内視鏡検査の専門医インタビュー (おおにし内科クリニック)

内視鏡検査

事前準備からアフターケアまで 患者さんの安心を追求する高い技術と充実した設備による内視鏡検査

大西 雅彦先生

2017/05/23

MEDICALIST
INTERVIEW
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おおにし内科クリニック
大西 雅彦 院長
oonishi Masahiko

  • 日本消化器病学会 専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本内科学会 認定医
  • 日本消化器がん検診学会(胃)認定医
  • 日本消化管学会胃腸科 認定医
経歴
  • 1997年 日本大学医学部 卒業 
    日本大学医学部内科学講座 消化器肝臓内科部門 入局
    駿河台日本大学病院(内科・消化器科)
  • 1999年 横須賀市立市民病院(消化器内科)
  • 2000年 駿河台日本大学病院(内科・消化器科)
  • 2004年 東京都保健医療公社 東部地域病院(消化器内科)
  • 2005年 駿河台日本大学病院(内科・消化器科)
  • 2008年 千曲中央病院<長野県>(内科部長兼健康管理センター長)
  • 2016年 おおにし内科クリニック 開院
  • 患者さんひとりではなく御家族の「かかりつけ医」に

    おおにし内科クリニックは2016年に府中の街に開院したまだ新しいクリニックです。コープ府中寿町店と同じ建物にある医療モール内にあり、開院からわずかな期間ながら、地元の多くの皆さまに認知いただいています。一般内科から、食道や胃、大腸をはじめとする消化器の疾患、また糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の検査・診療、健康診断まで。ひとりの患者さんだけではなく、御家族の皆さま全員のかかりつけ医として、地域の皆さまのお役に立てるよう診療体制を整えています。
    また、当クリニックでは男女2人のドクターがそれぞれの専門性を活かした医療に取り組んでいることも特徴で、患者さんの気持ちに即した対応を心がけています。さらに、胃カメラ(上部内視鏡)、大腸カメラ(下部内視鏡)による検査・治療も積極的におこなっており、患者さんにより安心して内視鏡検査を受けていただけるよう、高い技術と充分な設備を用意してお待ちしています。

    早期がんの治療さえも可能な内視鏡の技術を

    私は大学医学部を卒業し、医師免許の取得後、大学病院の消化器肝臓内科部門に入局しました。そこは食道、胃、大腸などをはじめとする消化管と、糖尿病、さらに肝臓、胆のう、すい臓などの臓器を扱う専門内科でした。そこで私がどうしても身に付けたいと考えていたのが内視鏡の技術だったのです。消化管ががんになったら開腹して外科手術をするしかない。そんな固定概念を覆すのが内視鏡による検査と治療でした。内視鏡はファイバースコープによる目視と組織を摘出しての検査ができるだけでなく、早期の小さながんなら内視鏡による治療も可能です。そしてその方法は開腹手術に比べれば患者さんの体への負担もはるかに小さく、この優れた術式は必ずや将来さらに発展し、消化管の検査と治療を劇的に変えていくだろうと私は考えたのです。
    そして皆さんもご存知の通り、内視鏡の技術は日進月歩で進化し、多くの患者さんの検査と治療に活かされています。内視鏡には大きく分けて食道と胃、そして十二指腸の一部を検査する上部内視鏡と、直腸、結腸、盲腸からなる大腸を診ることができる下部内視鏡の2種類があり、そのどちらもが近年の技術力によって内視鏡は細径化され、患者さんの体への負担をより小さくしているのです。

    NBIで極少のがんを組織検査無しで早期発見、ESDなどの新技術

    近年の内視鏡の技術の発展の中でも特筆すべきなのは、NBI(Narrow Band Imaging=狭帯域光観察)といわれる技術です。狭帯域光観察とは、内視鏡で消化管の内部を撮影する際、通常の光ではなく青色光と緑色光の狭い範囲の周波数帯の光を照射することで、粘膜の表層部や深部の血管をより鮮明に映し出すことができるというものです。がん細胞の周辺では血管が複雑に絡み合うなどの特徴が見られます。これらの変化をより微細なうちから早期に発見できるようにするのがこのNBIなのです。また内視鏡検査はこれまで、がんを特定するためには病変部の組織を摘出し組織検査をする必要がありましたが、NBIをつかった内視鏡検査ではより鮮明な観察が可能なため、症例によっては組織検査を待たず、その場で診断が可能な場合もあります。この技術により、内視鏡検査による早期、さらに今では超早期といわれるがんの発見が一歩も二歩も進化したといえます。
    また内視鏡の細径化が進む一方で、カメラの性能は格段に進歩しており、観察したい場所をより拡大して見ることができる拡大内視鏡も使用されるようになってきました。さらに病変部に対しての内視鏡による治療においても、これまでのポリペクトミー(内視鏡的ポリープ切除術)やEMR(内視鏡的粘膜切除術)だけでなく、最新の内視鏡治療として、より広範囲な病変に対応できるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)に対応できる内視鏡やデバイスも出てきています。

