ご存知ですか?性同一性障害の原因と症状

ご存知ですか?性同一性障害の原因と症状

性同一性障害は、最近になって認知度が上がってきた病の一つです。生物としての性と、社会的な性(ジェンダー・アイデンティティ)とのギャップに悩む病気です。

同性愛、服装倒錯症との違い

赤いハートと青いハート

同性愛や服装倒錯症と混同されやすいのですが、これらと性同一性障害とは異なります。同性愛は、性的嗜好が同性であるというものです。そのため、自分の性に疑問や違和感を持つわけではないのが性同一性障害との違いです。また女装癖、男装癖の服装倒錯症は、服やアクセサリー、ヘアスタイルなど、異性のファッションをすることで、性的興奮を得たり、ストレス解消をする性癖のことをいいます。

ファッションのクオリティを上げたいとの思いからホルモン剤の投与をするケースもありますが、この場合は性同一性障害とは異なります。なお、性同一性障害が(生物としての)異性の格好をするのは、性的な嗜好ではなく、自分の心と身体の性を統一したいとの思いからのものですので、服装倒錯症とは異なります。

性同一性障害の原因は?

遺伝子

性同一性障害の原因は何にあるのでしょうか。実は明確な原因は分かっていません。しかし、現在有力な説として考えられているのは、母親の胎内にいる際に、身体と脳の遺伝子に異常が生じるためではないかということです。

人間の性別は、最初に体の性別が決定し、その後に脳の性別が決定します。例えば、受精後にエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンを浴びた場合、胎児は女の子として成長します。しかし、出産直前など、何らかの原因によりテストステロンと呼ばれる男性ホルモンを浴びてしまうと、脳は男性になってしまいます。

脳

また、海外の研究で、脳の中の核に性的二型核というものについての研究があります。この核は男性が女性に比べて1.5~1.8倍大きいのですが、性転換症(性同一性障害の最も極端な型)の人の核は女性と同じ大きさであったことが分かっています。なお、同性愛であるゲイの場合は、一般的な男性の核の大きさであったそうです。このことから、性同一性障害の患者の脳は、そうでない人と脳内の差異があるのではないかと考えられています。

性同一性障害の症状とは:幼少期

幼少期の男の子と女の子

性同一性障害の場合、異性の格好や遊びを幼い頃からしたがる傾向があります。身体は男の子なのに、女の子と遊びたがったり、反対に、身体は女の子なのに男の子と遊びたがったりといった傾向がみられるのです。

また、身体が男の子の場合は、女性らしいピンクや赤といった色の服やかばんを好んだり、おままごとや人形遊びを好むなどといった傾向があります。身体が女の子の場合は、男性らしい寒色系の色を好み、男の子がするようなサッカーや野球などといったスポーツや、プロレスごっこなど、荒っぽい遊び好むようになります。

性同一性障害の症状とは:思春期

うつむく思春期の女の子

成長するに従い、二次性徴期を迎え、通常男性は声変わりし、筋肉質になったり体毛が濃くなるなど男性らしい身体になります。女性は初潮を迎え、乳房がふくらんだり、曲線の多い女性らしい身体つきになっていきます。

性同一性障害の場合、このような二次性徴に対し、拒否反応を示します。身体の性が女性であれば、スカートをはくのを嫌がったり、胸のふくらみを隠したりといったことをします。また、身体の性が男性であれば、濃くなった体毛を剃ったり、自分の性器が目立たないように縛り付けるなどといった行動をとるようになります。どちらも、体育の授業で水着になるのを嫌がります。

性同一性障害の治療と周囲の支え

周囲の支え

性同一性障害の症状はある日突然出るものではなく、幼い頃からあらわれますが、ホルモン治療は基本的に18歳以上から(条件を満たせば15歳から)しか受けられません。それまでは自分の性に対する違和感に悩むことも多いでしょう。そのため、精神的なケアが必要です。家族の支えはもちろん、専門医によるカウンセリングなどを受け、心の負担を取り除いてあげるようにしましょう。

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