腎臓病の専門医インタビュー (つかもと内科)

腎臓病

初期症状がない慢性腎炎・糖尿病性腎症 腎臓専門医による早期発見・治療の重要性

塚本 雅俊先生

2017/06/15

MEDICALIST
INTERVIEW
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つかもと内科
塚本 雅俊 院長
Masatoshi Tsukamoto

  • 日本内科学会認定 総合内科専門医
  • 日本腎臓学会認定 腎臓専門医
  • 日本透析医学会認定 透析専門医
  • 福岡市医師会認定 認知症相談医
  • 福岡県難病指定医
経歴
  • 福岡県大牟田市出身、昭和44年2月生まれ
  • 昭和62年3月 福岡県立三池高等学校 卒業
  • 昭和62年4月 鹿児島大学医学部 入学
  • 平成 5年3月 鹿児島大学医学部 卒業
  • 平成 5年5月~平成15年7月  鹿児島大学医学部第二内科
  • 平成15年8月~平成20年3月 杉循環器科内科病院(福岡県大牟田市)
  • 平成20年4月~平成22年3月 九州臨床薬理クリニック(福岡市)
  • 平成22年4月~平成26年9月 荒尾中央病院(熊本県荒尾市)
  • 平成26年12月 つかもと内科 開院

慢性腎炎・糖尿病性腎症について

慢性腎炎・糖尿病性腎症について

当院では腎臓専門医として慢性腎炎や糖尿病性腎症を専門的に診療します。 慢性腎炎は慢性糸球体腎炎とも言い、若い方にも起こる腎臓の病気です。 初期症状は自覚症状がほとんどなく、長期的に血尿やタンパク尿が続きます。 症状が軽いことから病気に気づかず腎不全になることもあります。

糖尿病性腎症は血糖値が高い状態が続くことにより、腎臓の機能が損なわれてしまう病気です。糖尿病性腎症が悪化すると腎不全に陥り、透析患者の原因疾患の第一位を占めています。 糖尿病性腎症の場合も、他の糖尿病性疾患と同じく、自覚症状が分かり辛く、かなり進行してからでないと自覚症状は現れません。

慢性腎炎や糖尿病性腎症も初期の自覚症状がなく、むくみなどの自覚症状が出現した場合は、かなり進行していることになります。 兆候として見分けやすいものは「タンパク尿」です。 タンパク尿は検尿によって検出できます。

初期の自覚症状がない慢性腎炎・糖尿病性腎症などの腎臓病疾患は検尿が重要

検尿が重要

腎臓内科が扱う腎臓は尿を作る臓器ですが、単に老廃物を尿に捨てるだけでなく、全身の代謝のバランスを取る臓器でもあります。また、病気で機能が低下すると回復が極めて困難な臓器です。 腎臓病は早期発見がとても重要で、そのためには検尿が大切になりますが、残念ながら医師でさえ検尿の重要性を認識していません。検尿の異常を見過ごさずに的確に評価し、速やかに必要な治療を行うことが重要です。腎臓病の原因は腎臓自体の病気である慢性腎炎もありますが、糖尿病によるものが圧倒的に多くなっており、ついで高血圧によるものが増えてきています。私は腎臓専門医であり総合内科専門医ですので、糖尿病や高血圧も含めて全身を治療して腎臓病の進行を防ぎます。特に糖尿病については腎不全対策で最も重要と考えており、「糖尿病から透析になる患者さんを一人でも減らす」というのが私のライフワークと考えています。 また、残念ながら腎臓病が進行していった場合は機能が衰えた腎臓の代わりに体のバランスを取ってあげなければいけません。腎不全期と言われる時期の治療は腎臓専門医でなければ困難です。最終的に透析が必要になる場合も、その前の段階の治療の良し悪しがその後に影響しますので、きちんとした治療が望まれます。

