汗かきとは違う「多汗症」ってどんな症状?

汗かきとは違う「多汗症」ってどんな症状?

運動したり暑いときには汗をかきますが、体温調節の必要がないときにも多量の汗に悩まされる「多汗症」という症状があります。どんな症状でどんな治療が行われるのでしょうか。

「汗かき」と「多汗症」の違い

汗をかく女性

人は暑い時ときや激しい運動をしたときに、たくさんの汗をかきます。これはいわゆる「汗かき」で、汗によって体の熱を逃がす体温の調節の働きをしています。それに対し、体温調節する必要がないときに多量に汗をかく症状があります。これを「多汗症」といい、文字通りの多くの汗に悩まされる、汗のメカニズムの異常です。

多汗症の種類

多汗症には、全身にたくさんの汗をかく「全身性多汗症」と、身体のなかで特定の一部分にのみたくさんの汗をかく「局所多汗症」があります。さらに、局所多汗症には、汗をかく部分によってそれぞれ異なる病名がつけられます。

  • 手掌多汗症(手の平に多量の汗をかく)
  • 足蹠多汗症(足の裏に多量の汗をかく)
  • 腋窩多汗症(脇の下に多量の汗をかく)
  • 頭部多汗症(頭に多量の汗をかく)
  • 面多汗症(顔面に多量の汗をかく)

身体のなかの汗腺が集中しているところに症状が出やすく、1か所だけでなく、2~3カ所で多量の汗をかくケースもあります。特に手掌多汗症、腋窩多汗症の患者さんが多いです。多汗症の中で、全身多汗症は1割程度というデータがあり、多汗症の大半を占めるのは局所多汗症になります。

多汗症の原因

脇汗

全身多汗症は、遺伝が原因である場合のほか、婦人病や更年期障害、甲状腺機能亢進症(バセドー病)、糖尿病、ホルモンバランスの乱れなどから引き起こされることがわかっています。ただし、原因不明の多汗症もあります。

一方の局所多汗症は、それ以外には病気のない健康な若い人に多く現れ、原因として一番多いのは、精神的なストレスです。人間の体では、ストレスや緊張・不安を感じると、交感神経が過敏になり、汗腺の動きを活発にします。その結果、多量の汗が流れ出てくるのです。

多汗症になりやすい人

汗を拭くサラリーマン

ストレスを感じやすい心配性や負けず嫌い、あがり症といった神経質な性格の人に、よく局所多汗症が見られ、自意識が強くなる思春期の頃、多汗症の発症がピークを迎えます。人前に出て緊張したときに汗が出る経験をしたことがある方は少なくないでしょう。その原理なのですが、多汗症になるとこれといった緊張するシーンでなくとも、例えばリラックスしている時であっても、突然多量の汗をかくことがあります。

また、多汗症では副交感神経の働きが汗を引き出すので、汗をたくさんかいて恥ずかしいと気にすれば、余計に汗をかくという悪循環が起こります。たかが汗といえど、多汗症という病気として認識されるからには、日常生活に支障をきたすレベルの多量の汗が見られます。

局所多汗症それぞれの症状

手掌多汗症

手の平の汗で触ったものがベタベタになり、手が滑って物を落としたり、手にした書類を濡らしてしまったりすることがあります。

足蹠多汗症

足の裏の汗で靴下が濡れたり、裸足でスリッパやサンダルを履くと滑りやすくなったりします。多量の汗で足が蒸れて、雑菌が繁殖しやすく、足のきついにおいや水虫が発生することもあります。

腋窩多汗症

腋の汗で服に汗ジミができたり、蒸れて雑菌を繁殖させにおいを発したりします。腋のにおいというと腋臭が有名ですが、腋窩多汗症が原因の場合もありますし、併発している場合もあります。

頭部多汗症

頭からの汗で、顔に汗が流れ落ち、髪の毛もビショビショに濡れます。こちらも頭皮が蒸れることで、雑菌が繁殖し、においの元となります。

顔面多汗症

常に額に汗がにじむような状態になり、緊張や興奮するシーンに遭遇するとますます汗の量が増え、顔から汗の粒がしたたり落ちます。

多汗症は絶対に治療しなくてはならない悪性の病気ではありませんし、手掌多汗症などは成長と共に軽くなるといわれていますが、日常生活のうえで悩むようなら、美容外科、皮膚科、精神外科で治療を始めることができます。

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