この記事の監修ドクター|桜田 伊知郎先生(さくらだ眼科)
老化現象のひとつとも言われる白内障ですが、発症を遅らせる方法もあることを知っていますか?白内障の病気に対する理解から深めていきましょう。
白内障とは
白内障は、瞳孔(ひとみ、茶目)の裏側にあるレンズの役目をしている水晶体が濁って、光を通しにくくなる病気です。原因は加齢(老化)、アトピー、遺伝、糖尿病などの病気、外傷などとさまざまです。これらの原因から、水晶体のたんぱく質が酸化ストレスにさらされて、異常に変性した状態が白内障です。
初期は無自覚の場合が多いのですが、視力の低下が始まります。症状が進行すると、視界がかすんで見える、暗く見える、光を異常にまぶしく感じるなどの自覚症状が起こります。白内障は放置しなければ失明の危険はありません。
白内障の治療は点眼薬から始められる場合が多いのですが、薬では白内障の進行を遅くすることしかできません。点眼薬では視力は回復せず、手術でのみ回復が可能です。白内障の手術は、濁った水晶体を砕いて取り出し、人工の眼内レンズに置き換えるものです。
白内障を予防するためにできること
白内障は、水晶体のたんぱく質が酸化ストレスによって異常変性して起こる病気です。白内障になりにくくするためには、酸化ストレスを減らすことが大切です。酸化に対抗する抗酸化、つまりアンチエイジングが予防策として有効です。また、点眼薬による予防もできます。
予防策①抗酸化、アンチエイジング
抗酸化とは
呼吸で体内に取り込んだ酸素はエネルギーとして使い切れずに体内に残ると、酸化と言ってさびたような状態になってしまいます。さびと同様、酸化が起こると体内機能が正常に作動しなくなり、生活習慣病になったり、白髪やシミ、そばかすなどの老化現象を促進します。
年齢が若いうちは酸化に対抗する抗酸化物質が体内に豊富にありますが、加齢とともに減り、抗酸化作用が減って酸化が促進され、老化として現れてきます。酸化に対抗する抗酸化は、アンチエイジングの方法としても有効です。酸化が原因である白内障には抗酸化、アンチエイジングの考え方が予防策として効果的です。
抗酸化を促進する食べ物とは
抗酸化やアンチエイジングに有効とされる栄養素は複数ありますので、主な食材から挙げていきます。
- バナナ:ビタミンB群やポリフェノール
- 色の濃い野菜:βカロチンやリコペン
- キャベツ:ビタミンCやカロチン
- 香味野菜:含硫化合物
- 蕎麦:ルチン
- 緑茶:カテキンやフラボノイド
- 大豆:フラボノイド
- ベリー類:ポリフェノール
- ゴマ:セサミノール
抗酸化のための取り入れたい習慣
酸化を防ぐ工夫は生活の中でも行えます。
- サングラスで眼を紫外線から守る
- 軽めの適度な運動
- バランスの良い食事
- ストレスを溜めない
避けたい習慣
酸化を促進してしまう生活習慣もあり、注意が必要です。
- 過度の飲酒
- 喫煙
- 過度のストレス
- 食品添加物の過剰摂取
- 激しい運動
予防策②眼科医処方の点眼薬
白内障の予防として点眼薬も有効です。いずれも医師の処方が必要ですので、専門医へ相談しましょう。
- ・ピレノキシン:たんぱく質の変性を抑えます
- ・グルタチオン:抗酸化作用があります
白内障の予防は生活習慣病の予防にも有効です
白内障の予防には抗酸化、アンチエイジングが効果的です。食べ物から抗酸化物質を子積極的に取り入れ、抗酸化に効果的な生活習慣で体内の酸化を抑え、酸化を促進する習慣を避けることが大切です。
いずれも生活習慣病の予防に通じるものであり、生活習慣病に併発して白内障になる場合も多いことを考えると、これらの予防策は白内障予防にとどまらず、大切なものです。できることから取り入れて、少しずつ生活を改善していきましょう。