透析になる前の予防として腎臓専門医による糖尿病治療

透析になる前の予防として腎臓専門医による糖尿病治療について

現在、透析になる原因の一位は糖尿病です。二位の慢性糸球体腎炎の2倍以上の数で、2014年は15809人の方が新たに糖尿病が原因で透析になっています。 糖尿病で尿に蛋白が出ている場合は、そのままだと腎不全、さらに透析になる可能性が極めて高いです。しっかりと評価を行い、血圧・血糖をしっかりと治療する必要があります。当院では腎臓専門医として腎臓の状況をわかりやすく説明し、血糖・血圧のほか、腎臓に関して総合的な治療を行うことが出来ます。

健診などで検尿の異常・クレアチニンの異常を指摘された方

健診などで検尿の異常・クレアチニンの異常を指摘された方

慢性腎炎・糖尿病性腎症などの腎臓病の初期は検尿以外の検査は異常になりません。早く気づくために検尿はとても重要です。 しかしながら、単純な検尿だけでは腎臓病が重症かどうかはわかりません。特に尿蛋白は少しでも出ていたら「これくらいは大丈夫」なことはありませんし、様子を見ているうちに重症化してしまうこともあります。腎臓は一旦悪くなると元に戻らない臓器ですので、きちんと精密検査を行った上で本当に大丈夫かどうか評価が必要です。簡単な検尿で「蛋白+」というのは参考にはなりますがこれだけでは不十分なのです。 また、クレアチニンは腎臓の機能を表す血液検査で、腎臓の働きが悪くなると数値が大きくなります。数値が正常より高くなった時点ですでに腎臓の働きは正常の半分くらいになっているとされますが、体格や食事の影響を大きく受ける検査ですのでより影響を受けにくい検査で再検査を行います。 検診などで尿に蛋白が出ている・クレアチニンが高いと言われた方はぜひ一度当院での精密検査をおすすめします。まずは血液と尿の簡単な検査、必要に応じて腹部エコー検査まで行えば、きちんと「大丈夫」かどうかご説明できます。できるだけ食事を取らずにご来院ください。

腎臓病や透析医療は全身の疾患の知識が必要

透析になる前の予防として腎臓専門医による糖尿病治療について

幅広く全身を診ることができる内科医になりたくて、大学卒業後、母校で一番扱っている領域が多い内科学第二講座に入局し研修しました。 消化器、循環器、腎臓、血液、呼吸器、糖尿病のグループがあり、その中で腎臓内科を専門に選びました。専門を選ぶ際には研修医の頃に腎臓領域の経験が多かったことと、様々な検査値から病態を読み解くことが自分に向いていると思ったことがポイントだったと思います。 腎臓病や透析医療に関わっていると全身の疾患の知識が必要になり、経験を積むことで総合内科専門医および腎臓専門医を取得出来ました。

専門分野に限らず、患者さんに今のご自分の状態について理解していただき、今後どうなる可能性があり、なぜこの治療が必要なのかをご理解いただくことが治療の効果を上げるのに重要と考えています。自作のパンフレットも作成しておりますし、説明がかなり長くなりますがお付き合い頂いています。こちらがお話する以上に患者さんの話をよく聞くことも心がけています。 従来の固定観念にとらわれずに、常にアンテナを張って、良い治療法があれば積極的に取り入れるようにしています。

検査・治療だけでなく、インフォームドコンセントや知識の共有の実施

クリニックを受診する患者さんは皆さん大小はあれ不安を感じておられますので、まずはお話をよく聞いてよく説明し、不安をできるだけ解消してお帰りいただくように心がけています。

公民館での講演会などは行ってきましたが、まだまだ地域での認知度が高くはないのでさらに認知していただけるように努めたいと思います。実直に診療を行い認めていただくのが一番と考えています。どんな症状の相談でもお受けして、自分で治療できるものは自分で、専門医療が必要な場合は速やかにご紹介するのも開業医の仕事と思っています。