矯正歯科の専門医インタビュー (はた矯正歯科)

矯正歯科

『歯並びの治療を通じて患者さまのQOL(生活の質)を豊かにする』子供から大人まで、幅広い年齢層に対応する矯正歯科医師

秦 雄一郎先生

2017/12/12

MEDICALIST
INTERVIEW
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はた矯正歯科
秦 雄一郎 院長
Yuichiro Hata

  • 歯学博士
  • 日本矯正歯科学会認定医
  • 歯科医師臨床研修指導歯科医
経歴
  • 1978年 福岡市にて誕生
  • 1985年 ダリヤ幼稚園 卒園
  • 1990年 福岡市立七隈小学校 卒業
  • 1993年 福岡市立梅林中学校 卒業
  • 1996年 私立西南学院高等学校 卒業
  • 2002年 福岡歯科大学 卒業
  • 2006年 福岡歯科大学大学院博士課程(矯正歯科学)修了
  • 2009年 福岡歯科大学 助教(矯正歯科学分野)
  • 2012年 福岡歯科大学 講師(矯正歯科学分野)、医局長
  • 2014年(医)伊東会 伊東歯科口腔病院 矯正歯科部長
  • 2017年 はた矯正歯科 開院

QOL(Quality Of Life=生活の質)向上のためにも矯正歯科治療を。

矯正歯科治療についてインタビュー

最近は歯列矯正治療もだいぶ知られるようになりましたが、まだまだその重要性については十分に知られていないのが現状です。

日本は非常に優秀な医療保険制度によって非常に低価格で良質な医療が提供されています。そのため分かってはいても病気になってから医院にかかればよい、すなわち虫歯になってから歯科にかかればいいという考えの方がまだまだいらっしゃると思います。ましてや歯並びは特に痛みが出るわけでもなく見た目の問題を我慢すれば何も問題ないと思われがちです。

しかし、ガタガタの歯並びでは歯磨きがしにくくなり、長期的に見て虫歯や歯周病のリスクが高くなります。また、口臭の原因にもなります。

実際、80歳で20本以上歯がある方に悪いかみ合わせの方は少ないというデータがあります。つまり、歯並びがよいと歯が長持ちする傾向にあるのです。歯並びが良い人は何より、きれいな笑顔は他者にいい印象を与えて、より良い人間関係を築いていくことができQOL(Quality Of Life=生活の質)も高まります。

もし、虫歯や歯周病が進むと歯の治療回数が増えていき、保険外の見た目と機能の良い治療を選ぶとさらに治療費も増加します。いずれ抜歯になり、インプラントや義歯が必要となり、そのたびに治療費がかかることになります。結果としておいしい食べ物も食べにくくなり、見た目も気になり、QOLを低下させることになります。

このことから言えることは、歯列矯正治療でかみ合わせを治療すると、将来かかる治療費を減らして、さらにQOLを向上させることができるのです。まずは是非ご相談いただき、お会いできるのをお待ちしています。

矯正歯科専門として幅広いニーズにこたえる治療を心掛けています。

矯正治療は、乳歯と永久歯が混ざって生えている子供の時期の矯正(1期治療)と全部永久歯になってからの矯正(2期治療)の2つの時期に分かれています。

1期治療は、おもに4つの治療目標があります。

  • ①あごの成長のコントロール
  • ②永久歯の生え方のコントロール
  • ③歯並びに影響する癖の除去
  • ④悪いかみ合わせで生じる歯やアゴへの障害の除去

①は、子供では歯が生えている上あごと下あごの骨の成長がみられます。そのため、あごの骨の成長をコントロールしてよいかみ合わせを目指します。

②は、永久歯が生えるスペースを確保して正しく生えてくるよう誘導します。

③は歯並びに影響する悪い癖(物を飲み込むときに舌が前に出る癖、鼻が詰まって口呼吸している人、下くちびるを上の歯の内側に巻き込む癖、指しゃぶりなど)を訓練して取り除きます。

④は、本来前歯も奥歯も均等に咬むはずが、悪い歯並びによって一部の歯だけで強く咬むところができてしまうことがあります。これを放置すると強く咬む歯が痛くなってきたり、グラグラ揺れてきたりする場合があります。また強く当たらないようあごをずらして咬む癖がでることもあります。これらはすぐに改善しないと、あごがずれたまま成長してかみ合わせや見た目にも影響することがあります。そのため、一部強く当たる歯を動かして治療します。

今まで説明した4つの目標以外の問題は永久歯が生えそろってから2期治療で改善します。

以上のことから私は、特に子供からしっかり歯並びを管理することで、歯にブラケットという装置をつける2期治療の際に、抜歯をしないで済んだり、治療を短期間で終われたり、さらには2期治療自体をしなくて済んだりする治療を目標にしています。

矯正歯科治療についてインタビュー

多くの大人の方が
“歯並びは気になるし治療の必要性も分かっているが装置はちょっと、、、”や、“やりたいが仕事で忙しく時間が取れない”と言われます。そのため大人の方より比較的治療時間に余裕があり、装置の見た目が気になりにくく、痛みにも慣れやすい子供の時期からの治療をお勧めしています。もちろん大人から始める2期治療も専門的に勉強して豊富な経験があります。2期治療では、近年、従来の表側矯正以外に、装置がほとんど見えない裏側矯正(舌側矯正)やマウスピース矯正、そして必要なところだけを短期間で治す部分矯正など治療法があります。まずは矯正歯科でご相談されて自分に合った治療法を見つけることが一番だと思います。

