下肢静脈瘤の専門医インタビュー (目黒外科)

下肢静脈瘤

3000例以上の臨床経験を持つ下肢静脈瘤のスペシャリストによるホスピタリティ溢れる治療

齋藤 陽先生

2017/07/31

MEDICALIST
INTERVIEW
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目黒外科
齋藤 陽 院長
Akira Saito

  • 外科専門医
  • 脈管専門医
  • 日本血管外科学会認定血管内治療専門医
  • 身体障害者福祉法指定医
  • 下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医、指導医

「来て良かった」「人に教えたい」目黒駅前の下肢静脈瘤専門クリニック

齋藤 陽先生

私は大学病院、地域の総合病院でこれまで心臓外科を専門に医療をおこなってきました。その中でも得意としていたのは下肢静脈瘤の治療で、これまでに3000例以上の治療をおこなっています。
心臓外科の世界はドラマにも度々取り上げられるほど華々しいところです。しかし下肢静脈瘤の治療がスポットライトを浴びることはありません。それは心臓そのものの疾患のように、即、命に関わるというものでないからです。医師とて人間ですから、やはり注目されない分野の治療はやりたがらないのが普通です。心臓外科医として働くなら人の命を助ける「神の手」と呼ばれたい。そんな気持ちが医師にもあるのです。私にとっても下肢静脈瘤の治療は、まだ経験の浅かった勤務医の新人時代に割り当てられた仕事でした。しかし治療の結果、下肢静脈瘤の症状が改善することで驚くほどたくさんの患者さんの笑顔に出会うことができました。それは命を救ったはずの心臓の大手術をおこなった患者さん以上のこともありました。

こんなに喜んでもらえる治療ならぜひ自分の専門にしていきたい。そう思った私は「下肢静脈瘤なら齋藤医師」といってもらえるようになるまで、地域の総合病院でこの治療を自ら進んで徹底的におこないました。従来の下肢静脈瘤に対する手術方法は、約1週間の入院は必要なメスで切る手術でした。時代は変わりカテーテル治療が保険適応となり、下肢静脈瘤の治療は入院の必要がない日帰り手術が主流の時代になりました。治療の舞台も病院からクリニックへと移ったので、私も下肢静脈瘤の専門治療をおこなえるクリニックの開院を目指して動き出しました。
紆余曲折を経て2017年6月、ようやくこの目黒外科の開院に至りました。当クリニックで目指すのは、私の勤務医時代よりもさらに患者さんに近く喜ばれる治療をおこなうこと。万全のホスピタリティで患者さんの気持ちに寄り添い、「来て良かった」「人に教えたい」クリニックといっていただけるよう、励んでいきたいと考えています。

足がむくんだまま治らない、血管がボコボコ膨らんで見える、それは下肢静脈瘤かもしれません。

齋藤 陽先生

下肢静脈瘤は40代から70代ぐらいまでの方に多く、その中でも7対3の割合で女性に多い疾患です。足にむくみや足の重さやだるさを感じる、夜中に寝ていると足がつる、足の血管が浮き出て目立ち、湿疹や色素沈着など皮膚炎が起こり、かゆみが出るなどの症状があります。見た目も悪いので、特に女性の方は症状だけでなく、外見的に治すことも重要な治療です。

下肢静脈瘤は静脈を流れる血液が渋滞するために起こります。血液は心臓の強力なポンプ作用によって動脈を通って足の先まで届けられます。終点である足の先まで届いた血液は、静脈を通って心臓に戻ります。その際、血液は地球の重力に逆らって心臓まで昇っていかなければなりません。このとき血液を押し上げる力となっているのが足の筋肉のポンプ作用です。「足は第二の心臓」といわれるように、筋肉を動かすことによって静脈をもみ、血液を心臓の方向へと流していくのです。そして、もう一つの働きが静脈の逆流防止弁です。いったん上に昇った血液が再び下へ落ちないように逆流を防ぐ弁が静脈の中には数センチおきに備わっているのです。

この二つの働きによって足では健康な血流が起こっているのですが、長時間の立ち仕事をおこなうことによって足のポンプ作用が不十分となったり、妊娠、出産、遺伝などにより静脈の逆流防止弁が機能しなくなると血液が下に落ちていき、昇ってきた血液と落ちてきた血液がぶつかり合い、血液の渋滞が起こります。このようにして下肢静脈瘤が起こるのです。

下肢静脈瘤に有効ないくつかの治療方法があります。

齋藤 陽先生

この下肢静脈瘤を治療するにはいくつかの方法があります。まず簡単なのは弾性ストッキングを使った圧迫療法です。ストッキングで足を圧迫することによって静脈の血液が下から上へ押し上げられ、むくみやだるさ、こむら返りなどの症状を改善します。ただし、この方法な手軽ですが根本的な治療ではありません。ストッキングを脱げば効果はなくなり、暑い夏場でもストッキングをはかなければなりません。皮膚がかゆくなる、かぶれることもあります。いつまで履けなければならないかと言われれば、この先もずっとと言わなければなりません。なぜかと言えば、下肢静脈瘤は自然治癒しないためです。

