頭頸部がんとは脳より下、鎖骨より上の領域に腫瘍ができた状態、つまり頭頸部腫瘍ができたことを言います。これには甲状腺がん、鼻腔がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、唾液腺がん、聴器がんなどが含まれます。
頭頸部がんとQOL
頭頸部は呼吸や食事のような人間が生きていく上で必要不可欠な機能を担っている部分や、発生や聴覚など、社会生活に必要な機能が集中しています。つまり、頭頸部腫瘍が生じると、これらの部分に障害が発生し、Quarity of Life(QOL/生活の質)に直接影響を及ぼすことになります。
頭頸部がんといってもさまざまな種類があるため、部位によって症状が分かり易いものと、分かり難いものがあり、また症状も異なってきます。それぞれのがんの症状と特徴について少し説明します。
頭頸部がんの症状
口腔がん
歯茎が赤くなったり、舌が白くなったりします。また、硬いしこりのようなものができていたら、これも注意が必要です。また、舌の一部が出血したり、突起物ができることもあります。これらの症状は口内炎に似ているためわかりにくいかもしれませんが、二週間以上たって治らない場合は受診されることをお勧めします。
咽頭がん
のどが詰まった感じや、咽頭部に違和感や痛みを覚え、のどが腫れてくることが特徴です。症状が進行すると、食べ物全般がのどを通らなくなります。のどのあたりの違和感が続く場合は注意が必要です。
鼻腔がん
初期の段階では症状が現れ難いことが特徴です。腫瘍が内側の鼻腔に進行し拡大すると、鼻づまりや、血の混じった鼻水などが出てきたり、涙が出やすくなります。
唾液腺がん
耳やあごの下に腫れやしこりが現れます。症状が進行すると、痛みが感じられ顔面神経麻痺を起こすことがあります。
甲状腺がん
首の腫れが自覚症状として現れます。首の腫れが気になる場合は甲状腺がんの疑いがあるため、病院で受診しましょう。
聴器がん
自覚症状としては耳の痛みや発熱に加えて、聴力の低下が見られます。また、中耳炎も聴器がんの症状として現れることがあります。
咽頭がん
咽頭がんを患った人は、声が枯れることが特徴です。また、食べ物を口にした時に、のどの痛みや違和感を覚えることもあります。これらの症状がしばらく続く場合は受診されることをお勧めします。
このように頭頸部腫瘍は様々な部位に生じ、症状も部位によって異なります。これらの症状は日常的に感じる痛みであったり、他の小さな炎症と似ていることもあり、がんであると疑わないようなものが沢山あるのです。そのため、気に留めないような小さな症状であっても、しばらく続く場合は病院で受診することが早期発見につながります。
頭頸部がんの特徴
頭頸部がんは胃がんや肺がんなど他のがんに比べて発生頻度が低いことが特徴として挙げられます。しかし、発症部位や、種類が多くあるために症状や発生原因、治療法がそれぞれ異なるというのも特徴です。頭頸部がんは中高年男性に多く発症しますが、若年者や女性にも発生することがあります。
頭頸部がんの原因は生活習慣
発生原因には飲酒や喫煙などの生活習慣が大きく関わっているため、それらに気をつけることで未然に防ぐことができます。また、頭頸部がんは他の部位に伴って発生することが多いため、頭頸部腫瘍が見つかった場合、他のがんについても検診を受けることをお勧めします。
がんは他の部位に転移することも多いため、がん自体の治療に加え、転移箇所に応じて治療を行う必要があります。頭頸部がんの治療をするにあたっては、頭頸部全域の専門知識が必要であり、もちろん全身の医学的知識も必要であるため頭頸部がんの治療主治医は耳鼻咽喉科医や頭頸部外科医が担当します。
頭頸部がんだけではなく、がんは全身に転移する恐ろしい病気ですが、生活習慣は日々の少しの心がけで改善することができます。がん以外の病気の予防にもなるため、今一度自身の生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。