神経内科専門医インタビュー (あさひ脳神経内科・精神科クリニック)

神経内科専門医

横断的診断で一歩踏み込んだ専門的な治療を提供する 内科、脳神経内科、精神科の専門医

飯嶋 一侑樹先生

2020/03/03

MEDICALIST
INTERVIEW
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あさひ脳神経内科・精神科クリニック
飯嶋 一侑樹 医師
Kazuyuki Iijima

  • 脳神経内科専門医
  • 精神保健指定医
  • 内科認定医
  • 身体障害福祉法第15条指定医
  • 難病指定医
経歴
  • 2008年 東海大学医学部医学科 卒業
  • 2010年 東海大学医学部付属病院 脳神経内科 勤務
  • 2018年 東海大学医学部付属病院 精神科
          公益財団法人 積善会 曽我病院 勤務
  • 2021年 東海大学医学部付属病院 精神科 勤務
  • 2022年 医療法人 こまくさ あさひ脳神経内科精神科クリニック 院長

待合・受付

あさひ脳神経内科精神科クリニックの特徴は、診療案内にあるように内科、脳神経内科、心療内科と精神科の各診療科を、1つのクリニックで診ることが出来ることです。
脳神経内科、心療内科、精神科の違いや、どのような病気を診るのかなど、代表的な病気の解説をふまえて、横断的に診断・治療するメリットについて、飯嶋 一侑樹先生にお話をお伺いしました。

脳神経内科とは

内科・脳神経内科診察室

患者さんによく聞かれるのは、脳神経内科と脳神経外科の違いです。脳神経外科の先生は、脳腫瘍、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤など、主に手術をしなければいけない頭の中の病気を扱います。脳外科の先生は脳神経内科も診る方が多いので、患者さんは混乱しやすいのかもしれません。

それに対して脳神経内科は、脳だけではなく、脊髄や末梢神経などの細かい神経が変化して動作や感覚に障害が出る、手術では治らない病気を診断して治療するのが特徴です。代表的な病気としては、脳梗塞、頭痛、アルツハイマー型認知症、てんかんなどがあります。変性疾患といってパーキンソン病や脊髄小脳変性症など、いわゆる難病に指定されている病気もあります。一般的な症状としては、しびれやふらつき、頭痛、めまい、認知症に関しては脳神経内科におかかりいただくと、適切な診断と治療が受けられると思います。もちろん、しびれは整形外科的な領域の場合もあります。当院ではCT検査が出来ますので、原因をはっきりさせて治療にあたり、なかなか症状が緩和できない、手術の必要があるといった場合には、適切に整形外科に紹介させていただきます。

精神科専門医の心療内科・精神科

心療内科・精神科診察室

心療内科は、心の問題やストレスが身体に影響を及ぼす心身症の治療を行う診療科です。例えば、吐き気やめまい、頭痛、胃痛などの症状があって内科を受診しても原因がわからない、あるいは治療をしても症状がよくならないと言った場合で、ストレスを原因としたものであれば心療内科の受診をおすすめします。心療内科と精神科は基本的には同じですが、精神科というと抵抗のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。心療内科は安心して心を打ち明けて受診できる診療科であり、精神科は重症度の高い方を専門的に診断・治療していく診療科と考えていただければ良いと思います。

患者さんの症状に隠れている病気を探ること

CTスキャン

患者さんは、体の不調を訴えて各診療科におかかりになるわけですが、ここで一番大事なのは、訴えている症状の下に隠れている病気は無いかということを、丁寧に診察することだと思っています。当院では、血液検査、レントゲン、CT検査などで内科的な疾患はある程度スクリーニングすることができます。必要であれば近隣のクリニックで内視鏡検査などをお受け頂くことも可能です。内科的には問題が無いということがわかれば、心療内科・精神科でアプローチすることになります。

