消化器外科専門医インタビュー (西大井内科)

消化器外科専門医

駅の目の前で気軽に通えるクリニックで肝・胆・膵の専門診療を実施。生活習慣病からガンまでの幅広いアドバイスにも注力。脂肪肝に警鐘を鳴らす「肝疾患」のスペシャリスト

石橋 一慶先生

2017/07/26

MEDICALIST
INTERVIEW
51

  • シェア
  • シェア
  • LINEで送る

西大井内科
石橋 一慶 院長
Kazuyoshi Ishibashi

  • 医学博士
  • 肝胆膵高度技能指導医
  • 外科専門医
  • 消化器外科専門医
経歴
  • 1994年 昭和大学医学部卒
  • 1994年~2001年 昭和大学藤が丘病院 一般消化器外科 助教
  • 2001年~2002年 医療法人育成者 佐々木病院外科
  • 2002年~2007年 昭和大学藤が丘病院 一般消化器外科 助教
  • 2007年~2011年 昭和大学藤が丘病院 一般消化器外科 講師
  • 2011年~2012年 医療法人慶泉会 町田慶泉病院 外科
  • 2012年~2016年 聖マリアンナ医大 横浜市西部病院 消化器一般外科 医長
  • 2016年 4月~ 西大井内科 院長

病気を未然に防ぐ。めざす診療の実現のため開業医へ

クリニック入口

当院を開院したのは2016年と最近のことです。以前は勤務医として大学病院や市中病院の一般消化器外科で診療にあたっていました。
専門分野は肝・胆・膵。肝臓と胆のう、そして膵臓です。若いころ、肝移植など高度な技術が要求される分野の医師として、多くの患者さんの役に立てればと感じていて自然と興味が湧き専門に。以降、大学病院や出向先の病院では胆嚢がんや膵がんの手術も行い数多くの研鑽を積みました。
そういったキャリアを通して芽生えたのが開業です。先ほどの胆嚢がんや膵がんの患者さんだけでなく糖尿病などの生活習慣病を悪化させ、脳梗塞や腎不全・透析となってしまうなどの多くの重篤な患者さんへの治療にあたってきて、ふと「ひどくなるまえに治療できれば」と思いました。であれば、誰もが気軽に来院でき、相談もできるクリニックのほうがいい。患者さん一人ひとりの生活習慣も鑑みながら診療にあたれる開業医になることを決めたというわけです。

「病院にかからないように」を目標にするクリニック

診察室

当院がコンセプトとしているのは、「病院にかからないためのクリニック」です。病気かどうかの正確な診断と早期発見・早期治療を実現できる環境を整え、患者さん一人ひとりの健康を維持でき、かつ病気がひどくなるまえに食い止められる診療に取り組んでいます。そこで、まず求められるのが検査体制ですが、胃内視鏡検査、超音波検査、ピロリ菌検査、動脈硬化や糖尿病の評価、バイオマーカーを用いた膵がんおよび乳がんの早期検査など、幅広いメニューを用意。患者さんがさまざまな検査をスムーズに受けられるようにしてあります。
なかでも、私の専門分野でよく使用するのが超音波検査です。「脂肪肝や肝硬変などの肝障害」や「肝がん」、「胆石」や「胆のうがん」、加えて膵臓のなかなどに液体が入った袋ができる病気「膵のうほう」や「膵がん」の診断ができ、特に肝臓や膵臓の1㎝未満の小径の病変を発見するのにたいへん有用です。そして、超音波検査は、経験を重ねた専門医が担当するか否かで精度が左右される検査でもあります。
例えばすい臓がんの場合、淡くて黒いもやのようなものが映し出されるケースがありますが、経験を積んでいなければ異常なしとなる可能性もあります。また、超音波検査では体型などにより画像で膵臓自身が見えないことがあります。そのような場合は「評価不能」としてMRIやCTを行うべきですが「異常なし」とされ放置される場合も多々あります。このような適切な評価ができるか否かは専門医の技量によります。超音波検査以外の方法としてはCTやMRIもありますが、すい臓がんの発見を目的に定期的に受けるというのは現実的とはいえません。膵がんは死亡率が高いがんですが、早期発見で完治できる可能性が高まります。問題がなければ年に1回の検査となりますが、6ヶ月に1回行った方が良い方もいます。心配な方はまず超音波検査をおすすめします。

今、非常に多い肝・胆・膵の病気とは?

