白内障手術の専門医インタビュー (さくらだ眼科)

白内障手術

精緻さを追求する白内障眼内レンズ挿入術。先進医療の多焦点眼内レンズ、乱視矯正レンズにも対応

桜田 伊知郎先生

2017/03/03

MEDICALIST
INTERVIEW
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さくらだ眼科
桜田 伊知郎 院長
Ichiro Sakurada

  • 日本眼科学会専門医
  • 日本医師会認定産業医
  • 医学博士(千葉大学)

眼科医の少ない地域で白内障の最新治療を提供したい

白内障手術のインタビュー時の桜田先生

私が眼科医療を学んだのは横浜市立大学の医局ですが、それ以前、千葉大学の環境労働衛生学教室に在籍中、房総半島各地の企業で健康管理業務を担当した経験から、この富津市に土地勘と親しみがありました。眼科クリニック開設を思い立ち、自分自身の地元である神奈川の他、東京、静岡、埼玉各都県でも綿密なリサーチを行いましたが、人口当たりの眼科医が少なく通勤にも便利な内房地区が自分には最適な環境であるとの考えに至り、富津市で開業することを決意しました。

あっという間に月日は流れ、開院から6年を迎える今では、地元で気軽に相談できる「目のかかりつけ医」としての認知度も徐々に向上してきたように感じられます。

富津市は都会でもなく極端な田舎でもなく、大きなショッピングモールの他、住宅街、工業地帯、田園風景が混在して成り立っていることが特徴です。都市部のようなコンタクトレンズご希望の若い患者さんはあまり多くない反面、仕事中に角膜結膜に鉄片異物が入って来院される方が毎日のようにいらっしゃいますし、農漁業従事者も多い土地柄、強い紫外線を目に受け続けた影響で、翼状片という白目の病気になる患者さんが多いのも特徴です。

また、富津市は公共交通機関が少ない完全な車社会であるとともに、高齢化が進んでいるため、70歳以上のドライバーも数多くいらっしゃいます。高齢者が安全運転を末永く続けるためには最低限の視機能を維持していただくことが欠かせません。だからこそ、白内障手術を得意とする当クリニックの果たすべき役割は大きいのです。

白内障とはどんな病気?そのしくみと原因を知る

白内障の検査風景

白内障は、眼球の前方に位置する“水晶体”という、カメラのレンズに相当する透明の部分が白く濁ってしまう疾患です。“水晶体”が白濁して透明度が下がると光が適切に網膜に像を結ぶことができず、かすんで見えにくくなってしまいます。

主な原因は加齢ですが、その他に糖尿病や目の外傷、ステロイド剤の副作用などによって白内障が起こる場合もあります。高齢者ばかりではなく、40代から症状が現れる人も少なくありません。

白内障の効果的な治療法は手術しかありません

白内障手術風景

白内障で混濁した水晶体は二度と元には戻りません。白内障治療を目的とした点眼薬は何種類かありますが、白内障の進行を僅かに遅らせるだけの、気休め程度の効果しか期待できません。白内障で失ってしまった視力を改善するには、混濁した水晶体を除去し、その代わりに眼内レンズを挿入する手術を行う以外にありません。

白内障の手術は、まず角膜周辺を小さく切開し(幅は約2㎜)、そこから管を眼内に挿入し、水晶体内部を超音波で砕いて吸引します。そして、直径約6mmの柔らかいアクリル製眼内レンズを折り畳んだ状態で、約2㎜の切開創から挿入します。折り畳まれた眼内レンズが、眼内で元の大きさまで復元することを待ち、傷口が完全に閉鎖したことを確認して終了します。所要時間は症例にもよりますが大体5~15分程度です。

小さな傷口から挿入可能な、折り畳み式眼内レンズが無かった時代には、白内障手術の切開創は6㎜以上必要でした。しかし現在は約2㎜です。そのため、術後の回復も早く、安全快適に日帰り手術が可能となっています。傷が小さいので手術が原因の乱視もほとんど無くなっています。この洗練された近代的白内障手術によって、多くの方が視力を取り戻し、若い頃のような質の高い生活を送ることが出来るようになるのです。

“Festita Lente(ゆっくり急げ!)”を銘じつつ、スピードよりもきれいさを重視した白内障手術を提供

白内障手術風景2

私はこの近代的白内障手術を、勤務医時代から合わせて7000例以上、当地で開業してからも3000例以上経験しています。眼内レンズ自体はもちろん、手術のための機器も日進月歩を続けており、当クリニックでは多くの方に安心して白内障の手術を受けていただける環境が整っています。

眼科医が白内障手術を行うに際し、患者さんの肉体的・精神的な負担を減らすため、無駄な操作を省き、できるだけ短時間で手術を完了することは大切な心がけです。マスコミで、わずか2分台で手術を完了し、1日に数十件もの手術を行う医師が取り上げられたこともありました。