逆に、ストレスなどの原因があり、先に心療内科を受診していただいた患者さんに身体的な病気が隠れていることもあります。私は、元々内科医ですので、身体疾患の除外も必要であると考えています。また、治療反応性を見るというのも大事で、抗不安薬などの精神科領域の薬を服用していただき、身体的な症状が無くなるのであれば、やはり精神的な部分が多いということになります。治療経過の中で、また頭が痛い、胃が痛いといった症状を訴える方もおられます。当院には、内科と脳神経内科、心療内科・精神科が併設されており、情報の共有が出来ることに加え、私自身は内科医、神経内科医、精神科医として総合的に診療できます。身体面と精神面の両方を相談できるため、安心しておかかりいただけると思います。

クリニック写真

心療内科、精神科の病気には身体的な症状を必ず伴っています

心療内科・精神科を受診される患者さんで一番多いのが適応障害です。適応障害は、環境の変化に伴う大きなストレスによって、不安感や抑うつなどの精神症状で、社会生活や日常生活が送れないほどの苦痛を感じる状態です。吐き気や胃痛などの身体症状を伴うこともあります。不眠症や不安感といった不適応の初期段階の症状には、抗不安薬などを使いますが、適応障害でも抑うつ傾向の強い方には、最初から抗うつ薬を使う場合もあります。内科で抗不安薬をもらうだけでなく、しっかりと診断して治療を開始し、早い段階で社会生活に戻れるようにするのが専門医の役割だと思っています。

パニック障害も、患者さんの多い病気のひとつです。典型的なのは、電車に乗ると閉鎖感があってドキドキするとか、過呼吸、冷や汗、動悸、吐き気などの発作が起こるのではないかという不安に駆られて、電車に乗れないというのが代表的な症状です。パニック障害に対しては、薬物療法と認知行動療法を行います。認知行動療法とは、発作に対するイメージに修正をかけてあげて、発作が起きないように訓練をする治療方法です。パニック障害を克服して社会生活を送るための治療のアプローチは、精神科専門医による確かな診断と治療が重要です。

内科から精神科へ、専門医による認知症の治療

内科というと、やはり生活習慣病の方が多いですが、高齢になって認知症を発症される方も少なくありません。認知症は、もの忘れ、理解力や集中力の低下、気分の落ち込みといった中核症状に対しては脳神経内科が得意としていますが、進行して暴力や暴言といった精神症状が出ると、精神科医の専門的な薬物療法や対応が必要になります。当院では、元々の生活習慣病などに加え、認知症の中核症状も精神症状も対応した治療を総合的に行うことができます。施設への入所を考えられていた方が治療によって家で過ごせるようになった例や、施設への入所を断られていた方が治療によって入所できるようになった例もあります。ご家族が認知症でお困りの方は、是非一度ご相談いただきたいと思います。

診察時に心がけていることは丁寧な問診と説明

「こんなに診察前に問診票を書くのは大変」と思うかもしれませんが、いろいろな角度から細かく書いていただくようにしています。その後、改めて話をお伺いしますが、問診票で患者さんの情報を前もって入手することで、ある程度診断がつく方もいらっしゃいます。脳神経内科の疾患については、非常に病気が多彩なので、専門用語を使わずに分かるように、また検査の結果などについても同様、患者さんが理解できるような説明を心がけています。

脳神経内科や心療内科・精神科の患者さんは、非常に不安な気持ちでクリニックに来ているので、そのお気持ちを汲んでさしあげることを大切にしています。入室する前からお声掛けをしたり、様子を見ることもあります。

風邪や頭痛、しびれやふるえ、生活習慣病などで内科を受診することが、日常的には多いと思います。そういう方でも、最近眠れない、気分が落ち込んでいるなど、精神的にも不調があれば、おかかりいただきたいと思います。このクリニックだったら何でも任せられると思っていただけるように、地域医療に貢献していきたいと思っています。心と身体のどんな些細なことでもご相談ください。