内視鏡検査の専門医インタビュー (横濱おなか診療所)

内視鏡検査

命を救うのに最も有効なのは早期発見! がん治療のスペシャリストがおこなう 誰もが気軽に受けられる内視鏡検査

若林 峰生先生

2018/08/03

MEDICALIST
INTERVIEW
123

  • シェア
  • シェア
  • LINEで送る

横濱おなか診療所
若林 峰生 院長
mineo wakabayashi

  • 日本外科学会(専門医)
  • 日本消化器外科学会(認定医)
  • 日本臨床外科学会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本癌治療学会
経歴
  • 1988年 東邦大学医学部卒
  • 東邦大学第二外科、総合診療科、昭和大学横浜市北部病院 消化器センター
  • 国立聖林クリニック
  • 2016年 横濱おなか診療所を開設

より患者さんと近くで向き合える〝診療所〟でがんの早期発見を目指す!

より患者さんと近くで向き合える〝診療所〟でがんの早期発見を目指す!

私は大学病院で20年以上にわたって消化器外科医として胃がんや大腸がんなどの消化器のがんの治療をおこない、患者さんやその家族と一緒にがんと闘ってきました。しかし中には治療に最善を尽くしても命を落とされる患者さんや、無事手術を終えても数年後に再発し、亡くなられる患者さんもいらっしゃいました。「もう少し早くがんが見つかっていれば」と悔しい思いをし、がんの早期発見の重要性を強く感じていました。

その後、3年間知人のクリニックで地域医療に従事し、具合が悪くても仕事を休めない、歩くのが難しくて通院できないなど、医療を受けたくても受けられない方々の存在と、そのことによって病気の発見が遅れたり、悪くなったりする場合もあるということをさらに知ることとなりました。

そのため私は、皆さまが必要な医療を日々の生活の中で受けやすいかたちで提供することにより、あらゆる病気の早期発見、早期治療をおこないたいと考え、この診療所を開業しました。これまでのがん治療の経験で身に付けた内視鏡の技術も活かし、皆さまの健康に奉仕していきたいと考えています。

機器の進歩により飛躍的に患者さんの苦痛が減少した内視鏡検査

胃カメラと呼ばれる上部内視鏡や、大腸カメラとも呼ばれる下部内視鏡は、今では一般の方々もよく知る医療器具となってきました。現在では検査だけでなく内視鏡による治療の幅も広がり、ESD(内視鏡的粘膜下層はく離術)などの高度な治療も可能になってきています。

そんな日進月歩の進化を見せる内視鏡において、私たち診療所などの地域医療の携わる医師が注目しているのが患者さんの苦痛をいかに減らせるかという部分です。最近ではファイバースコープを鼻から挿入する経鼻型の上部内視鏡の性能が上がり、経口型と比べて患者さんの苦痛を少なくでき、精細な映像で十分早期がんを見つけられるレベルになってきました。また、下部内視鏡においてもファイバースコープの柔軟性が向上し、よりスムーズに検査が行えるようになるなど、上部も下部も、多くの方に気軽に内視鏡検査を受けていただける体制が整ってきています。以前内視鏡検査をして苦しい思いをしたという方も、最新の経鼻型内視鏡などでは検査による苦痛も随分と変わってくるはずです。健康診断の結果に異常や、医師のすすめがあった場合は、ぜひ気軽に内視鏡検査を受けていただきたいと思います。

内視鏡は消化器のさまざまな疾患や早期がんの発見に最も有効

内視鏡は消化器のさまざまな疾患や早期がんの発見に最も有効

バリウムを使ったレントゲンや、CT、超音波検査など、病気を見つけるための検査はさまざまありますが、食道から胃、十二指腸の前部までと、直腸から大腸、結腸までを調べるのに、上部、下部の内視鏡ほど有効な方法はありません。微細な病変を医師がカメラを通して目で見て発見し、その部分の組織を摘出して検査することができるのが内視鏡なのです。例えば早期がんを見つける場合においても内視鏡はレントゲンやCTよりずっと小さながんを発見することができます。

私は消化器外科の専門医として、長年がんの治療に内視鏡を使用してきました。手術をする前に病変部を確認することはもちろんのこと、術後の経過を観察するのにも内視鏡は欠かせません。また、大学病院ではがんの切除など内視鏡を使っての治療もおこなっていました。

診療所では、がんや大きな病変の切除は総合病院のような入院施設やバックアップ体制がありませんのでできません。しかしこれまで様々ながんを診てきたことで、内視鏡検査によってそのきっかけとなる小さな変化に気づくことができます。ご存じの通りがんは見つかるのが早ければ早いほど根治の可能性が大きくなります。まだ自覚症状がない段階の早期のがんを発見することができたなら、患者さんにとってこれほど幸運なことはありません。そんなことが可能なのは、大きな症状が出てからしかかかることのない大きな病院の検査ではなく、地域の皆さまが気軽に受けていただける診療所の内視鏡検査なのです。

