入れ歯が合わない事で起こる体への影響

入れ歯が合わない事で起こる体への影響

失った歯の役割をしてくれる入れ歯ですが、使用していくなかで、入れ歯が合わなくなることがあります。入れ歯が合わないと体にはどんな影響があるのでしょうか。

入れ歯が合わなくなる理由とは

疑問をもつ患者

作ったときはぴたりと合っていたのに、使っていくうちに合わなくなってきた…これは、歯を支えていた骨が、歯を失ったことでやせ細っていき、平らになるので、入れ歯が接着する面積が小さくなることや、噛む力が加わることで歯茎や骨が変形することが原因といわれます。入れ歯が合わないという悩みは、これらが原因となっていることが多いのです。

なかには、作ったときから型の取り方や制作の技術力に問題があるために、入れ歯が合わない…ということもあります。入れ歯だから違和感があり、合わないのは仕方ないと思い、我慢をしている人もいるのですが、合わない入れ歯をしていると、様々な問題が起こります。

合わない入れ歯の体への影響とは

入れ歯を持つ看護師の手

痛みや吐き気、顎の骨の変形

入れ歯が合わないために、外れやすく、痛みや吐き気が生じます。合わない入れ歯は、噛む時に力がかかる部位とかからない部位に偏りが出るので、顎の骨を変形させ、ますます入れ歯が安定しなくて合わなくなるということを繰り返します。入れ歯の安定剤などを使わなくてはいけなくなります。

しかし、安定剤で固定する場合、自己判断で入れ歯の位置を決めてしまうため、適正な位置から外れ、骨に負担をかけることが多くなります。また、痛みをごまかしながら合わない入れ歯を使い続けると、炎症が起こります。

食事の楽しみが減少します

合わない入れ歯では歯としての機能が発揮できず、食事や会話の食事も楽しみが減ります。合わない入れ歯は歯茎にダメージを与えます。それまで歯茎で感じていた味覚や食感が失なわれ、何を食べても味がよくわからないという事態が起こります。

発音がしづらく、会話の楽しみが減少します

また、入れ歯が大きいと口腔内で舌が思い通りに動かせなくなり、発音に支障が出ます。特に「さ行」と「た行」の発音が困難になります。発音が不明瞭なために、何度も聞き返されるようなことが続くと会話が楽しめなくなります。

食事をする老夫婦

噛み合わせの問題が出てきます

そして、一番多いのが入れ歯の噛み合わせが悪いことによる問題です。当然のことながら、入れ歯のかみ合わせが悪いとうまく噛めないので、柔らかいものばかり食べるようになり、栄養のバランスが崩れます。

噛むという行為は、ただの咀嚼機能のみならず、頭部の筋肉を活発にし、脳の血流を促進して、脳に酸素と栄養を送り込み、脳神経細胞を刺激することがわかっています。入れ歯が合わないために噛む行為が減ると、脳神経細胞への刺激が減り、認知症になりやすくなります。実際、認知症の進行している高齢者の多くが噛むことが苦手です。

健康な高齢者の歯の平均残存数14.9本に対し、認知症の高齢者の歯の平均残存数は9.4本という研究結果もあります。残っている歯が少なくなればなるほど、記憶や学習能力を司る海馬や、医師や歯垢の機能を司る前頭葉の容積が少ないといわれています。

入れ歯であってもぴったりフィットし、しっかりと正しく噛むことのできる場合は、脳への刺激も行われますが、合わない入れ歯は噛むことが不十分なので結局歯がないのと同じことになります。

合わない入れ歯は体全体へも影響します。
定期的なメンテナンスが大切です

入れ歯と歯ブラシ

入れ歯の噛み合わせは、身体全体にも影響します。入れ歯に隣接する歯や顎の関節・骨を傷つけるのはもちろん、さらに人間の持つ骨は全て連携して動いているので、歯という一部の骨でも、バランスの乱れを起こすと、身体の骨格全体が乱れてしまいます。

さらに筋肉や神経も骨に連動しますので、合わない入れ歯から頭痛・偏頭痛・肩こり・生理痛・手足のしびれ・便秘などの症状を引き起こすこともあります。また、合わない入れ歯を使うことで免疫力が低下して、感染症にかかりやすくなることも指摘されています。

合わない入れ歯を使い続けることは、こんなにも危険です。口腔内の状態は変化しますので、ちょっとした違和感が痛みや体の症状として現れる前に、歯科医で定期的なメンテナンスをすることをおすすめします。

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