にきびの専門医インタビュー (マアク皮膚科)

にきび

子ども・思春期・大人まで ニキビに悩む幅広い患者の 治療に取り組む皮膚科専門医

藤村 真美先生

2017/10/20

MEDICALIST
INTERVIEW
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マアク皮膚科
藤村 真美 院長
Mami Fujimura

  • 皮膚科専門医
  • 腫瘍 アレルギー疾患 皮膚形成
経歴
  • 帝京大学 卒業
  • 東京警察病院など勤務
  • ドイツ アフリカ 病院実習
  • インドネシア邦人専用クリニック勤務
  • 横浜総合病院 皮膚科 医長
  • 鶴見区 皮膚科クリニック 院長

患者さんとの対話、コンサルティングを大切にする皮膚科専門クリニック

診察室

マアク皮膚科は2017年6月に開業したばかり。内科、小児科のクリニックと処方箋薬局が集まっている新しい医療モール内にあります。江田駅から徒歩10分、みすずが丘バス停から徒歩1分、広い駐車スペースも確保しており、交通も便利な多くの方に気軽に来院していただけるクリニックです。

かゆみ、痛み、できもの、アレルギーなど、皮膚科は皆さまのさまざまな肌のトラブルに対応する診療科です。肌のトラブルは、症状がひどくなってから医師に相談するという人が多いのが現状ですが、他の病気と同じく早期の治療が高い効果を上げます。「こんなことで相談してもいいのかしら」などと考えず、小さなトラブルでも肌のことならなんでも安心してご相談ください。

また、当院の特徴は何よりも「患者さんとの対話」を大切に診療を進めていくことです。私は日常生活の話やよもやま話の中から患者さんの体の悩みにつながる原因を見つけ出し、治療に役立てるという取り組みを長年おこなっています。専門の皮膚科についてはもちろんのこと、そんな話の中から他の診療科の疾患を見つけてしまうこともしばしば。この地域では、医師会による医師同士の連絡もスムーズで、この医療モール内の内科や小児科の先生にはもちろん、それ以外の診療科においても連携が可能です。

青春のシンボルなどといわれたのは昔の話。ニキビはれっきとした皮膚疾患です。

院長の診察の様子

思春期に発症することの多いニキビ。清潔にしていれば自然に治ることもあることから、十数年前まではわざわざ皮膚科に相談することはないものだと考えられていました。しかし、それはあくまで日本国内のことで、海外ではもっと早くから医師による治療が必要な疾患と考えられ、医療によるニキビ治療が確立していました。日本でも海外の状況に追いつくべく、日本人の肌に合わせたニキビの治療法を確立していこうと皮膚科の専門医が積極的に動き出したのがこの十数年前のこと。今ではほとんどの皮膚科でニキビの専門的な治療相談が可能です。

一般的にニキビといえば思春期ニキビをイメージされますが、もっと小さなお子さんに起こるニキビや、成人になってからもニキビが出ることがあるのは皆さんもご存知ではないでしょうか。これらのニキビは発症のしかたやケアの方法も違い、正しい治療をおこなうためには専門医による個別の診療が一番効果的です。また黄色人種の肌は、白人や黒人とも違い、海外でのニキビの治療法をそのまま持ち込んでも良いわけではありません。日本人の肌に合った適切な治療を選択するという意味からも、皮膚科での診療が有効なのです。

院内風景

市販薬によるニキビ治療の効果は?

また、ニキビといえば、まず市販薬による治療を思い浮かべられるのではないでしょうか。テレビのCMなどの広告によって商品名をご存知の方も多いはず。これらの市販薬はニキビの治療にとても高い効果があります。しかしニキビの病態にはステージよっていくつもの種類があります。ニキビのできはじめから、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビ、ニキビ跡などまで、段階を経て変化していくのです。

1種類の市販薬を使用すると、どの段階のニキビかによって対応できる場合と対応できない場合があります。白ニキビには高い効果を示す薬でも、黄ニキビには効かない、そんな場合があるのです。もしひとりの人に10箇所ニキビがあったとしたら、その箇所によって状態が違うのが当たり前です。市販薬を使用したとき、もし現在あるニキビが1種類の市販薬でカバーでき得る病状なら、きれいに治ってしまうことも十分あります。しかし治らないニキビがあるという場合も当然起こり得ますので、そんな時は使用中の市販薬が効かないニキビに対応する治療方法を考えなければなりません。

市販薬を使ってみたが治らないニキビがある。あるいは全く効果が出なかったという場合も皮膚科に相談いただくのが早道です。

徹底カウンセリング! 日常のスキンケアと薬剤治療でニキビにならない肌を。

当院でのニキビ治療は患者さんとの徹底したカウンセリングからはじめます。患者さんとの対話によって、その方の体質や生活習慣、環境からニキビの増悪因子を探し出すのです。かといって、ニキビに関する質問をばかりおこなっていくのではありません。患者さんに日頃の生活の様子や、趣味、好きな食べ物など、なんでも聞いていきます。それは問診というより患者さんについてのよもやま話といった感じ。対話の中で私が「ここを改善すればニキビが治る」というポイントを見つけ出すまで、時間をかけてじっくりお話します。