最新の上部経鼻型内視鏡と下部内視鏡のメリット

最新の上部経鼻型内視鏡と下部内視鏡のメリット

当診療所で上部内視鏡の検査は、経鼻検査が可能な細径の上部内視鏡を使用しています。数年前までの経鼻型の内視鏡は、残念ながら径の大きい経口型の内視鏡と比べるとどうしても映像の鮮明さで及ばず、早期がんを発見するのは難しかったのです。しかし最新の経鼻内視鏡は、技術の進歩によりほんの数年前の経口型内視鏡の映像を凌駕するほどの性能を持つようになりました。

横浜市の上部内視鏡によるがん検診では、麻酔のリスクなどの観点から全身麻酔はおこなわずに検査をおこなうのがルールとなっています。当診療所ではこのルールに則って内視鏡を通す鼻ののどの奥に局所麻酔をおこないますが、基本的には静脈注射による鎮静や全身麻酔はおこなっていません。鼻からの挿入が難しく、経口に切り替えた場合も細径の経鼻型内視鏡は通常の経口型内視鏡よりも反射が小さく、患者さんの苦痛も小さくなっています。

一方下部内視鏡は、映像の鮮明さはもちろん、ファイバースコープの柔軟性が向上しており、腸内に癒着があったり、加齢や病変によって弾力を失ってしまった腸でも検査が可能になってきました。これまで下部内視鏡が入りにくかった患者さんの苦痛を減らすことができています。それでも、下部内視鏡ではある程度の痛みが出ますので、当診療所では患者さんが安心して検査を受けられるように静脈注射による鎮静をおこなって内視鏡検査をおこなっています。

上部内視鏡による胃がんの発見例

上部内視鏡による胃がんの発見例

早期がんの発見を開業の目的のひとつにかかげる当診療所ですが、開業から1年の間に、食道がんが1例、胃がんが2例、大腸がん3例を内視鏡検査によって発見しました。

胃がん発見の1例をお話しすると、60代の男性で1ヵ月ほど前から食事をするとムカムカして痛みも出てきたとのこと。家族のすすめで当診療所で受診されました。本来は薬嫌い、病院嫌いだということで、市販薬を飲まれることも無く、症状が出てからもがまんしていらっしゃいました。病状を聴いて内視鏡検査をおすすめし、経鼻型で以前の胃カメラと比べると随分検査が楽になったことを説明すると検査に同意いただけました。

患者さんにも見てもらいながら内視鏡で胃の中を観察すると、大きな潰瘍を発見したので組織を採取し、組織検査へ。この患者さんは、大きな病変部があったことに驚きはしたが、不調の原因となっている部位を直接見ることができ、少しほっとした気分にもなったとおっしゃっていました。

病変部の形状からはがんの疑いが強く、組織検査の結果を待って患者さん説明することに。結果はやはりがんで、検査データと紹介状を用意し、連携する総合病院への転院をすすめ、今後おこなわれるであろう病院での治療について説明しました。現在では転院された総合病院で治療をすすめられています。

下部内視鏡による直腸がんの発見例

下部内視鏡による直腸がんの発見例

また当診療所の下部内視鏡検査で発見例があるのは直腸がんです。こちらの1例は、50代の女性で便が出ず、おしりが痛いとのことで当診療所で受診されました。内視鏡検査の前に、触診で既に大きな腫瘍があることが分かり、内視鏡でみてみると直腸内に全周性のがんがありました。

この患者さんは数ヶ月にわたって腸の調子が悪いことを自覚しておられましたが、仕事の忙しさや「重い病気なのでは」という恐怖感から診察を受ける勇気が出ず、数ヵ月間放置してしまったとのことでした。

この方も紹介状と検査データを用意し、できるだけ早く最も良い治療が受けられるように総合病院へ転院していただきました。しかし、総合病院での精密検査ではがんの転移も見つかり、がんが進行していたこともわかりました。現在この方も治療をすすめていらっしゃいますが、少しでも早期にがんを見つけることができていたらと悔やまれます。

少しでも気になる症状があればあなたの家庭医にまず相談を!

少しでも気になる症状があればあなたの家庭医にまず相談を!

がんの初期には自覚症状はありません。自覚症状が出るころにはかなり進行している場合が多いのです。もしほんの少しでも不安を感じる症状があったら、あなたの一番身近な医師に相談して、一刻も早く検査を受けることがあなた自身の大切な命と健康を守る方法です。そして消化管の検査において最も確実度が高いのが上部・下部内視鏡による検査なのです。

もし何も異常が見つからなければ、患者さんにとってこれほど安心なことはありません。そして万が一がんが見つかったとしたら、それ以上に発見が遅れることを思えばそれはやはり患者さんにとっての幸運なのです。年齢を重ねていけば健康に不安が出てくるのが普通です。がんなどの怖い病気から目を背けたくなるのは人として当然のこと。そんな気持ちを私たちも自分自身にもあてはめて十分に理解しています。だからこそ必要な方にはこの内視鏡検査をぜひ受けていただきたいのです。

当診療所では、患者さんの都合に合わせて検査時間を相談したり、できるだけ苦痛の少ない内視鏡検査に取り組んでいます。患者さんの「安心」を確実なものとするために、または早期発見によりがんの根治を可能にするために、これからも積極的に内視鏡検査を続けていきます。