どのように関節リウマチは進行するのか?

どのように関節リウマチは進行するのか?

関節リウマチという病気を耳にしたことがあるでしょうか。どのような症状の病気で、どのような治療が行われるのでしょうか。

関節リウマチの進行は人それぞれ

手のひらと指

関節リウマチの症状は進行します。ただし、そのスピードは人により様々で、進行の遅いあまり進行しないタイプ、時間の経過とともに進行するタイプ、そして急速に進行するタイプというように、大まかに分けて3つのタイプに分けられます。

また、寛解(症状がおさまりストップする)と憎悪(症状が悪化する)を繰り返すのが特徴ですが、それには波があり、個人差があります。発症後数週間からの数年は症状に苦しめられるものの、寛解後、再発がみられない単周期型、寛解と憎悪を繰り返しながら次第に快方に向かう多周期寛解型、その反対に次第に悪くなっていく多周期憎悪型、そして、急速に症状が進行し快方に向かうことのない進行型の4つに経過の仕方に分けられます。

関節の状態による分類

骨の模型

また、関節の状態によって障害の程度も分類されます。具体的には、関節の破壊の程度がどの程度になっているか、ということで、4つのステージに分けられています。

ステージⅠ(初期)

軟骨と骨は破壊が進んでいないが、滑膜(関節を包む膜。関節をスムーズに動かしたり、関節軟骨に栄養を与える)が異常に増殖している。

ステージⅡ(中等期)

軟骨破壊により、骨の間が狭まります。骨も破壊され始めるものの、変形するほどではありません。

ステージⅢ(高度進行期)

骨の破壊が進行します。また、軟骨は破壊されています。

ステージⅣ(末期)

関節の破壊が進行し、骨同士がくっついて関節が動かなくなります。

シニア層の患者と看護師

関節リウマチはかつて、10年くらいかけてゆっくり進行していくものと考えられていました。しかし、現在の研究では、関節破壊は発症からの進行スピードが速いことが分かっています。
また、関節の腫れや痛みはそれほど強くない場合でも、関節内部で炎症があり、関節破壊が進行しているケースもあることから、早期発見、早期治療が肝要です。放っておくと、最悪の場合は関節が破壊されて動かなくなってしまい、日常生活に大きな支障をきたすことになります。

機能障害度による4つの分類

リウマチの進行により、日常生活の不自由度を分類したものもあります。

クラス1

多少の痛みはありますが、食事や入浴、排せつ、服を着るといった自分の身の回りを自力でこなすことができ、仕事や家事、趣味・スポーツを制限なくできる。

クラス2

動かした際に痛みの出る関節がいくつかあり、重いものは持てないが、食事や入浴、服を着る、排せつなど自分の身の回りのことを自力でこなすことができる。ただし、趣味・スポーツについてはできないものがあるなど、限定される。

不調を感じる男性

クラス3

服を着たり、入浴、食事、排せつといった自分の身の回りのことを自力でこなせるが、仕事や趣味・スポーツについては限定される。

クラス4

寝たきりか車椅子の生活で、服を着る、入浴、食事、排せつといった身の回りのことが自力ではできず、介助が必要。仕事やスポーツも限定される。

関節リウマチの治療:早期治療が大切です

悩んでいる女性

この病気の治療は完治を目指すものではなく、進行を食い止めることが中心になります。そのためには、早期治療が重要なポイントです。完治は少ないものの、症状の軽減・進行のストップはできます。生活指導、基礎療法、薬物治療、外科治療、リハビリテーションの4つが行われています。

また、早期治療が重要であるため、抗リウマチ薬による治療が推奨されています。ただし、薬の効果には個人差があります。薬物治療は、症状を抑えることと、関節破壊を抑えることを目的に行われます。ブシラミン、メトトレキサート、タクロリムスなどの抗リウマチ薬が使用されますが、最近では生物学的製剤という新しい薬も使用されています。

しかし、薬で進行が抑えられない場合は、手術を行う外科治療で対処しなくてはなりません。この手術では、関節の動きの改善、痛みの軽減を目的としています。リハビリテーションは、手術後に行うのはもちろんですが、手術をしていなくても、痛みの軽減、関節の動きの改善、歩く、手を使うといった動作を回復させるために行います。

関節リウマチの進行は人それぞれですが、進行による症状の悪化や日常生活への支障を改善する術はあります。とにかく、早期発見、早期治療が大切となります。

リウマチについての
よく読まれている記事

膝が痛いシニア女性1

2016/08/09

どのように関節リウマチは進行するのか?