この初診時におこなうカウンセリングは、ときに1時間以上に及ぶこともあります。もちろん他の患者さんもいらっしゃるので、必要な場合は一旦他の患者さんを診察してから続きをということも。やむを得ない場合は次回にカウンセリングの続きをおこなう場合もありますが、できるだけ初診時に治療の方向性を見つけていくのが当院のスタイルです。

具体的な治療法としては、抗生剤などの内服薬と、ニキビのステージに応じた塗り薬を患者さん一人ひとりの状況に応じて細かく処方します。市販薬で治療中だった方には、その薬を活かし、補強するかたちで治療をおこなう場合もあります。そして大切なのは患者さん自身がおこなう日頃のスキンケアです。乾燥肌か脂性肌か、顔の部分によって違うのかなど、顔の各部分の洗い方、洗顔料の選び方まで、しっかりとカウンセリングしていきます。

思春期ニキビの治療にも患者さん自身のモチベーションが大切

ニキビを気にする女性

日頃のスキンケアが必要なニキビの治療には、本人の「治したい」という意識が大切です。ご存知の通り思春期ニキビも対応を誤れば成人になってもなかなか跡が消えず、長年肌が荒れた状態で悩む人も多いのです。思春期の女の子はスキンケアや治療に真剣に取り組みますが、男の子は照れもあるのかなかなか自分から真剣に取り組もうという気持ちが湧きません。当院に来院した中学3年生の男子もそんな傾向にありました。

いつものようにカウンセリングからスタートしましたが、返事をするのはすべて同伴のお母さん。本人はつまらなそうにそっぽを向いているという状況でした。私はこれでは治療が進まないと判断し、思い切ってお母さんに本人に返事をさせるようにお願いし、2回目以降の治療には患者さんひとりで来るようにいいました。私も息子を持つ母親ですから、お母さんの気持ちも思春期の男の子の照れくさい気持ちもわかります。お母さんのいないところで本人に尋ねると、本人自身にも「治したい」という気持ちがはっきりあることが分かりました。

カウンセリングを進めると、この男の子は受験勉強に入り、暗記ものの勉強中にニキビを触るくせがついてしまっていることがわかりました。右側の頬はそれほどニキビがひどくないのに、左頬のニキビの状態がひどいのは、右手に鉛筆を持って、左手で頬を触ってしまうから。実はカウンセリングをおこなうまで、本人もそのことをはっきりと自覚していなかったのです。

これに気づいて私はできるだけニキビに触らないように注意し、内服薬、塗り薬を処方して、男の子に合ったスキンケアの方法をお勧めしました。現在は経過も良好でお母さんにも喜んでいただいています。

女性の大人ニキビの治療は化粧法や生活習慣の見直しが効果的

ニキビを気にする女性

ニキビといえば思春期をイメージしますが、実際に皮膚科に相談される患者さんで一番多いのは30代の成人女性です。30代といえば仕事が忙しくなり、責任も増えて、ストレスを感じる方が多く、ニキビが出やすいのもうなずけます。また仕事で活躍する女性は過度な化粧によって肌にダメージを負うこともあります。肌が荒れる、ファンデーションを厚くする、の悪循環で一層肌の状態が悪化してしまうのです。

当院で治療中の30代女性も、そんな肌荒れによるニキビに悩む患者さんのひとりでした。私がカウンセリングで最初にすすめたのは顔のうぶ毛剃りを控えることです。女性のデリケートな肌はカミソリによってどうしてもある程度ダメージを負います。うぶ毛を剃ることを控えれば、肌荒れは随分抑えることができ、ニキビも快方に向かいます。しかしこの女性は「化粧ののりが悪くなる」という理由で、うぶ毛剃りを控えることになかなか同意してくれませんでした。その中でなんとかうぶ毛剃りの間隔をできるだけ空けることをすすめ、ニキビの状況の変化を見てもらったのです。薬剤治療と合わせて効果が出はじめ、この女性もうぶ毛剃りを極力控え、ニキビのできにくい肌を整えるスキンケアの大切さを実感してくれました。

女性の大人ニキビの原因は、仕事によるストレス、睡眠不足、飲酒などの生活習慣の乱れ、そして化粧が原因になっていることが多いです。特に化粧品が肌に合っているかは判断が難しいところ。お気に入りのブランドが実はあなたの肌のストレスになっているということも決して珍しくありません。また、高価な一流ブランドなら安心と考える方も多いですが、一流ブランドはそのイメージを決める香料が多用されていて、肌への刺激が大きい場合もあります。化粧品に関しては残念ながら価格の高さ=安心にはつながらないのです。

私も皮膚科の専門医であると同時に女性です。化粧品の情報には常にアンテナを張り巡らせ、それぞれの患者さんにもっともあった化粧品を絶えず探しています。また、ブランドや製品だけでなく、化粧の方法によっても肌に与えるストレスが大きく違うということをご存知ですか? パフを使わずに指でたたく、厚く塗り重ねるのではなくベースの色味を工夫してパウダーで統一感を出すなど、化粧品はそのままでも化粧のしかたによって肌への影響が変わってくるのです。

薬を使った治療だけでなく、スキンケアからお化粧の方法まで、肌の悩みに関する事なら何でも相談いただけるのが当院です。美しい肌、ニキビになりにくい健康な肌をつくるために、いつでも来院ください。

クリニック外観