女性を悩ます「更年期障害」の症状とは

女性を悩ます「更年期障害」の症状とは

この記事の監修ドクター|佐藤 真之介先生(祐天寺ウィメンズヘルスクリニック)

更年期障害とはどんな原因で起こるどんな症状なのでしょうか。またどのような治療が行われるのでしょうか。?

更年期障害とは

悩む中年女性

女性は加齢によって卵巣の活動性が低下していき、次第に月経が停止する閉経を迎えます。この閉経の前後の10年ほどを「更年期」と言いますが、この更年期の間の中年女性に起こる症状があります。ほかの病気を原因とせずに起こるこれらの全身の様々な症状をまとめて更年期症状といい、この更年期症状によって、日常生活に支障が出ている状態を更年期障害といいます。

更年期障害の原因

原因①ホルモンバランス

更年期障害の原因は、閉経に伴って、女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌量が急激に低下することであると知られています。エストロゲンは、体内において、排卵の制御や、脂質代謝の制御、血液凝固作用など、全身に様々な作用を及ぼしているホルモンですが、そのエストロゲンが減少すると、脳は視床下部を刺激して、下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモンの分泌を促進し、卵巣からのエストロゲン分泌を促そうとします。

中年女性たち

しかし、更年期にあたる女性では、卵巣の機能が低下していたり、閉経によって卵巣からホルモン分泌が停止しているために、エストロゲンはうまく分泌されません。そうして、卵胞刺激ホルモンは多いのに、エストロゲンは少ない、といったホルモンバランスが乱れた状態が引き起こされます。

原因②精神的ストレス

また、ホルモン分泌の低下だけでなく、精神的なストレスも更年期症状の悪化につながるとされています。更年期にあたる女性では、親の介護や、子供の独立、職場での人間関係などのストレスが多くある時期なので、精神的なストレスを受けやすい年齢でもあります。このことが更年期障害の原因のひとつになっていると考えられます。

更年期障害の症状

不足したエストロゲンを補うために、卵胞刺激ホルモンを放出しようとして視床下部が過剰な刺激をうけると、視床下部は混乱して、体の状態の調節をしている自律神経系が乱れてしまいます。すると、体の調節がうまくいかなくなり、暑くもないのに、ほてりが生じたり、激しく動いたりしたわけでもないのに、疲労感や倦怠感が現れたりします。
代表的な症状としては、

【身体の症状】

  • ほてり
  • 多量の発汗
  • 疲労感
  • 倦怠感
  • 手足の冷え
  • 不眠
  • 胸の痛み
  • 頻脈
  • むくみ
  • 頭痛
  • 頻尿
  • 尿漏れ
  • めまい、ふらつき
  • 耳鳴り

【心の症状】

  • イライラする
  • 落ち込む
  • 不安感

などがあります。

更年期障害と似ている他の重大な病気

医師の診断を受ける

更年期障害が疑われる症状が現れた場合には、必ず医師の診察を受け、適切な治療を受けるようにしましょう。更年期だから仕方ないといって、医師の診断を受けずに我慢していると、他の重大な病気を見逃す危険性があります。

更年期障害の症状のなかには、他の病気によって生じるものとよく似ている症状が多くあります。例えば、のぼせやほてりは高血圧や甲状腺機能亢進症、頭痛やめまいはメニエール病や脳腫瘍、月経異常は子宮筋腫や子宮がん、むくみは腎臓や心臓の病気などを疑うことが出来ます。そのため、更年期障害が疑われる症状を自覚した場合には、すぐに近くの婦人科への通院をおすすめします。

更年期障害の治療

薬を飲む

更年期障害の治療には、ホルモン療法として、飲み薬の経口投与や、貼り薬の使用などによるホルモン補充が行われます。閉経によって減少していくエストロゲンを補充すると、ホルモンバランスが整えられるので、様々な更年期障害の改善が期待できます。

薬に抵抗がある人には、帰芍薬散エキス顆粒や、加味逍遥散エキス顆粒といった、医療用の漢方薬の処方も行われています。漢方薬の処方では、漢方薬によって更年期の症状を軽くしながら過ごし、閉経後にエストロゲンが減少していくことに体を慣れさせることを主な目的としています。

また、通院以外にできる更年期障害の治療として、規則正しい生活を送ったり、家族や親しい友人と過ごす時間を作るなど、精神的なストレスを解消することで、更年期症状を和らげることができるとされています。

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