根本的な治療法としては外科治療があり、さらに外科治療の中にはストリッピング手術とカテーテル治療の大きく2種類に分かれます。静脈で血液の渋滞が起こり、これが続くと静脈の中の逆流防止弁がだめになってしまいます。これによって老廃物を含んだ血液が足に溜まってしまうことで下肢静脈瘤は悪化していきます。これを防ぐには、逆流弁がだめになっている静脈を見つけて、逆流を止める必要があります。問題のある静脈を切除・摘出してしまうのがストリッピング手術、カテーテルによって閉じてしまうのがカテーテル手術(血管内焼灼術)なのです。

レーザーカテーテル・高周波カテーテルの2種類で下肢静脈瘤の治療が日帰りで可能になりました。

齋藤 陽先生

ストリッピング手術はいわゆる外科手術のことで、悪くなってしまった静脈を撤去するために、足を切開して手術をおこないます。当然手術後の経過観察と安静が必要で、病院に入院をすることが必要でした。ただし、最近は麻酔の方法も変わり、当院では日帰りストリッピング手術にも対応しています。

一方、レーザーカテーテル、高周波カテーテルによる治療法は、血管の中にカテーテルという細い管を挿入し、カテーテルの先端から出る高熱により静脈を焼いてふさいでしまう治療法です。 傷跡はカテーテルを通すための小さな穴だけですので、痛みはわずかです。この治療法は入院の必要がないため、入院設備のないクリニックでも日帰り治療が可能です。

カテーテルによる下肢静脈瘤治療が保険適応となったことで、下肢静脈瘤治療の舞台が大規模な総合病院からクリニックへと変わりました。すでに東京には下肢静脈瘤の治療をおこなうクリニックがいくつもスタートしていますが、私もこの分野に十分な治療経験をもつ専門医として、このクリニックを開院いたしました。レーザーカテーテル・高周波カテーテル治療の2種類の治療方法をおこなう設備とスタッフがそろうこの下肢静脈瘤専門クリニックで、患者さんには安心して治療を受けていただくことが可能です。

院内風景

当クリニックでのカテーテル治療の受け方とその流れ

当クリニックは遠方の方もアクセスしやすい目黒駅目の前、徒歩30秒の位置にあります。電話かホームページから予約が可能ですので、まずは初診をご予約ください。
初診では患者さんから状況をお聞きし、診察して、さらに超音波検査をおこないます。検査の結果はその場でご説明しますので、結果によって治療方針をご提案します。手術が必要となった場合はその説明をおこない、同意いただければ血液検査と心電図検査をおこないます。手術のスケジュールを決定してその日はお帰りいただきます。お仕事のスケジュールを調整する必要のある方は、検査だけ行い後日お電話で手術日をご予約いただけます。

手術当日は予約の時間に来院いただき、当日の体調をうかがって血圧、脈拍、体温の測定をおこないます。問題なければ治療着にお着替えいただいて手術室に入ります。ご希望の方には鎮静剤でウトウトと眠った状態で手術をおこないます。高齢の方は鎮静剤が効き過ぎて帰宅時にふらつく場合もありますので、鎮静剤を使わない場合もあります。

カテーテルによる治療は片足あたり10〜15分程度で終わります。 レーザーと高周波の違いは、レーザーが強火で炙るように焼くのに対し、高周波は弱火でじっくり焼くようなイメージでしょうか。治療効果(静脈の閉塞率)、再発率、合併症などの違いはほとんどありません。では、どのように使い分けをしているかというと、静脈が太い場合や静脈がクネクネ曲がっているなど、個々の静脈の形態のバリエーションに対応して焼くことができるのがレーザー、比較的真っすぐで素直な形をした静脈には高周波カテーテルを用いています。

カテーテル治療の際、皮膚に痛み止めの注射をおこないますが、当クリニックでは極細の針を使用し、ゆっくり注射して痛みを和らげています。傷あとや痛みの少ない治療法で患者さんの負担を最小限にしているのです。

術後は足を消毒して包帯を巻き、その上から弾性ストッキングを着用します。30分ほど回復室でお休みいただき、しっかりと目が覚めていること、血がにじんでいないことを確認して、次回の診察の予約をいただいてお帰りいただきます。

万全のホスポタリティで「人に教えたい」「また来たい」クリニックに

休憩室

私たちが自信を持って進めているのは下肢静脈瘤に関する高度な治療と当クリニックならではの手厚いホスピタリティです。スタッフは患者さんの不安を取り除けるよう、手術中に手を握って励ましたり、話し相手になったりします。足下が不安な高齢の女性が治療を受けたあとは、階下のタクシー乗り場まで付き添います。クリニックでマニュアルを決めたわけではありません。すべてはスタッフが独自で「患者さんのために何ができるか」を考えておこなった行動なのです。

クリニックの内装も医院然とした淡泊なものではありません。患者さんに落ち着いて診察を受けていただけるよう、そして私自身がリラックスして仕事ができるようこだわりました。また手術後にコンディションを整えていただく回復室はテレビモニター完備、足のマッサージ器も用意していて患者さんにとても喜んでいただいています。

これらすべてが当クリニックで取り組むホスピタリティです。はじめて来院された方には「来てよかった」といっていただき、もう来院された患者さんには「もう一度来たい」「人に勧めたい」といっていただけるクリニックを目指して、これからも医療とホスピタリティに邁進したいと考えています。