラフィ読影 認定医
経歴

1994年3月 東京医科大学 卒業
1994年5月~2004年3月 東京警察病院 外科 (勤続10年)
2004年4月~2016年8月 調布東山病院 外科 (勤続12年)
2016年10月 ながたクリニック 開院

内視鏡検査による幅広い疾患の早期発見と治療を!
消化器外科の専門医による内科、消化器内科・外科クリニック

受付

ながたクリニックは世田谷通り松陰神社前のまだ新しい医療モール「世田谷医療COMMUNITY」の3Fに2016年の10月に開業したばかりの内科、消化器内科・外科のクリニックです。
院長の私は、東京警察病院、調布東山病院で勤務医として20年にわたって医療に携わってまいりました。東京警察病院では外科手術、内視鏡検査などの専門的な外科医療に従事し、調布東山病院においては、幅広い疾患に対する地域医療をおこなってきました。
これらの経験をベースに、当クリニックでは、一般内科診療から、専門的な消化器診療、外科系外来処置など、幅広い疾患に対応し、地域の皆さんの健康に貢献していきたいと考えております。また、長年の消化器外科医としての経験から、上部・下部内視鏡による検査・治療に関して患者さんに安心して任せていただける技術を身に付けています。ここ数年でも、内視鏡の性能は大幅に向上し、患者さんの苦痛を最小限に検査治療がおこなえるようになってきました。胃や大腸に不安をお持ちの方は、ぜひお気軽に内視鏡による検査を受けていただきたいと考えています。

上部内視鏡で検査できる食道、胃、十二指腸の一部に起こる病気

院長 永田 博康

上部内視鏡は、またの名を胃カメラと呼ばれるように、食道から、胃、十二指腸などの上部消化管を調べるための医療機器です。
食道では食道がんや逆流性食道炎、胃では胃がん、胃ポリープ、胃炎、胃潰瘍、そして十二指腸で十二指腸潰瘍などを内視鏡で確認することができます。また、胃がんの原因として知られるピロリ菌の感染、慢性胃炎の状態を確認したり、前がん病変や、早期がんを見つける場合も内視鏡検査をおこなうことが現在最も有効な検査方法です。

地域の健康診断や、人間ドッグでおこなわれる胃がんのリスク検診(ABC検診)などで、精密検査が必要となった方の二次検診や、胸焼け、胃のもたれなどの症状がある方には、病変の発見が容易な上部内視鏡検査をすすめています。カメラによって胃の内壁を目視できるのと同時に、病変部の組織を採取して、病理組織検査をおこなうことでより正確な診断が可能になります。
ピロリ菌が感染していることで胃にモヤモヤした感じがあったり、初期の胃がんには自覚症状が無い場合もあります。40歳を超えたら一度は内視鏡検査をおこなってみることをおすすめします。
また、日常診療で遭遇する病気の中で、急に起こる胃の強い痛みに刺身などを食べた際に起こるアニサキス症というものがあります。アニサキス症とは魚介類の体内に寄生しているアニサキスという寄生虫が、生の魚介類を食べることで人の胃に入り、胃の粘膜にもぐり込んで激しい痛みを起こす病気です。この病気にも上部内視鏡は有効でアニサキスを胃の内部で見つけ出し、そのまま鉗子でつまんで取り出して治療します。

大腸の検査、ポリープの切除も可能な下部内視鏡

説明をする永田院長

下部内視鏡は主に大腸の検査をおこなうための医療機器で大腸に起こった炎症やがん、ポリープなどを発見することができます。また、内視鏡に付属する処置器具によって、ポリープを切除するなど観察と同時に治療そのものを行ったり、上部内視鏡と同じく、病変部の組織を採取し病理組織検査による正確な診断を行うことができます。 健康診断の検便で陽性と診断された方や、下血、便秘や腹部膨満感、下痢などの症状を認めた場合は、大腸・直腸の病変の有無を確認するために下部内視鏡検査をおこないます。
ポリープは入院を必要とせずに内視鏡による切除が可能なものが多いですが、2cmをこえるものや、処置により出血や穿孔(腸に穴があく)のリスクが高いものは入院による治療の対象となります。また、がんでも早期のものであれば内視鏡的に切除ができますが、すでに進行がんになっているものやそれに近いものに関しては、基幹病院、がんの専門病院等での、外科手術、放射線などのがん治療をおこなっていくことになります。
下部内視鏡は、上部内視鏡と違って喉の反射のような苦痛はありませんが、曲がりくねっている腸の内部に挿入されるため、腸の長さ、屈曲の程度、術後などの癒着の影響などにより、個人差はありますが、腸が伸ばされるような感覚で痛みを感じることがあります。大腸の粘膜には痛みを感じる神経がないのでポリープの切除による痛みはありません。

