漢方の専門医インタビュー (工藤内科)

漢方

医療の立場に立って心身両面から健康をサポートする漢方治療のスペシャリスト

工藤 孝文先生

2017/12/05

MEDICALIST
INTERVIEW
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工藤内科
工藤 孝文 医師
Takafumi Kudou

経歴
  • 福岡県みやま市出身。
  • 福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院での診療を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を担う。

こんな症状は漢方が向いているかもしれません

下記の症状は、原因がわかりづらく、医療機関で検査をしても異常が発見されないことが多いものです。このような症状にお悩みの方には、漢方による治療が効果的かもしれません。

  • ・全身がだるい
  • ・疲れやすい、疲れが取れない
  • ・頭が痛い
  • ・めまいがする
  • ・気分がなんとなくすっきりしない
  • ・冷え症
  • ・更年期障害(のぼせる、ほてる、イライラする)
  • ・眠りに悩みがある
  • ・生理の悩み(生理不順、生理がつらい、不妊)
  • ・体力が落ちた
  • ・アレルギー体質(花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎、じんましん)

漢方は一人一人の「体質」にフォーカスします

漢方について

漢方は、現代医療では治療対象外となりがちな症状や病気の他に、まだかかっていないけれどこれからかかるだろう病気を未病という位置づけで、診療を行います。また、体に起こっている現象以外にも、心や気力の働きや影響も重視して、心身両面からのサポートで症状や病気の改善を目指します。

漢方では、古くから中国で用いられてきた陰陽の二元論を中心において、患者さんの状態を把握します。冷えに対して熱、気力や血流の不足に対して充実、顔色の悪いと良い、治療に対する症状改善が滞りがちに対して活発、などです。

これらの対立する2つの事象や変化が、どちらかに偏ることなく、バランスが保たれることが調和であり、健康であるという観点から診療を行います。このため、漢方では、症状や病気に対する対症療法ではなく、体質に対して働きかけを行います。

体質は、患者さんひとりひとりで異なるものですから、同じ症状や病気でも、患者さんによって異なる漢方薬が処方されることもよくあります。患者さんの体質を的確に把握することで、複数生じている症状の根本を掴み、1つの漢方薬で改善させることも可能な場合があります。

漢方の考え方

漢方は、体を動かす力を大きく「気」「血」「水」に分けて考えています。気は体を動かし、生活を営むための源で、目には見えないエネルギーを指します。血と水は、この気を全身へ運び巡らせる液体を指します。

エネルギーである気を、血液と水分が全身へ運び、巡ることで、胴体にある臓器である五臓六腑が働きます。漢方は、現代医学よりも大きなくくりで体を見るため、実際の臓器や器官よりも大まかに分類されています。

漢方で体質を分類すると…

・気虚

気、気力、エネルギーが不足しています。作り出す気が不足しているか、消費する気が多いために不足しているのか、のどちらかです。気虚になると、疲れやすくなる、倦怠感がある、気力が低下する、などが起こります。

・気逆

気の流れは本来、頭から足へ、体の中心から外へと流れていますが、これが逆に流れてしまって起こる状態です。気逆になると、のぼせや冷え、動悸や汗をかくなどが起こります。

・気鬱(気滞)

気の流れが滞っている状態です。抑うつや頭の重さ、喉やお腹がもやもやする、お腹が張るなどします。

・血虚

血液量が不足しています。血虚になると、生理の異常や血行不良、肌荒れや肌の乾燥などが起こります。

・瘀血

血流が滞っています。不眠症状や精神不安定、生理の異常が起こりやすくなります。

・水滞

体の中で水分の偏りや水分不足などが起こっています。めまいや立ちくらみ、嘔吐や下痢、むくみなどが起こりやすい状態です。

漢方治療では、上記6つのタイプを見極めたうえで、五臓六腑の状態を加味して、処方する薬や治療法を決めていきます。

漢方治療では、こんな診察を行います

漢方の治療方法について

・望診

患者さんの顔色や皮膚の血色、全体の印象など、目で見て行います。つまり、診察室に入った瞬間から漢方治療は始まっているのです。その他に、舌を見る「舌診」も望診の1つです。舌の色や舌苔の状態、歯型の有無など全身状態や、気、血、水やホルモンのバランスなど、多くのことを知ることができます。

・聞診

聴覚と嗅覚で行います。患者さんの話し方や声の調子、大小などでわかること、においも参考にします。何気ない会話や話題も大切に扱います。

・問診

患者さんがこれまでにかかった病気や現在の状態、生活の様子や体質などを質問し、治療に活かします。

・切診

患者さんに直接触れて行う診察です。腹診と言って、寝台に仰向けになってもらった患者さんの、特に腹部に触れて行います。触れた時の抵抗感や痛みの有無、などを調べます。脈をとる脈診でも、脈に触れやすいかどうかや脈の力強さなど、わかることがいくつもあります。

現代医学にはできない漢方の医療とは

現代医学は、1つ1つの症状に対して治療を行います。対して漢方は、患者さんひとりひとりの体質に合わせて治療を行います。また、漢方は「まだかかっていないが、これからかかるであろう病気(未病)」に対しての予防治療も行います。

さらに、漢方は養生と言って、日ごろの生活が健康に与える影響を重視します。日々重ねる生活の内容が、これからかかる病気やその治り方、あるいは健康そのものを決めていくと考えるのです。そのため、毎日の食事や生活の仕方に対する考察や知恵に優れているのも、漢方の特徴です。例えば、日々食べる食材を、「体を温めるもの」「体を冷やすもの」「どちらでもないもの」に分類し、自分の体調や体質に合わせてバランスよく取ることが大切だとしています。

また、現代医学が軽視しがちな「心の影響」を、漢方では数千年の昔から重要視して、患者さんと向き合ってきました。現代医学でも、ストレスなどの心の問題や影響が考慮され始めた今、体に対する心の影響力を知ることに優れた漢方は、時代の先端を行っていると言えるのではないでしょうか。

最後に:漢方はオーダーメイド医療です

工藤 孝文先生

現代社会は、多種多様な生活環境を生み出し、それぞれの患者さんに異なる生活や生活スタイルがある時代です。ひとりひとりの患者さんの求める生活やその質に、医療は全力で応えていく必要があります。そのために、患者さんの特色や個性をとらえて対応する漢方は、まさに時代に求められている「オ―ダーメイド医療」なのです。

他の誰でもない目の前の患者さんひとりひとりに親身に寄り添い、患者さんの悩みや症状に真摯に向き合い、望まれる生活の質の維持、向上に力になれるよう、漢方の知識と技術でお手伝いいたします。気になるお悩みや症状、病気がございましたら、ぜひ一度当院へご来院ください。