小児アレルギーの専門医インタビュー (なかむらこどもクリニック)

小児アレルギー

登戸のお子さんの
“かかりつけ医”へ
小児科とアレルギー科の専門医

中村 俊紀先生

2021/07/15

MEDICALIST
INTERVIEW
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なかむらこどもクリニック
中村 俊紀 院長
Toshinori Nakamura

  • 日本小児科学会 専門医・指導医
  • 日本アレルギー学会 専門医・指導医・代議員
経歴
  • 昭和大学小児科学講座入局
  • 町田市民病院小児科 勤務
  • 昭和大学病院周産期部門新生児センター 勤務
  • 昭和大学横浜市北部病院小児科 助教
  • 昭和大学病院小児医療センター 病棟医長
  • 昭和大学医学部小児科学講座 講師
  • 国立成育医療研究センター病院 集中治療科 フェロー
  • 英国Imperial College London 小児科 客員研究員

専門医ってご存知ですか?

中村俊紀院長

――中村俊紀先生は小児科のスペシャリストでアレルギーのスペシャリストでもある専門医です。登戸地域の小児アレルギー診療のボトムアップをしたいとおっしゃる中村先生は、専門医の指導医を務める立場でもいらっしゃいます。専門医とそうではない場合の、その違いをお伺いしました。

アレルギーに苦しむお子さんはこの数十年の間に急増していますが、その専門医の数は追いつかず不足しているのが現状です。多くのアレルギーのお子さんは軽症であり、アレルギー専門医でなくとも安全に診療できます。しかし、時にいらっしゃる重たいアレルギーの症状に苦しむお子さんやこれまで受けている治療に対して、ご不安がある方にはアレルギー疾患に対して十分な知識と経験をもつ専門医の出番かと思います。また、アレルギー診療は日新月歩です。そのような最新の知識を主体的に得て、積極的に患者さんに役立てようとしているのが専門医だと思います。

アレルギー診療は日新月歩と申しました。例えば、20年前には食物アレルギーの疑いがある食べ物は原則排除すべきという時代でした。今は個々の患者さんの症状発症リスクを評価して、少量でも安全に食べれる量があれば積極的にを食べることをお勧めします。まさに真逆の診療であり、医師・患者さんともに混乱を来しますが、専門医の役割はまさにそのような事がなぜ起こったのかを理解し、分かりやすく説明することだと思います。

アレルギーは命に関わることは少ない病気です。しかし、適切に診療しないと、どんどん症状が増悪する方がおられ、日常生活で困難を抱えていらっしゃることあります。生活の質の低下ともよばれますが、そのような方たちには、例え専門医が一人で頑張っても十分にサポートできるわけではありません。私たちのクリニックはまだ始まったばかりではありますが、看護師は小児アレルギーエデュケーターやアレルギー疾患療養指導士の資格を得るために頑張っています。このように医師一人の力の限界をしり、チームで患者さんを支え、病気だけではなくQOLを向上させる体制を地域に作ることが専門医の大事な役割だと考えています。

専門医を目指したきっかけ

診察室

アレルギーに興味を持ったのは、自身が幼少期にアレルギー疾患である気管支喘息を患っていたからだと思います。気管支喘息は発作といって、急に空気の通り道が狭くなる疾患ですが、発作を起こすと呼吸が苦しくなり、両親に何度も夜中に病院に連れて行ってもらいました。学生時代に小児医療の素晴らしさを経験し、小児科医となることを決めましたが、働き始めてからは「一人前になるにはアレルギー以外にも幅広い知識と経験を必要」と思い、新生児医療から小児集中治療医療まで一生懸命に研修しました。私の若い頃からアレルギー疾患の患者さんは非常に多く、特に専門にせずともアレルギー診療に関する「経験」は自然と積めました。一方で、その管理や治療は凄まじい勢いで変化し、患者さんに適切な治療を提供するには常に新しい知識を得る姿勢が求められました。このダイナミックなアレルギー疾患の管理や治療に関する変化に遅れを取らないよう勉強していくうちに、さらにアレルギーの奥深さに魅せられて専門医となることに決めました。

ステロイドを正しく使って、病気をコントロールする

看板

ステロイドを使うことに抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。ステロイドは長年医療現場で使われており、アレルギー疾患以外の多くの疾患にも用いられるお薬です。「ステロイドの副作用が怖い」「ステロイドを一度使うと、一生使わないといけない」などの不評被害で「怖い」「悪い」印象が強くなったのではないでしょうか。ステロイドはお薬なので副作用がないとは言いませんが、医師の処方のもと正しく使うことで、その副作用リスクを下げることができます。ステロイドを“使わないメリット”よりも、“使うメリット”が大きいのです。多くのアレルギーの患者さんでは、医師の治療による適切な「使用量」「使用回数」の調整を行えば、副作用を最小限にして、病気をコントロールすることができます。

大事なことは保湿剤を塗ることではなく、保湿されている状態を達成すること

アトピー性皮膚炎の患者さんでは、バリア機能を守るためには保湿が欠かせません。夜、お風呂の後に保湿剤を塗るのはもちろんのこと、朝にも保湿剤を塗ってケアできると、お肌のバリア機能がぐんとアップします。水遊びやプールの後にも保湿ケアを忘れずに。大事なことは皮膚が清潔に保湿されている状態を維持することです。 「洗ってきれいにして保湿する」腰のあるしっかりとした泡で擦らず優しく患部を洗ってあげてください。とは言っても仕事や学校などで難しいことも多いと思います。生活の中で無理のない範囲で保湿するよう心がけることが何より大切です。 お子さんによっては保湿剤のベタベタを嫌がって塗らせてくれないこともあるので、当院では“朝はさらっとした保湿剤”“夜はしっかり塗れるベタっとした保湿剤”と処方を分けるなど工夫をしています。お子さんにとっても、ご両親の方にとってもなるべく負担の少ない治療を継続していくことが一番と考えています。

医院風景