アルコール依存症とは、お酒の飲み方をセルフコントロールできなくなった状態のことをいいます。どんな原因でどんな症状が起こり、どのような問題が生じるのでしょうか。
アルコール依存症は、飲むのはよくないことだとわかっていても、脳に異常が起きて飲むことをやめられなくなります。アルコールは依存性薬物の一種です。麻薬や覚醒剤、シンナーやマリファナ、コカインや睡眠薬などと同様に、依存性があるのです。
アルコール依存症の症状、
離脱症状と飲酒渇望とは?
アルコール依存症の主な症状には、離脱症状と飲酒渇望があります。離脱症状とは、アルコールを常習的に摂取した状態に身体が慣れてしまった結果、体内からアルコールが切れてくると起こる、いわば禁断症状のことを言います。
飲酒を止めて数日すると、手の振えや発汗、寝汗・吐き気・嘔吐・心拍数の増加・高血圧といった自律神経症状や、不眠・不安・イライラ感といった精神症状が現れてきます。更に進行すると、幻覚や幻聴、痙攣発作などが生じる場合もあります。そして、現実逃避のために、また飲酒を続けてしまうのです。
飲酒渇望とは、飲酒量が増えるにつれてアルコールへの依存度が進行し、今まで以上にアルコールへの欲求や強迫感が高まってしまう症状を言います。強い飲酒渇望にさいなまれると飲酒のコントロールがきかなくなってしまい、自分の意志では制御できなくなってしまいます。誤解をしてはいけないのが、飲酒をセルフコントロールできないのは、意志が弱いことが原因ではないということです。病気の症状であるということを理解しましょう。
アルコール依存症によって起きる問題
アルコール依存症を患った場合に付随してくる問題として、その人の健康問題や家庭問題、職場での対人関係の問題、社会的な問題が挙げられます。一日が飲酒の時間に多く費やされるため、職場や家庭での役割を十分に果たすことができなくなり、家族や職場の人達からは信頼を失っていきます。
そして結果的に、無断欠勤や失職、家庭の不和・別居・離婚などの問題が発生していくのです。そして、現実逃避するために、さらに飲酒に走り、状況が負のスパイラルに陥ってしまうのです。
アルコール依存症になりやすい人って?
アルコール依存症の人たちには、ある共通した心理的特徴がみられます。一つ目が、否認性です。アルコール依存症患者には、本人が依存症であるという自覚が無く、アルコール依存症であることを認めない、または過小評価している、といったケースが多く見られます。
二つ目が、自己中心性です。自己中心性は、全て自分の都合のいいように捉え、周囲に配慮しないような言動や行動をとる、というものです。治療を進めるには、自らがアルコール依存症であることを真摯に受け入れ、断酒する強い意思を持つことが非常に重要になってきます。
アルコール依存症が原因でなる病気!?
アルコール依存症になると、身体にも悪影響を及ぼし、さまざまな病気を引き起こす原因にもなります。例えば、肝炎や肝硬変、膵炎・消化器系がん・生活習慣病などがあります。精神的な病としては、パニック障害、鬱病、不安障害などの精神疾患が考えられます。
アルコール依存症は早めの治療が大切!
アルコール依存症は、症状が進行して悪化すればするほど、改善されるまでに長い時間かかるため、早期治療を始めることがとても重要です。そして注意すべき点は、たとえ長い期間、断酒を続けていても、少しでも飲酒を再開すると、またすぐ元に戻ってしまうという点です。
アルコール依存症は糖尿病と同じ慢性的な病気です。ですから、改善することはあっても決して完治には至らず、病気と上手につき合っていくことが大切になってきます。飲酒のセルフコントロールを失っている状態なので、二度と普通の酒飲みには戻れません。少しでも飲んでしまえば、また逆戻りです。節酒ではなく、断酒が必要不可欠なのです。