この記事の監修ドクター|前田 利雄先生(まえだ整形外科・手のクリニック)
指や手首、肘の関節が痛んだりしびれたりする腱鞘炎。よく見聞きする病気ですが、どんな症状で、どんな治療が行われるのでしょうか。
腱鞘炎の症状とは
腱鞘炎は指や手首が動かしづらくなったり、引っ掛かりや痛みなどの症状が出る曲げ伸ばしの際に「コキッ」「ポキッ」と音が鳴ったり、カクカクしたりします。痛む箇所が腫れたり、微熱を感じることもあります。物をつかむ、握るなどすると強い痛みが出ます。
腱鞘炎は指に起こる場合「ばね指」と言われ、悪化すると曲げ伸ばしの際に引っかかるような感覚でばねのような動きをします。腱鞘炎が手首で起こることも多く、これは「ドケルバン病」と呼ばれます。最近ではスマホの使いすぎでなる方も増えています。
腱鞘炎になりやすいのはどんな人?
腱鞘炎は以前から「職業病」としても知られています。指や手首を酷使する人がかかることが多く、スポーツ選手や楽器の演奏者、長時間タイピングを行う仕事などに多く見られる病気です。
日常の家事を繰り返す主婦にも多い病気で、よく使う部位ゆえに、一度かかると治りにくい、繰り返しかかり慢性化しやすい病気でもあります。
腱鞘炎の治療法
腱鞘炎で整形外科にかかるとどんな治療が行われるのでしょうか。大きく分けて3つです。
- ①安静と休養
- 整形外科にかかると、手を使いすぎないようにと言われることが多いようです。しかし、手を使わずに安静にするのは、日常生活を送る上ではなかなか難しいことです。注射の治療が効果的なのですが、注射の治療に抵抗のある方は、まず手の使用を出来るだけ制限していただきます。
- ②ステロイド
- 安静と休養だけでは治らない場合や、悪化している場合に行う治療です。腱と腱鞘の間にステロイドを直接注入します。当院では超音波を見ながら、確実に腱鞘内に注射することを心がけています。
- ③手術
- 腱鞘炎の程度が重く痛みが強い場合や、何度も繰り返して慢性化している場合は手術が行われることもあります。腫れて引っかかっていた腱鞘を切って動きを良くする方法が採られます。局所麻酔で短時間で済む手術です。
慢性化するとつらい腱鞘炎。悪化の前に受診を!
腱鞘炎はよく見聞きする病気ですが、決して簡単に治る病気ではありません。よく使う部分を痛めてしまうので、生活にも支障が出ます。また、治療の面からも安静にしにくく、治りきらない、あるいは治っても繰り返しかかってしまうことの多い病気です。悪化や慢性化すると回復するまでに時間がかかりますし、治療も手術など大きなものになっていきます。
指や手首、肘の関節に違和感を覚えたら、悪化する前に早めに整形外科を受診しましょう。