この記事の監修ドクター｜藤村 真美先生（マアク皮膚科）
ニキビは正式には「尋常性ざ瘡」と呼ばれる皮膚病で、皮膚科で保険診療による治療が受けられます。どんな薬が処方されるのか、ニキビの原因から見ていきましょう。
ニキビの正式な病名は「尋常性ざ瘡」皮膚科で治しましょう
頬やあごに、ぷつっと小さなニキビを見つけるたび落ち込んでしまう人は多いと思います。青春のシンボル。誰でもできる。とはいえ、一般調査の「悩みの原因になる身体的特徴」の中でニキビはいつも上位に挙げられます。ニキビは適切な治療を必要とし、保険診療を受けられる、れっきとした皮膚疾患であることを知っている人は少ないかもしれません。
ニキビ＝「尋常性ざ瘡」は皮脂が毛穴に詰まり、この皮脂を栄養としてニキビ菌が増殖し毛穴を変化させたり破壊したりする皮膚疾患です。でき始めは白くぷつっとしていますが、悪化して毛穴の中で炎症が起こると赤くなったり、化膿して黄色っぽくなったり、色々なステージを経て瘢痕を残してしまう事があるため、各ステージに見合った適切な治療が大切です。
思春期に急速にできるニキビは、ホルモンの影響で皮脂の分泌が増加し、大人の皮膚への変化の過程で毛穴が硬く詰まってしまう事が原因です。では、大人のニキビはどうしてできるのでしょうか。
大人のニキビは種々の要因が複数重なりあってできることが多いです。このため、思春期のニキビよりも一般的に治りにくく、再発もしやすいのです。要因として考えられるものは、
- ホルモンバランスの乱れ
- 睡眠不足や食生活の乱れ
- 紫外線やお化粧品による皮膚への刺激
- ストレスによる肌荒れ
などです。
皮膚科ではこんな治療を行います
思春期のニキビも大人のニキビも共通して、毛穴が詰まることがニキビ発生の始まりです。ニキビの治療は塗り薬（外用薬）と飲み薬（内服薬）の2つが主な方法です。どんな薬が用いられるのでしょうか。
外用薬①:抗生物質
ダラシンＴゲル、アクアチム、ゼビアックスなどがあり、アクネ菌や他の細菌を退治してくれます。細菌の活動が始まる前の、白ニキビや炎症後の黒ニキビには塗る必要はありません。
炎症が始まった赤ニキビや黄ニキビに対して使用することで、アクネ菌を退治して炎症を早急に抑えるので、毛穴やその周囲の皮膚への障害を抑え、ニキビ痕を予防する効果も期待できるのです。
外用薬②:イオウ製剤
イオウカンフルローションなどは古くからニキビ治療に使われてきた定評のある薬です。主に思春期のニキビに処方され、皮脂の過剰な分泌を抑えて肌を乾かしてくれます。他にも肌表面の角質層を柔らかく保ち、皮脂や汚れ、細菌などの排出をしやすくしてくれます。また、抗生剤程ではないものの制菌作用もあります。
肌質によっては皮膚を乾燥させる力が裏目に出て肌荒れを招くことがあり、注意が必要です。
外用薬③:角栓除去薬
ディフェリンゲル、べピオ、ビタミンA誘導体などがあり、ニキビの根本的な原因である毛穴のつまりを解消し、ニキビを作らせない肌を整える薬です。全てのステージの皮疹に効果的で、ニキビ治療外用薬の主役を担っています。
使用し始めは、乾燥やヒリヒリ感が出ることがありますが、使い続けていると収まることが多く、上手に使えるようになると大きな助けになりますので、自己判断での中止は避け、心配な時はかかりつけの皮膚科専門医に相談しましょう。ただし、明らかな赤みや痒みが生じた際は使用を中止してください。
内服薬①: 抗生物質
ビブラマイシン、ミノマイシン、ファロム、ルリッドなどがあります。皮疹の状態によって薬剤や内服期間を使い分けます。
内服薬②:ビタミン剤
ビタミンには、皮脂の分泌を正常化するB群や、抗炎症作用に優れたC、皮膚の新陳代謝（ターンオーバー）を活発にしてくれるEなどがあり、どれもニキビができた皮膚の修復や再生に欠かせない栄養素です。
内服薬③:漢方薬
漢方薬はそれぞれの方の体質や体格、そして皮膚の状態に見合ったものを選択する事が望ましく、処方する前に詳細な問診、診察を必要とします。一般的には、ストレスからニキビができる人には加味逍遥散、便秘が原因でニキビができる人には桃核承気湯、生理前に決まってニキビができる人には当帰芍薬散などと言われていますが、赤みが目立つタイプ、化膿しやすいタイプなど、多彩な選択肢があり、体質に合ったものを組み合わせて使用することで、治り難かったニキビが劇的に改善される事もしばしばです。
ニキビは皮膚科専門医で治療しましょう
ニキビの治療には、効果のある薬がいくつもあります。セルフケアでは間違ったケアをしてしまい、悪化させることもあります。ニキビは皮膚科で治療できる皮膚病です。ニキビを気にして憂鬱になる前に、ぜひ皮膚科専門医を受診しましょう。
- 皮膚科専門医
