不妊治療の専門医インタビュー (井上善レディースクリニック)

不妊治療

患者さん一人ひとりに真摯に対応し、不妊治療を得意とする生殖医療専門医

井上 善仁先生

2017/07/20

MEDICALIST
INTERVIEW
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井上善レディースクリニック
井上 善仁 院長
Yoshihito Inoue

  • 日本産科婦人科学会専門医/日本生殖医学会
  • 生殖医療専門医/日本女性医学学会認定医
  • 日本産科婦人科内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医
経歴
  • 昭和59年 3月 九州大学医学部卒業
  • 同年4月 九州大学医学部婦人科学産科学教室入局
  • 昭和59年 6月〜 昭和60年9月 宮崎県立宮崎病院産婦人科研修医
  • 昭和60年 10月〜昭和61年3月 九州大学医学部附属病院産婦人科研修医
  • 昭和61年 4月 九州大学大学院医学系研究科博士課程入学
  • 平成2年 1月 同上修了(医学博士)
  • 平成2年 2月〜 平成4年3月 米国シンシナティー大学医学部生理学教室留学(visiting scientist: 訪問研究員)
  • 平成4年 4月〜 平成5年3月 福岡市立福岡市民病院産婦人科医長
  • 平成5年 4月〜 平成5年9月 九州大学医学部附属病院産婦人科医員
  • 平成5年 10月 同上助手
  • 平成8年 7月 同上併任講師
  • 平成10年 4月 福岡大学医学部産婦人科併任講師
  • 平成11年 10月 福岡大学医学部産婦人科講師
  • 平成20年 4月 福岡大学病院准教授
  • 平成21年 10月〜 平成28年6月 国家公務員共済組合連合会浜の町病院産婦人科部長
  • 平成28年 7月 井上善レディースクリニック開院

不妊症の状況に応じて適切な治療をご提案します

不妊症について

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。 日本産科婦人科学会では、この「一定期間」とは「1年というのが一般的である」と定義されています。不妊のカップルは約7組に1組と言われており、決して稀な疾患ではありません。

女性側の不妊には、複数の原因があることもよく見られます。 当院では、不妊症の検査を順序立てて最短期間で行い、問題点を抽出して治療にあたることを最も大事な基本と考えています。相談いただければ体外受精・顕微授精も行っています。

男性側に不妊となる原因があるケースが不妊カップルの約40~50%を占めており、男性因子への対応も極めて重要です。当院では最新の機器を用いて精液検査を行い、必要があれば不妊を専門とする泌尿器科とも緊密な連携を持って治療にあたります。

なお、当院では、不妊症の治療が少しでもストレスの少ないものとなるよう、メンタリティー・サポートを充分に行うため、独立したカウンセリング・ルームを設けています。 また、私はずっと不妊領域を専門としてきましたので生殖医療専門医、内膜症の手術の主体となっている腹腔鏡技術認定医は絶対に必要と思い取得しました。大学病院勤務の時には中高年外来や思春期外来を立ち上げた経験があり、そのため女性医学学会の女性ヘルスケア専門医の資格も取っています。どうぞ、安心してご相談ください。

不妊症のストレスを前向きになれるようにサポート

不妊症のストレスを前向きになれるようにサポート

医療者と患者さんとの間の垣根をできるだけ低くして、患者さんが話しやすい雰囲気を作ること、医者が対応できないことも看護スタッフがカバーして充分にご理解頂けるように個別に対応することを大切に考えています。不妊症の治療は患者さんにとってストレスの多いものです。一緒に頑張れるように励まし、少しでも前向きになれるようにサポートしたいと思います。診察時にはほとんど看護スタッフが同席していますので後で気になることがあればもう一度説明させていただくこともできます。

