この記事の監修ドクター|藤村 真美先生(マアク皮膚科)
ニキビは皮膚科で治療できる皮膚病です。進行して重症化すると、痕も残りやすくなります。
ニキビは皮膚病です
頬や額、あごなどにできるニキビは、思春期に限らず、大人でも多くの人が悩んでいます。ありふれたできものですので、皮膚科専門医へ受診することに躊躇する人も多いようですが、ニキビはちゃんとした皮膚病なのです。
ニキビの正式名称は「尋常性ざ瘡」。皮膚科で治療を受けられる皮膚病です。さらに困ったことに、ニキビは進行性の皮膚病でもあります。進行するということは、重症化するということで、治りにくくなりますし、痕も残りやすくなります。
ニキビは進行します
①白ニキビ
- 白ニキビの症状
- 白ニキビ(微小面ぽう)は毛穴が詰まることによって不要な皮脂が毛包に貯留することで起こる皮膚疾患です。白ニキビはニキビができたばかりで、皮脂の酸化や炎症もまだ起こっていない初期の状態です。
- 白ニキビの治療
- 角栓除去効果のある塗り薬が処方されます。また、皮膚科で行える治療法として、やはり毛穴を詰まらせないようにするケミカルピーリングなどもあります。まだ炎症も起こしていない、毛包のダメージもないこのステージに治療すると痕も残りません。
②黒ニキビ
- 黒ニキビの症状
- 汚れや皮脂などが拡大した毛穴に溜まり、空気に触れることで酸化して黒くなっています。炎症は伴っていません。指で潰そうとすると蝋状の塊が出ますが、周囲の皮膚を引っ掻いたりして瘢痕を引き起こしやすいので絶対爪先で触らないでください。過剰な洗顔や摩擦も避けましょう。
- 黒ニキビの治療
- 面皰圧出やケミカルピーリング、角栓除去薬の塗り薬などで治療を行います。
③赤ニキビ
- 赤ニキビの症状
- 赤ニキビは、毛穴の奥に溜まった皮脂や汚れ、古いタンパク質にアクネ菌が増殖し、炎症を起こしてできます。炎症は早期に鎮めないと、色素沈着が起こり痕が残ってしまいます。セルフケアよりも専門医による治療をお勧めします。
- 赤ニキビの治療
- 炎症を起こしているアクネ菌などの細菌を抑える抗生物質を、症状に応じ塗り薬と内服薬の両方で使用します。白ニキビや黒ニキビも混在することが殆んどですので角栓除去薬を併用すると効果的です。
④黄ニキビ
- 黄ニキビの症状
- 赤ニキビがさらに悪化して化膿している状態です。膿が溜まってしまって黄色に見えます。炎症と化膿の両方が起こっているため、痕が残りやすいうえに、痛みやかゆみがある場合も多く、ついつい触ってしまって悪化することも多いニキビです。セルフケアに頼らず、専門医の治療を受けましょう。
- 黄ニキビの治療
- 抗生物質の塗り薬と内服薬、角栓除去薬の外用の他、症状に応じた追加処方や処置を行います。排膿処置が適用される場合もありますが、自分でつぶすことは避けましょう。
⑤ニキビ瘢痕
- ニキビ瘢痕の症状
- ニキビの生じた毛穴への炎症や化膿により、毛包や周囲皮膚が障害され、毛穴周辺が硬く陥凹変形を起こします。無理に潰した後や炎症が長期化した後生じる、いわゆる傷跡です。皮膚の修復を促そうと栄養血管が増殖し、炎症後の色素沈着も伴って赤黒く、時に暗紫色に見えます。
- ニキビ瘢痕の治療
- ニキビの後がクレーター状(アバタ)になって残る可能性もありますので、早い時期に漢方薬や瘢痕治療薬、ビタミン剤などを組み合わせて治すことをお勧めします。毎日のスキンケアも、負担をかけずにポイントを押さえて行う必要があります。
生活改善も効果的です
ニキビの治療は皮膚科で行う治療以外にも、普段のスキンケアや生活習慣も大きく効果を左右します。薬の処方だけに頼らず、生活上の注意点を良く聞いて、普段の生活を改善していくことが必要です。お化粧方法やひげ剃りについてその方に合わせたガイダンス指導も行います。一般的には以下のような注意点があります。
- 洗いすぎない
- スキンケアなどでこすらない
- ストレスを溜めない
- 睡眠不足をしない
ニキビ治療は、皮膚科専門医を受診しましょう。重症化する前に治療を受けると痕も残りにくくなります。