肝・胆・膵でもうひとつお話しておきたいのが、「脂肪肝」です。“ただの食べ過ぎ”など、重篤なイメージはないかもしれませんが、実はやっかいな症状です。というのも、然るべき処置をせず放っておくと、脂肪肝の一部は「NASH(ナッシュ)Non-alcoholic steatohepatitis」という非アルコール性脂肪肝炎に変化し、さらに肝硬変を発症する場合があります。そして、肝硬変の20%は肝がんにも。このように脂肪肝を原因とした肝硬変による肝がんは近年で増加傾向にあります。
脂肪肝の発症率は国民の3人に1人ととても多くの方が持っています。そのすべての方が肝硬変になるわけではないので過度な心配は無用ですが、放置をするとその一部の方に肝硬変や肝がんのリスクが生じるということは確かです。肝臓診療の世界では、この脂肪肝の重大さを広く発信しどう治療していくかがトピックになっています。

脂肪肝のいちばんのリスクは“放っておく”こと

内視鏡検査機器

脂肪肝の原因のひとつはカロリーオーバーによるもの。治療としては、超音波検査や血液検査で脂肪肝の状態を適時観察しながら、カロリー制限や運動など生活習慣の是正を行っていきます。30〜40代の働き盛りで脂肪肝をそのままにしてしまい、60〜70代でB型、C型肝炎ではないのに突然肝硬変になってしまう。それは非常に残念なことですので、検診で脂肪肝と診断された方はぜひ当クリニックに相談いただき、無用な心配をせずに、リラックスしてアドバイスをお聞きくださることをお勧めします。
当院で積極的にアドバイスを行っていて感じるのが、患者さんが自分の体を知り生活を見つめることが健康につながるということ。脂肪肝にしても、おおよそ体重の7%減量できれば改善するいうとデータもありますので、どうカロリーを抑えて日々を送るかが重要になるわけです。もちろんその計画を立てるのはクリニックですが、実行し継続するか否かは患者さん自身。ですから、一人ひとりの意識に寄り添えるようなアドバイスというのは非常に重要なんですね。当院の専門性といえば先のお話の通りですが、医師としていちばんのこだわりは「患者さんが本当に納得できるアドバイス」。ここに尽きると思っています。私もお米やお酒が大好きです。見ず知らずの医者から通り一遍に説明されても、我慢できるものでもないですものね。

受付

知っておきたい食事と健康の関係

キッズスペース

最初にお話ししたように、大学病院勤務が長かったので、開業以前は、開業医の仕事は粛々と行うものだと感じていた面もありました。しかし、そういったことはなく、さまざまな悩みの方が来院し、また風邪ひとつとっても非常に千差万別で興味深い。また、患者さんにいい加減なアドバイスをするわけにはいきませんから、何かよい情報があれば徹底し調べて伝えるなど、日々自身の知識をアップデートできる環境があり、大きなやりがいを感じています。
高血圧やがんなど、テレビや本で色々と言い尽くされていますが、実は結構、話題豊富なんですよ(笑)。体によい食事の話題など、患者さんに特によろこんでいただいています。例えば、日本人は塩分を好む民族で、1日約13gと多くの塩分を摂取しているといわれています。普通に過ごしていても高血圧のリスクがあるわけですが、そこで血圧が高めの方には、梅干し1個は2g・味噌汁1杯は1.5gなど、料理にどのくらいの塩分があるのかお伝えしています。また一方で、体によいものとして紹介しているのがお酢です。常飲すると、血圧を下げ脂質を落とす効果があることが判明しています。最近はブルーベリー味など、ジュースのように飲める酢もあり手軽に飲めるのでよくおすすめしていますね。あとは食事の食べ方。糖尿病の患者さんが血糖値を効果的に下がるための方法なのですが、野菜・魚・肉・白米の順番で食べる。白米に含まれる糖質の吸収を野菜や魚などが抑えてくれるんです。糖質の摂取過多は脂肪肝とも関係しますので、脂肪肝の方にも有益な情報です。
これらは、うまく利用すると薬に匹敵しうる効果が期待できます。患者さんが生活の中で気軽に取り入れられる情報を提供していくことも診療の一部だと私は考えています。脂肪肝も生活習慣病も放っておけば重篤な病気の引き金になりますが、その原因は生活のなかにある。日々の生活のなかで患者さんが無理なく健康維持に取り組めるということは、長い目でみれば非常に意義のあることなのです。

心配すべきを心配し、健康で豊かな人生を

健康はもっと簡単に考えていいと思います。インターネットなどを見ると健康や病気に関する情報が溢れかえっています。その中で心配しすぎている方が多くいらっしゃいます。実際は病気ではないのにあまりに深刻になってしまったり、マスコミの情報を鵜呑みにして病気だと判断しまったり。またその一方で、危険性があるのにずっと放置して放置して大病と患う方もおられます。正しい助言を行うのは医師の役目です。心配事があれば、まず私たちにご相談いただきたいと考えています。
そして、「病院にかからないための場所」としてクリニックを活用していただきたいと思います。自身の体の状態をはっきりと自覚しながら、不調があれば早めに受診する。そういったサイクルを整えていけば、生活習慣病の大きな抑止力にもなります。当院は患者さんがリラックスできくつろげる空間づくりにも取り組んでいます。ぜひお気軽にお越しいただければ幸いです。