患者さんの負担軽減を目指して。

矯正歯科治療についてインタビュー

当院は矯正歯科専門医院です。つまり、矯正歯科医が常勤で勤務しています。

通常の歯科医院では歯科一般と小児歯科、矯正歯科のように色々な歯科診療科目を全部されている医院が多くあります。しかし、矯正歯科はかみ合わせを治療する歯科の中でも特殊な診療科目です。そのため、多くの通常歯科医院では矯正歯科医に非常勤として勤務してもらい対応しています。

矯正治療は長い期間治療が必要で、さらに専門の技術が必要です。非常勤の先生が来られる場合は、月に1,2回矯正の日が決まっていることが多くなります。もし、装置でトラブルがあった場合や、予約したい日がその医院の矯正の日と合わない場合、対応できなかったり治療期間が延びる可能性があります。矯正歯科専門医院である当院ではそういう心配はありません。

また、当院では、副院長が口腔外科を専門としています。矯正治療では治療の前処置として親知らずなどの抜歯が必要だったり、骨の中に埋まっている歯があると動かすために歯茎を開いて装置をつけたりなどの口腔外科的処置が必要になります。通常の矯正専門医院では、口腔外科処置が可能な医院や大学病院に依頼して行うため患者さんは違う医院に行く手間が生じます。しかし、当院ではほとんどの場合、当院で口腔外科処置が可能です。

矯正歯科治療に用いる設備として、従来はセファロというレントゲン写真で治療計画を立てていましたが、埋まっている歯の位置を把握したり、歯を動かす支えとして用いる歯科矯正用アンカースクリューを入れるには不十分です。そこで当院は3次元的に診ることができる最新式の歯科用デジタルCTを備えています。従来のCTよりも被ばく量も少なく、高画質の画像を得られます。CT撮影をすることで、矯正治療で必要になることが多い親知らずの抜歯なども当院で安心・安全にできますし、より正確な治療計画を立案できます。

常に念頭に置いているのは何が一番患者さんのためになるか。

私が矯正歯科を志すきっかけは、やはり高校生のころアメリカへホームステイした時の経験が大きいです。

日本では、“矯正って何?”という時代に、同年代の子がみな装置をつけて当たり前のように治療していました。外国、特にアメリカは歯並びが身だしなみの一つとして将来の生活に影響することもあり、皆が治療していたことを後から知りましたが、歯に対する意識が高く歯並びを治療することが見た目だけでなく自分の健康維持につながっていることを高校生で理解していたことにびっくりしたのを思い出します。

現にアメリカではなりたい職業の第一位は矯正歯科医なのです。また、父が矯正歯科医であったことと、歯科大学で矯正歯科を学んだ際にガタガタの歯並びがきれいになる写真を見て“歯並びを整えれば虫歯や歯周病にもなりにくく、入れ歯などの治療もきちんとした装置を入れることができるので患者さんにとって一番大事なのではないか?”と思い矯正歯科を志しました。

当院の理念は、歯並びの治療を通じて患者さんのQOLを高めることです。QOLが高まることで結果的に人生を豊かになるお手伝いができるように心がけています。そのため、患者さんに負担がかからないように、治療の過程で痛みが出ないよう弱い力で歯がしっかり動くよう工夫をすることや、できるだけシンプルな方法で最小限の負担で済む方法を十分に検討するよう心がけています。また、最新の治療法を常に学び、患者さんに還元することを行っております。

矯正治療は特に子供から開始すると長くかかる治療です。そのためコミュニケーションを大事にしています。

患者さんは自分の治療がどこまで進んでいるのか、いつまで治療がかかるのか気になると思います。そのため、定期的に治療経過を写真でお示しして進み具合の説明を行っております。また、矯正治療は一見すると先生にお任せのように思われますが、患者さんの協力がないと治療が成功するのは難しくなります。例えば、装置をつけても歯磨きが不十分だと、虫歯ができてすぐに装置を外さないといけなくなったりします。また、自分で着脱する装置がありますが、それを決められた通りに使用しなかったり、歯並びを悪くする癖を治すための練習を、予定通りしなかったりするといつまでも改善せず治療のモチベーションが下がってしまうという悪循環になることがあります。そのため、なぜ装置を使うのか、使わない場合どうなるのかを詳しく説明して理解してもらい患者さんと一緒に治療を進めることの重要性を伝えるよう心がけています。

まだまだ歯列矯正治療は“お金がかかるだけで治療時間が長くかかる。本当にそこまでする必要があるのか?”というイメージがあると思います。そのため、治療の必要性やそのメリットを伝えていけるよう情報を発信していこうと思います。世界的には歯並びを整えることは常識になりつつあります。近い将来日本でもそうなることは確実だと思っています。また、マウスピース矯正など新しい治療法が今後さらに発展すると、短い時間でいい治療結果が得られるようになっていくと思われます。そのため日々最新の技術を学んでいこうと思っています。