この記事の監修ドクター|田中 学先生(たなかがく内科クリニック)
喘息というと子どもの病気というイメージがありますが、大人の喘息患者も増え続けているのです。どのような治療が受けられるのでしょうか。
大人も喘息?増えています
治療技術の進歩により、喘息で亡くなる人は減少傾向にあるものの、年間約1500人が喘息によって命を落としています。
そんな喘息ですが、何となく子供の病気というイメージはありませんか?しかし実際は大人にも多く、患者数は年々増加傾向にあります。この中には小児喘息にかかっていた方が大人になって様々な原因で再発するケースもありますが、大人になってから急に発症するケースも多いのです。意外かもしれませんが、40歳を過ぎてから初めて発症することも珍しいことではありません。
喘息の症状とは
喘息と言えば、まず思い浮かぶのはひどい咳ではないでしょうか。ただ「ゴホゴホ」と咳き込むだけではなく、呼吸時にぜいぜい、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)と呼ばれる呼吸音がするのが特徴です。喘鳴は空気の通り道である気道に炎症が起き、空気の通りが悪くなるために起こる症状です。
しかし、喘息のなかにはこの喘鳴がなく、長期間に渡り咳だけが続くこともあります。咳喘息が該当します。そのため、風邪や気管支炎などと誤解しやすいのです。
夜間から明け方の咳は喘息の可能性が
喘息の発作は、夜間や明け方に起こりやすい傾向があります。昼間は特にこれといった症状もなく、普通に日常生活を送っていても、夜間になると発作が起こるということも少なくありません。風邪などの場合は昼夜問わず咳が出ますので、咳をする時間が夜間や明け方に集中しているのであれば、喘息の可能性を疑い、早めの受診を心がけましょう。
なお、肺気腫、気管支拡張症、アレルギー性肺疾患、うっ血性心不全等、喘息と同じような症状を見せる病気もありますので、喘息かどうかを正しく診断するためにも、きちんと検査を受けることが大切です。
喘息の治療
喘息の主な原因は、ダニ、ハウスダスト、ペット、花粉、食物などのアレルゲンの他に激しい運動、タバコ、過労やストレス、大気汚染、天候、気温の変化などが挙げられます。喘息の発作を起こさないためには、まずこれらの原因をなるべく排除することが大切です。
薬による治療では、苦しい時に発作を鎮める発作治療だけでなく、慢性気道炎症を改善する長期管理が重要となります。気道の炎症を鎮静化する吸入ステロイド薬やロイコトリエン拮抗薬、気管支拡張に効果的なテオフィリンなどに加え、近年、吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の配合剤といった1剤で喘息のコントロールが可能な薬も出ています。
気になる症状がある場合は早めに診断・治療を受けましょう。