    「異常は見つかりません」とはっきり言えるのも内視鏡検査のメリット

    内視鏡検査を受ける方は主に、健診などで内視鏡による二次検査をすすめられた方、あるいは何らかの自覚症状や不安によって自ら内視鏡検査を受けてみようと考えられた方がいます。 上部内視鏡では、バリウムの検査で異常が見られたり、胃がんの原因になるヘリコバクターピロリに感染している可能性があるなどの健診での指摘によって検査をすすめられます。また心窩部痛や胸焼け、胃や食道の痛みや違和感を感じて内視鏡検査を受診される方もいます。 下部内視鏡では、健診で便潜血の指摘を受けたり、便秘や下痢が日常的に続いていたり、下腹部痛や違和感や下血を契機として内視鏡検査を受ける方もいらっしゃいます。
    最近の傾向として何らかの自覚症状がある場合、患者さん自身が自分の症状に当てはまるものをネット検索して「自分は○○なのではないか」と病名を予想して検査を受けに来られることも多くなってきました。これは健康に対する意識として、病気の早期発見にも繋がり良いことではありますが、患者さんの不安が大きくなって体に影響している場合も少なくありません。
    NBIや組織検査も含む内視鏡検査は、CTやレントゲンなどのさまざまな検査方法に比べても消化管の検査において、もっとも確実性の高い検査だと言えます。内視鏡検査をおこなえば、がんの発見やその他のさまざまな消化器疾患の診断・治療ができるのはもちろんのこと、何も見つからなければ、「異常は見つかりませんでした」と患者さんに告げることができます。患者さんの消化器に関する不安の解消に、最も有効なのが内視鏡検査だともいえるのです。

    経鼻内視鏡と鎮静化による患者さんの苦痛の少ない検査を実施

    当クリニックに内視鏡検査の特徴は器機の選択や使用方法、手技、鎮静剤の使用など、さまざまな点で極力患者さんが苦痛を感じないようにしている点にあります。上部内視鏡では、咽頭部で起こる反射(えづき)を少なくするために、経鼻型の極細の内視鏡を使用しています。この経鼻内視鏡検査は、苦痛が少ないため咽頭部への局所麻酔だけで、意識をはっきりと保ったままおこなうことも可能ですが、患者さんの希望により鎮静剤を使用して、リラックスした状態で検査していただくこともできます。
    また、下部内視鏡検査でも当クリニックでは細径の内視鏡を使用しており、患者さんの苦痛の軽減に配慮しています。検査時には消化管内がよく見えるように、空気を送り込んで大腸を膨らませるのですが、この時、当クリニックでは普通の空気ではなく、二酸化炭素を使っています。これは腸内に空気を入れると検査後おなかがはって苦しい場合があるのですが、二酸化炭素は腸内で素早く吸収され、呼気として排出されるためおなかがはりにくいという効果があるためです。下部内視鏡においても鎮静剤の使用が可能です。
    さらに内視鏡検査はおこなう医師の経験も重要で、軸の確保や、ファイバースコープを大きく動かすことなく自在に方向転換ができるなど、手技の正確さにも違いが出ます。私は大学病院や地域の中核病院で数多くの患者さんの内視鏡検査をおこなっており、内視鏡検査の専門医として充分な経験を持っていますので、患者さんには安心して検査を受けていただけることと思います。

    事前準備、アフターケアも万全の体制で

    当クリニックは内視鏡検査をおこなうための前処置室と、リカバリールームを設けています。下部内視鏡検査では事前に下剤の使用が必要ですが、高齢者など下剤の使用に不安を感じる方には来院後、前処置室で下剤を服用してもらい、検査の準備をしていただくことができます。クリニック内はバリアフリーで、介護者がついて入れる広いトイレも完備しています。
    鎮静剤を使った内視鏡検査後には、鎮静剤を覚ます薬を使用しながら、横になって休んでいただけるのがリカバリールームです。検査後、体の調子が元通りになるまでしっかり休んでいただけます。 また、平日仕事が多忙でなかなか時間がとれない方のために上部内視鏡検査は予約により朝の8時30分から検査をおこなっています。これならば午前中の半休といわず、わずかな遅刻で仕事に入れるのでお勤めの方などに喜ばれています。
    上部内視鏡、下部内視鏡検査によって、ポリープなど当クリニックで内視鏡治療が可能な病変が見つかった際、事前に患者さんに承諾いただいて、検査と同時に切除する場合もあります。また、がんや切除できない大きなポリープなど当クリニックで対応できない疾患が見つかった場合は、多摩総合医療センターや武蔵野赤十字病院など、地域の中核病院に紹介して迅速に治療を継続してもらいます。手術の終了後など、クリニックで対応できる治療をおこなう場合は再び当クリニックで継続して治療をおこなうことも可能です。

    潰瘍性大腸炎、機能性ディスペプシアなど …心のケアも大切な消化器疾患

    前述のように、最近では自覚症状からネットなどの情報を見て来院される患者さんも増えてきました。ある有名人が患っていたことでも知られる潰瘍性大腸炎の患者さんも「もしかしたら」という思いから来院され、内視鏡検査によりまさに潰瘍性大腸炎と診断された例もあります。厚生労働省の特定難病疾患に定められるこの病気は、20代など若いうちから発症する患者さんが多く、日本で急増する病気の一つです。明確な原因はわかっておらず、根本的な治療法もまだありませんが正しい知識を持って対応していくことで、日常生活を継続できる病気でもあります。
    また、近年では機能性ディスペプシアなど原因の特定が難しく、内視鏡検査によっても病変が見つからない病気なども出てきました。これもみぞおちの痛みや胸焼け、少量の食事での胃のもたれが起こるなど辛い病気ですが、内視鏡検査で、異常が見つからないと診断されることで、治療が好転する場合もあります。

    消化器は患者さんの自身の気持ちに大きく影響を受ける臓器です。不安を抱えてそのままにしておくより早期治療のためにはもちろんのこと、一番確実性の高い「安心」を手に入れるためにもぜひ積極的に内視鏡検査を活用してもらえればと思います。