誰でも汗をかきます。汗に関する悩みは多くの人が抱えていますが、決してその量が多いからといって、多汗症とは限りません。多汗症とはどのような症状でどのような治療法があるのでしょうか。
「汗かき」と多汗症の違い
混同されやすいのが、単なる「汗かき」と「多汗症」の違いです。どのように区別するかは、とても曖昧な部分であり、判断が難しいのですが、正確に判断するには、美容外科、皮膚科、整形外科などの医師の力が必要です。しかし、受診の目安としてできる、多汗症のセルフチェックがあります。
汗をかくときの違い
汗かきと多汗症の一番の違いとして、汗かきは暑い時や激しい運動をした時など、体温の調節が必要なときに汗をかくのに対し、多汗症は体温の調節が特に必要のない時にも多量に汗をかいてしまうことが挙げられるでしょう。いくら多量に発汗しても、それが体温調節の必要な時に限られていれば、多汗症とは違います。
汗の量の違い
多汗症だと、季節は関係なく、いつも汗に悩まされています。体温の調節が必要でなくても、緊張した時・辛いものを食べた時に発汗するのもよく見られますが、その量が尋常ではない量であれば多汗症の可能性があるでしょう。
どんな時に、どこにどの程度の量をかいているかよく観察しましょう。まず、全身に大量の汗をかいている場合には、全身多汗症の可能性があります。ただし、明らかな原因となる病気がわかっていれば、治まってくるので、多汗症として受診をしなくても大丈夫でしょう。
局所多汗症って?
次に局所多汗症であてはまるかを確認します。多汗症の中でも局所多汗症は9割を占めますし、悩んでいる人の多い病気です。以下の6項目のうち、2項目以上あてはまれば、その可能性が高くなります。
- 大量の汗が原因で日常生活を送るうえで困ることがある
- 異常な汗が1週間に1回以上現れる
- 局所多汗症を疑っている部位が手、足、脇の場合、両側から左右対称で、同じ程度の汗をかく
- 局所多汗症を疑っている部位も、睡眠中は気になるほどの汗が出ない
- 最初に多汗の症状が出たのは25歳より若い頃である
- 家族や近い親戚に多汗症の人がいる
上記で確認して疑いが低ければ、汗をかいたらこまめにふき取ったり、シャワーで洗い流すといった汗かき向けの対策で大丈夫でしょう。確認した結果、疑いが高い人は、さらに多汗症の重症度も確認しておきましょう。
多汗症の重症度チェック
自覚症状が重症度1~4のどこにあてはまるかを見て参考にしてください。
重症度1
- 発汗は全く気にならない
- 日々の生活で汗を原因とした悩みはない
重症度2
- 発汗はあるものの、我慢できる程度の量である
- 日々の生活で時々、汗を原因とした困ったことが起こる
重症度3
- 発汗がほとんど我慢できない
- 日々の生活で、汗を原因とした困ったことが頻繁に起こる
重症度4
- 発汗が絶対に我慢できない
- 日々の生活を送る上で、常に汗が支障をきたしている
多汗症になりやすい人は?
また、局所多汗症になるリスクの高い人がいます。多汗症には遺伝性があるとされていますので、家族や親せきに多汗症の人がいる人は、多汗症になる可能性が高くなります。また、精神ストレスを原因とすることから、ストレスを感じやすい心配性・あがり症といったタイプの人には起こりやすいといえます。自分があてはまらないかチェックしてみましょう。
上で確認した自覚症状を第一ステップとし、医療機関を受診すると、よりくわしく調べられ、適した治療方針が導かれます。眼で見たり手で触れたりして、汗の有無を判断するほか、汗を吸い取ると青紫色に変色するヨード紙や、発汗記録計を使って、発汗量を測定して、多汗症診断の材料にします。重症度3~4にあてはまった人は、一度受診し、治療を始めることで、きっと汗の悩みが解決されるでしょう。