禁煙しようかな、と考えていても、禁煙したところで何かメリットはあるのか?今から禁煙外来に行っても遅いのでは?と迷ってはいませんか。禁煙のメリットについてまとめてみました。
禁煙をする人が増えている
昨今、喫煙の危険が強く訴えられるようになり、喫煙者も少なくなってきました。平成28年の「全国たばこ喫煙率調査」によると、男女合わせた喫煙者率は0.6ポイント減の19.3%で、過去最低の値になっています。禁煙しようかな、と考えている方もいるでしょう。でも、漠然と禁煙は身体にいい、とは聞きますが、禁煙したところで何かメリットはあるのか?今から禁煙外来に行っても遅いのでは?と疑問をお持ちではありませんか?
そこで、ここでは禁煙によるメリットについて3つご紹介します。禁煙の最大のメリットは一言で言うと、健康、金銭、周りの人への影響だと言えます。
禁煙のメリット①健康
まずは、健康へのメリットについてです。たばこは多くの病気の危険因子とされています。危険因子とは、ある病気を引き起こす、因子のことです。つまり、確実に病気になる可能性が上がってしまうのです。これは、多くの疫学研究によって明らかにされてきました。
たばこを吸うと、煙が直接触れる口や喉や肺だけでなく、他の臓器にも多くの影響が生じてしまいます。最近では、肺がん、循環器、妊娠への健康影響も知られるようになりました。
よって、禁煙の健康に対するメリットには、生活習慣病など、病気に対する危険因子がなくなることが大きなものとして挙げられます。さらに、禁煙外来での治療後の身近な症状の変化では、数日で咳や痰が止まったり、呼吸が楽に感じたり、口臭の改善、味覚や嗅覚の回復が見られるようです。これらは些細なことではありますが生活の質を考えると大切なことでしょう。
禁煙のメリット②金銭
2つ目は金銭についてのメリットです。今回はわかりやすく、1日1箱(450円)消費する人を例に、どのくらいたばこ代が発生しているのかを計算してみました。すると1ヶ月で13,500円、1年だと162,000円という出費になります。人によってはもっと多額となりますが、この出費が禁煙によって抑えられたならば、節約にもつながるかもしれません。
昨今は保険適用が可能な禁煙外来など、本格的に医療機関でも禁煙治療を行うようになりました。「禁煙外来を利用すると、お金がかかるんじゃ…」と思うかもしれませんが、タバコを1日一箱購入する場合と、この禁煙外来に通う場合で支出を比べてみると、保険適用であれば禁煙外来の方が安く済むことが分かっております。このように、禁煙は金銭的にも大きなメリットを持っているのです。
禁煙のメリット③周りの人への影響
自分ではタバコを吸わないのに、そばで吸っている人の煙を吸っている状態を「受動喫煙」といいます。また、周りの人が吸うこの煙は「副流煙」といって、喫煙者が吸う「主流煙」よりも発がん物質が含まれていると言われています。
最近、タバコを吸わない日本人女性に関して、肺がんリスクは、夫の喫煙本数が多いほど高まる、というデータが出ました。また、特に子どもは健康被害を受けやすいことがわかっており、呼吸器系に影響して、急性気管支炎や肺炎、喘息などを起こして発作の回数を増やすことにもつながります。
これは、気管・気管支粘膜の線毛運動が妨げられ、異物が運び出されなくなるためです。同じように、鼻や耳の線毛運動機能も低下するため、慢性副鼻腔炎や扁桃肥大、中耳炎が起こりやすくなります。また、免疫力が低下するためかぜをひきやすくなったり、虫歯、発育障害、知能低下、低身長などの原因にもなります。
換気扇の下で吸ったり、ベランダで喫煙することでは、これらの危険を回避することにはなりません。空気清浄機も、タバコの臭いは除去しても、有害物質を全部取り除くわけではありません。家族や周囲の人の健康を考えるならば、自分の喫煙について見つめなおすことは必要不可欠なのです。