ひとりで悩まないで!性同一性障害の診断方法について

ひとりで悩まないで!性同一性障害の診断方法について

性同一性障害という病気に対する認識は、ここ何10年かでだいぶ浸透してきたように思います。それでも、まだ誤解が多く、この病気に悩む患者の悩みはなかなか解消されていません。

性同一性障害とはどんな病気?原因は?

女性

性同一性障害は、生物としての性別と、社会的性別であるジェンダー・アイデンティティが一致せず起こります。不一致が起こる原因が何かは、実はまだ完全には解明されていません。ただ、ホルモンが原因であるという説が有力視されています。

例えば男性の場合、受精後に精巣が作られます。その際にテストステロンと呼ばれる男性ホルモンを自ら作り出して浴び、男性の生殖器が作られます。その後は子宮内で母親のエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンを浴び、成長します。

出産直前になると母親から分泌されたテストステロンを浴びるのですが、この時に脳が男性化されます。しかし、これがうまくいかないことがあるのです。出産直前のテストステロンについて、浴びる量が不足したりすると、脳は女性のまま、身体は男性になってしまうのです。

性同一性障害の診断方法は?

診断

性同一性障害はどのように診断するのでしょうか。

この病気の診断は難しく、心理テストや簡易テストのように簡単にできるものではありません。この病気を扱っている病院やクリニックで診断してもらう必要があります。

主に精神科でこの病気を扱っていますが、精神科でもこの病気を扱っていないところもありますので、この病気を扱っているかどうかを事前に調べてから受診しましょう。診察では、最初に性別が男女のどちらかを検査します。ここでいう性別とは、生物としての性別です。ここで、染色体、ホルモン、性器等を調べます。

その後、カウンセリングを行います。中には統合失調症などの精神障害により、性同一性障害であると思い込んでいるケースや、発達障害によるアイデンティティ混乱で、ジェンダー・アイデンティティを混乱したり、コミュニケーションが上手にできないという特性から、ある特定の性別の人とうまくやっていけないという思いを、性別への違和感と混同しているケースもあります。

このようなケースに該当しないか見極めながらカウンセリングを行っていきます。なお、精神的合併症がここで判明した場合は、まずはそちらを先に回復させ、その後で性同一性障害の治療を行います。

精神療法(カウンセリング)の治療の流れ

カウンセリング

カウンセリングによる精神療法の中で、日々感じている性別に対する自分の思い…例えば、苦痛、嫌悪、違和感などといったものの説明や、実体験を話します。今後、どのようにしていきたいか、どんな治療をしていくかなどについても医師と一緒に考えていきます。カウンセリングは人にもよりますが、3ヵ月から1年ほどかけて行われます。

身体的治療の流れ

身体

このようにして、精神療法を行った後身体的治療へ移行し、第一段階として、ホルモン療法を行います。ホルモン療法に移行するにあたり、精神科の医師2名による診断書と意見書が必要になります。なお、この二つの書類は、戸籍や性別を変更する際にも必要となりますので、きちんと保管します。

また、ホルモン療法を受けるには、基本的に18歳以上からですが、一定の条件を満たせば、15歳から治療を受けられるようになりました。年齢以外にも、自分が選択した性別に対し違和感がなく自分らしいと安定的に思えること、身体検査の結果、ホルモン療法を受けるのに支障がないこと、ホルモン療法の効果やリスク等の説明を受けた上で本人が同意していること、家族やパートナーへも同様の説明をした上で、納得を得るために努力していること…などといった条件を満たした上で、ホルモン療法を行います。

精神療法とホルモン療法を受けたけれど、自分の感じる違和感がなくならない場合、手術による治療が行われ、性別を変更するための手術を行います。

もし、自分の性別に対し、長年違和感や苦痛を感じているのであれば、専門の病院やクリニックで検査をしてもらいましょう。

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