静脈麻酔を使用した苦痛を最低限に抑える内視鏡検査方法

永田院長

当クリニックの内視鏡検査は上部、下部を問わず、患者さんの苦痛を最低限に抑えられるよう、ていねいな操作と静脈注射による麻酔によって、痛みを感じにくい内視鏡検査・治療をおこなっています。
のどが苦しい、むせるなどの反射が強く出る上部内視鏡の場合は、麻酔によって患者さんに眠ってもらって検査・治療をおこないます。当クリニックでは検査の終了後に、「もう終わったの?」「これからはじめるんですか?」などの患者さんの反応がかえってくる場合も多く、内視鏡による患者さんの苦痛は最小限度に抑えられています。検査後、撮影した食道、胃、十二指腸の画像を共覧して、所見を患者さんと共に確認し、検査結果を説明していきます。
下部内視鏡の場合も静脈麻酔をおこないますが、上部よりも麻酔量を少なくして眠らずに検査を行い、内視鏡が映し出す腸内を患者さんと共覧する事も可能で、切除可能なポリープが見つかった際などは、本人に再度、切除の同意を得てからおこなう場合もあります。

待合

経口型、NBI機能、当クリニックで使用する内視鏡機器について

上部内視鏡は現在、口から挿入する経口タイプのものと、鼻から挿入する経鼻タイプのもののふたつに分かれます。近年、内視鏡の外径が細く、挿入時に反射が出にくい経鼻タイプの内視鏡が広まってきました。細径のカメラながら以前より性能も格段に進化し、こちらを用いる医師も多くなっています。しかし当クリニックでは、経口タイプの上部内視鏡を使用しています。これはやはり経鼻タイプよりも外径の大きい経口タイプの方がカメラの性能が優れていること。その他の操作についても、より高性能であると自身が強く感じていることを理由としています。
消化器外科では、手術前に内視鏡の診断が必ず必要なのはもちろんのこと、ポリープの切除や、術後の状況の確認まで、多くの検査、治療を内視鏡を用いておこないます。私はこれまでの経験から、上部内視鏡に関しては検査、治療を確実におこなえる経口型を用いています。麻酔によって患者さんの苦痛を抑えるのはもちろんのこと、経口型でもていねいな手技で反射を極力抑えられるように努力しています。
また、当クリニック内視鏡にはNBIという装置が付属していて検査の精度を高めています。NBIとは、Narrow Band Imaging(狭域光観察)のことで、2つの波長の短い光を粘膜にあて、粘膜の表面構造や毛細血管を詳細に映し出すと言うものです。がん細胞は増殖のために血管から栄養を補給するため、早期がんの病変を発見するには、粘膜の表層と毛細血管の集まり方などを観察する必要があります。NBIは青色と緑色の短い波長の光を当てることで、この毛細血管を通常よりも鮮明に映し出すことができるのです。早期の病変発見にとても役立つ内視鏡の機能です。

早期がんの発見につながった1ヵ月後の再検査

内視鏡検査室

内視鏡検査というと、以前の胃カメラをイメージされることが多く、検査したほうが良くても、敬遠する患者さんがいるのも実情です。当クリニックでも以前逆流性食道炎の患者さんに上部内視鏡検査をおこなった際、炎症がひどく、患部の状況が確認しにくかったため、薬による治療をおこない、症状が落ち着いたところで、1ヵ月後に内視鏡による再検査をおこなうことを提案しました。
40代男性の患者さんで、仕事も忙しく、2度目の内視鏡検査に二の足を踏んでおられましたが、「今回の内視鏡検査では、病変部の状況に不安が残ります。ぜひもう一度やらせてください」とていねいに説明したところ、再検査にようやく同意していただけました。
実際の1ヵ月後再検査をしてみると、逆流性食道炎が少し落ち着いた状態の中で、早期の食道がんを発見することができました。その患者さんは基幹病院で適切な治療をおこない、無事回復することができました。
大きな病院での内視鏡検査は時間がかかったり、予約が大変だったりなかなか敷居が高いのも事実です。地域のクリニックなら、予約すれば待ち時間も少なく、気軽に内視鏡検査を受けていただけます。胃がんや大腸がんなど、深刻な病気には早期発見が何よりも大切です。まずは身近なクリニックで、内視鏡検査についてご相談ください。