糖尿病が原因で白内障になる?糖尿病性白内障とは

糖尿病が原因で白内障になる?糖尿病性白内障とは

この記事の監修ドクター|桜田 伊知郎先生(さくらだ眼科)

糖尿病にかかると白内障になりやすくなることを知っていますか?糖尿病とはどんな病気で、白内障にどんな影響を及ぼすのでしょうか。

白内障とはどんな病気?

女性の瞳

瞳孔(ひとみ、茶目)の裏側にあるレンズの役割をしている水晶体が濁ってしまい、光が通りにくくなる病気です。加齢(老化)や遺伝、アトピーや糖尿病などの病気、外傷などを原因として酸化ストレスが増し、水晶体のたんぱく質がこの酸化ストレスにさらされて、異常に変性した状態です。

初期は自覚症状がない場合が多いのですが、視力の低下が始まります。症状が進行すると、視界がかすむ、暗く見える、光を異常にまぶしく感じるなどの自覚症状が出ます。

糖尿病とはどんな病気?

食事

人は食事で取り込んだ炭水化物からブドウ糖を取り出し、エネルギー源として活用しています。血液中のブドウ糖を血糖と言い、その量を血糖値と言いますが、これを一定に調節しているのがインスリンと言うホルモンです。インスリンは膵臓で作られますが、これが作られなくなってしまう、あるいは分泌が少なくなってしまう病気が糖尿病です。

糖尿病は遺伝による体質と、食べ過ぎや運動不足、喫煙や飲酒、ストレスや加齢などが関わって発症する、いわゆる生活習慣病です。中高年に多いⅡ型が糖尿病患者数の95%を占めています。血糖値が高いままになってしまうので、全身に影響します。血管や神経が傷ついて、さまざまな病気の原因になりますので、食事療法や運動療法、インスリン療法で血糖値を管理することが必要になります。

糖尿病にかかると白内障の危険が5倍!

糖尿病にかかっている人は、かかっていない人に比べたら約5倍も白内障にかかりやすいことが分かっています。血糖コントロールが難しいため、水晶体内に異常変性たんぱく質が蓄積しやすいのです。また、身体全体の老化も促進されてしまうため、酸化ストレスが増すことが原因とも考えらえれています。

糖尿病性白内障の特徴とは

血糖値が高いため、年齢にかかわらず発症し、症状の進行が速い場合が多く見られます。通常の加齢性白内障が併発することもありますが、この場合は通常の白内障の進行同様、ゆっくりと症状が進みます。

糖尿病性白内障の治療は、血糖値のコントロールが不可欠です。血糖コントロールがうまく行くと白内障の症状の進行を遅らせることもできます。また、糖尿病の症状が安定しないと白内障手術が難しく、血糖コントロールが安定しないと白内障手術後の合併症の危険が高まります。

糖尿病性白内障の治療

血糖値測定器

白内障の症状進行を抑えるためにも、糖尿病の進行を遅らせるためにも、血糖コントロールが不可欠です。水晶体の濁りは点眼薬での治療でも回復できませんので、根本的な治療は手術となります。血糖値の安定を待って手術を行うことが多いです。

白内障の手術は局所麻酔で行います。水晶体の入っている水晶体嚢と言う袋に穴をあけ、中の水晶体を粉砕して吸い出し、水晶体の代わりに人工眼内レンズを置いて固定します。手術は15~30分で終わります。

糖尿病になったら、定期的に眼科を受診しましょう

糖尿病は身体や病気にさまざまな影響を及ぼしますが、白内障においても大きなリスクとなります。糖尿病になってしまったら、白内障のリスクを念頭に置いて、小さな見え方の異常も軽く見ず、定期的に眼科を受診するようにしましょう。