不妊症だけではなく、女性特有の病気をトータルにサポート

不妊症だけではなく、女性特有の病気をトータルでサポート

産婦人科という科目には大きく分けて四つの分野 「・周産期医学・婦人科内分泌学・婦人科腫瘍学・女性医学」があります。 その中で私は月経異常や不妊、不育を扱う 「婦人科内分泌学」と閉経後の健康維持を担う 「女性医学」を専門とし一般不妊治療から体外受精・顕微授精までほぼ全ての不妊治療、内視鏡手術、特に月経痛に悩む子宮内膜症や子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術、子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫に対する子宮鏡下手術は経験も豊富で充分な実績を有していると自負しております。また更年期障害や加齢に伴う女性の変化によって生じる脂質異常症、骨粗しょう症などの治療。中年以降の女性の健康維持を目的としています。

不育症とは、妊娠できても流産を繰り返してしまう状態のことをいいます。不育症にも免疫学的要因、感染症、子宮奇形、染色体異常など多くの原因があります。明らかになった原因に即した治療を行う必要があります。日本産科婦人科学会の指針に則して全ての原因検査を行い、適切な治療を行っていきます。

子宮内膜症・子宮筋腫の治療に関しては、高次施設との連携によりフォロー体制も万全です。クリニックで対応が困難な手術を要する場合には、浜の町病院などの高次医療機関と連携し、院長自らがその施設へ赴き手術を行うこともできます。このような医療連携により手術を行え、その後もしっかりとクリニックでフォローができるのは、患者さんにとって大きな利点であると考えています。

月経異常は初期診断での正確な原因の解明が重要です。 月経異常は思春期に最も多く見られる症状ですが、性成熟期や閉経周辺期にも頻繁に見られます。思春期に見られる無月経の中には全く月経が来ていない原発性無月経と、何らかの要因でそれまであった月経が停止する続発性無月経とがあります。この2つは全く異なるため、最初の診断が正確でなければ治療の開始が遅くなり、長期的に深刻な問題を引き起こす合併症の原因となる恐れもあります。多くの思春期の患者さんを診療してきた経験から、きちんと原因を解明し、最適な治療を行っていくことで、お子様の状況がどうなっているのかご心配されている親御さんにも、安心していただけると考えています。

また、当院では女性医学的治療として更年期障害や閉経後の疾患には、漢方薬などを用いながら適切な対処をしていきます。 更年期周辺は、卵巣の機能が衰え、女性特有の周期的ホルモンの変化や減少により、身体の調子が大きく変化したり不安定になったりする時期です。女性ホルモンは子宮や膣などの生殖器のみでなく、血管や脳、脂質代謝、骨の代謝にも影響を与えますので、更年期障害のみならず、閉経後は高脂血症(脂質異常症)や心筋梗塞、骨粗しょう症などの疾患が著明に増加することが知られています。これらの疾患に対応することが女性医学であり、当院では漢方薬やホルモン剤、他にも脂質降下薬や骨粗しょう症治療薬などを用いながら適切な対処をしていきます。

ひとりひとりの心と身体に寄り添える治療を目指して

月経痛や不妊症・不育症などの疾患がどれほど女性を苦しめ、生活の質(Quality of Life)を損なうかということを痛感してきました。
このような患者さんに対する社会や周囲の無理解は更に目に見えない圧力となって多くのストレスを女性に与えます。患者さんの悩みを充分に拝聴してそれと医学的な所見とを加味し、その患者さんに最も有効な治療を行うことを第一と考えて診療に当たっています。

まだ開業して1年ですが徐々にスタッフも拡充し、きめの細かい医療を提供したいと思っています。倫理的な側面があって難しいのですが浜の町病院在職中に開始した乳癌や血液疾患で化学療法を受ける方の妊孕性温存目的の卵子凍結もできればやりたいと思っています。

また、当院にて対応が困難な場合や手術を要する患者さんには近隣で医療連携をしている高次医療機関へ院長が赴き手術を行います。 その後もしっかりとクリニックでフォローができますので、安心してご来院下さい。