アイスクリームを食べると頭が「キーン!」そのメカニズムと対策!

アイスクリームを食べると頭が「キーン!」そのメカニズムと対策!

この記事の監修ドクター|工藤 孝文先生(工藤内科)

アイスクリームを食べると頭が「キーン!」そのメカニズムと対策!

アイスクリーム頭痛は医学的な正式名称です

かき氷

アイスクリームやかき氷を食べていたら、突然やってくるあの「キーン!」という頭痛。おそらく誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。あの頭痛には「アイスクリーム頭痛」という医学的な正式名称があるのです。

アイスクリーム頭痛の主な症状は、アイスクリームやかき氷、冷たく冷えたジュースを飲み込んで数秒後に痛みが生じ、こめかみや頭の横の部分に「刺すような痛み」を感じます。ひどい場合は「脈に合わせて脈打つ痛み」や「脳が凍りそうな痛み」などと表現されることもあります。

れっきとした医学的な正式名称であるアイスクリーム頭痛ですが、痛みが生じる時間が数秒から数分と短いことなどもあって、はっきりとした理由やメカニズムが解明されているとは言えません。仮説として有力なメカニズムが2つありますが、その前にその他の頭痛の起こるメカニズムについて見てみましょう。

主な頭痛のメカニズム

片頭痛

片頭痛の女性

多くは1ヶ月に1~2回と周期的に、頭の左右どちらかでズキンズキンと脈打つように痛みます。痛みは2~3日続き、重い場合は吐き気や嘔吐も伴い、つらい頭痛です。原因は脳の血管が急に広がることで、三叉神経という知覚と運動に関係する神経を刺激して炎症を起こし、痛みが生じると考えられています。

緊張型頭痛
肩こり、眼の疲れ、倦怠感などと併発することが多い、緊張を原因とした頭痛です。後頭部がつらい、頭が重苦しい、締め付けられる感じなどが起こります。緊張の原因には物理的、あるいは心理的ストレスがあります。痛みは午後から夕方に起こることが多く、数時間で収まることも、数か月続くこともあります。
緊張型頭痛は肩や首の筋肉が緊張するために起こります。筋肉が緊張すると血行が悪くなり、不要物や老廃物が溜まりやすくなり、溜まった不要物や老廃物が周辺の神経を刺激して痛みが起こると考えられています。
群発頭痛
「キリで刺されるような」「目がえぐられるような」とまで表現される耐えがたい痛みが、短くて15分~数時間、1日に1~2回、1~2か月間集中して起こります。痛みがある1~2か月間を過ぎると痛まなくなりますが、半年や数年後に再発することが多い頭痛です。
原因は眼の奥を通る血管が急に拡張するために炎症を起こし、痛みが生じると考えられています。痛みが起こる期間を群発期と言いますが、この期間中はアルコール摂取が痛みのきっかけになることが多く見られます。
危険な頭痛
上記3つは痛みの程度はさまざまでも命に関わる重大な病気の症状として起こるものではありません。しかし、頭痛の中には脳の病気などの命に関わる病気によるものもあります。例えば、くも膜下出血など脳の血管の病気(脳卒中)によるものや、脳腫瘍によるもの、髄膜炎に伴うものなどがあり、注意が必要です。

アイスクリーム頭痛のメカニズム①

脳の神経

アイスクリーム頭痛の痛みが起こるメカニズムは2つの説があります。1つ目は、あまりの冷たさに神経が冷たさを痛みと勘違いするというものです。さらに、アイスクリームが通るのはあごの中と喉であるのに、神経は頭が痛んでいると勘違いするという、神経の伝達間違いが二重に重なって起こるというのです。

アイスクリーム頭痛のメカニズム②

アイスクリームを飲み込むと喉が急激に冷やされるため、喉の近くを通る頸動脈も冷えてしまいます。頸動脈はとても大きな血管なので体温を維持する働きがあります。体温を維持したい体は血管に血流を増やすため、血管を拡張させようとします。しかし、冷えて縮こまっていた血管は急激な拡張で無理をするため炎症が起き、炎症が周囲の神経を刺激するため痛みが生じるのです。

この説は片頭痛のメカニズムと似ています。片頭痛を持っている人はアイスクリーム頭痛にもなりやすいとの報告もあります。

アイスクリーム頭痛になりやすいのはこんな時!こんな人!

  • 塊で飲み込んだ時
  • 急いで食べた時
  • 中学生男子はなりやすい
  • 片頭痛を持っている人はなりやすい

アイスクリームやかき氷を急いで食べた時は頭が痛くなるというのはよく聞かれることです。また、関連していますが、中学生男子に多く、逆に年長になるにつれ痛まなくなっていくとの報告があります。これは、一度経験してしまうともう一度痛むことを避けてゆっくり食べるなど気を付けることから生じる傾向ではないかと考えられます。

最後の偏頭痛との関係ですが、アイスクリーム頭痛のメカニズムの1つは、片頭痛と似ています。このため、頭痛の原因となる刺激へのきっかけが似ていることから、どちらの頭痛も起きやすいと言えます。

アイスクリーム頭痛の危険性は?

これほど多数の人が経験しているアイスクリーム頭痛。危険なことはないのでしょうか。頭痛には、先に述べたように、脳などの病気を原因として現れる「怖い頭痛」と、痛みは確かにつらいけれど、命に関わる頭痛ではない「怖くない頭痛」があります。アイスクリーム頭痛も「怖くない頭痛」に分類されますので安心してください。

痛みなくおいしく食べたい!アイスクリーム頭痛対策

怖くない頭痛とはいえ、痛むのは嫌なもの。ましておいしいアイスクリームやかき氷を味わいたいのに痛むのは煩わしいものです。アイスクリーム頭痛が起こらないようにする方法はないのでしょうか。こんな対策があります。

①ゆっくり食べましょう

急激な冷えが痛みとして神経に勘違いされてしまいます。ゆっくり食べて、喉の温度が戻るのを待ちましょう。

暖かい飲み物

②合間に暖かい飲み物を飲みましょう

強い冷えが痛みと勘違いされてしまいます。喉が冷えてきたなと感じたら、暖かい飲み物で喉を温めてから続きを楽しみましょう。

③こめかみや額を冷やしましょう

起こってしまった痛みを抑える効果があります。保冷剤や冷たいペットボトルなどでもいいでしょう。

アイスクリームはゆっくりと味わって

アイスクリームを食べる女性

誰もが経験したことのあるアイスクリーム頭痛。医学的に正式名称だったとは、驚いた人も多いのではないでしょうか。しかし、そのメカニズムは仮説が2つと定まってはいません。頭痛にはさまざまな種類があり、なじみ深い片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などは命に関わる病気を原因としていないということで「怖くない頭痛」と呼ばれています。アイスクリーム頭痛もこの怖くない頭痛に分類されていますので、安心してください。

それでもできれば痛みなく味わって食べたい!そんな人は最後の3つの対策を頭に留めておきましょう。アイスクリームはゆっくりと味わって、時に暖かい飲み物を挟んで食べるのがおすすめです。