しかし、白内障の手術はいわば長年使った「目の掃除」です。水晶体内部の白濁した組織を安全確実に全て取り除くことが重要なのです。このため私の手術の時間はおよそ5分〜10分程度。スピードよりは「より安全に、より精緻に」をコンセプトに手術をおこなっています。

(眼科医療関係者もご覧になっているでしょうから、もう少し専門用語を交えて言いますと、水晶体前嚢の裏面と、後嚢表面にこびりついた皮質は徹底的に吸引し除去します。また手術中に使ったヒアルロン酸製剤も眼内に残さないよう徹底的に除去します。眼内レンズのカートリッジへのセッティング等は助手任せにせず院長自ら行っています。必要に応じ水晶体嚢拡張リングの挿入も積極的に行います。これらの行程を細心の注意を払って丁寧に行っていると、平均2分台で白内障手術を完遂できる訳がないのです。特殊な症例で眼内レンズの付け根を白目に埋め込む手術では、40分から1時間近くかけて慎重に行っています。)

私が好きなイタリア語の格言に“Festita Lente”というのがあります。直訳したら「ゆっくり急げ」、日本語では「急がば回れ」に相当します。仕上がりが早くても雑であれば手直しが必要となり、かえって時間がかかります。逆に、一見時間がかかっているように見えても丁寧に仕事を仕上げる人はやり直しの必要がありません。つまり、「十分に早くて確実」ということになります。

どの眼科医であっても白内障手術の方法は基本的に同じですし、目指すところも同じです。私は一つひとつの行程を丁寧に行うことが、患者さんの術後の生活の質をより向上させる結果につながると考えながら手術を行っています。

多焦点レンズ、乱視矯正レンズへの対応

白内障の眼内レンズ挿入術には、通常の保険診療で行われる単焦点レンズを用いた水晶体再建術の他に、厚生労働省認定の先進医療による多焦点眼内レンズ挿入術、乱視矯正レンズ挿入術などがあります。

単焦点レンズ、多焦点レンズ、乱視矯正レンズ、いずれも患者さんのご年齢や眼の状態によって向き不向きがあります。当クリニックに白内障手術を目的としてお越しいただいた患者さんには、出来るだけ時間をとり、どの種類の眼内レンズを挿入するのが適切か、十分納得されるまでご説明しております。

当クリニックで採用している眼内レンズは、どの種類であっても、術後の透明感が長期間維持される優れた製品です。最近、一部マスコミで報道された、手術後数年で濁りが生じやすい米国製眼内レンズは採用していませんのでご安心ください。

尚、当クリニックで取扱っていない「三焦点眼内レンズ」「フェムト秒レーザーを用いた水晶体再建術」など最先端医療をご希望の方には、専門施設をご紹介いたしますので、お気軽にご相談ください。

万全の衛生管理のもとで手術を実施・通院に便利な段差の無いクリニック

失明につながるおそれのある術後感染症を絶対に起こさないよう、当クリニックの手術室には最新高性能の空気清浄器が備わっています。手術器具の滅菌装置は三台設置しています。

また、車が主要な移動手段であるこの地域の特性を考え、約30台分の駐車場を完備しています。幹線道路の角地にあるため入庫は楽々。旧コンビニの建物を活用したクリニックなので、駐車場から診察室まで段差が一切ありません。玄関真正面まで車を横付け出来ますので、身体のご不自由な方、ご高齢の患者さんだけでなく、お付添いのご家族の方にも大変好評です。お声かけいただければ、駐車した車から待合室まで当クリニック備え付けの車椅子でスタッフがご案内いたします。

当クリニックでは、ご来院からお帰りまで、患者さんとお付添いの方に“癒し”を感じていただける環境作りを全スタッフが心がけています。

さくらだ眼科のけ手術室

目は小さな臓器、だから専門性が重要です。

私が眼科医を志したのは、目という部位がまるで小さな臓器のように複雑で医師として関心が尽きないものだったからです。その中で私は、白内障の手術という自分の専門分野を見つけて経験を重ねてきました。

歯科医の先生も、一般的な虫歯の治療だけでなく、小児歯科や審美歯科など、専門分野が細かく分かれています。

眼科も同様で、白内障、緑内障、アレルギー、角膜疾患、網膜硝子体疾患、屈折矯正、小児眼科など専門が細かく分かれており、医師によって得意とする分野が異なるのが実情です。より高度な治療が必要な場合は、白内障なら白内障手術に精通した眼科医にというように、医師を選ぶことが大切です。

白内障を指摘されて数年経ち、夜間の運転が怖くなったり、眩しくなったり、物が二重に見えているにもかかわらず「白内障手術はまだ早い」と言って薬を処方されるだけの場合、その先生の専門分野が白内障手術でない可能性があります。あなたの大切な目を守るため、見づらさを感じたら、どうか積極的に白内障手術を行っている眼科専門医に相談してください。良い医師や医療スタッフが、必ず患者さんのために親身になって相談に乗ってくれることでしょう。