春に気をつけたい熱中症!リスクを理解して予防しましょう!

春に気をつけたい熱中症!リスクを理解して予防しましょう!

この記事の監修ドクター|工藤 孝文先生(工藤内科)

熱中症と言えば真夏の病気と考えがちですが、実は春にも起こりがちです。リスクを理解して、予防する事が大事な病気です。

春でも熱中症になります!こんな日は注意!

気温上昇

  • 前日に比べて急に気温が上がった日
  • 湿度が60%以上ある日

春は寒暖の差を大きく繰り返しながら暖かく、さらには暑くなっていく季節です。寒い冬から抜け出したばかりで、体はまだ気温の高さに慣れていません。そのため、例え夏に比べて涼しくても、体温調節が上手に行われないために熱中症になるということが起きがちです。

また、気温はそれほど高くなくとも、湿度が高いと汗をかきにくくなります。そのため高くなった体温を上手に逃がすことができなくなり、熱中症になるということも起きるのです。春も熱中症リスクが高まる季節として注意が必要です。

熱中症の原因①脱水症状

熱中症の原因としてまずは脱水症状が挙げられます。暑いと汗をかいて体温を逃がしますが、汗をかくことによって体内から水分が過剰に失われ、必要な水分が補えなくなってしまうのが脱水症状です。汗をかく水分だけでなく、体内を巡る水分不足と、汗によって排出されたミネラル分が不足して、体が正常に働かなくなってしまう状態です。

熱中症の原因②自律神経の乱れ

自律神経とは
自律神経とは、活動時に働く交感神経と、休息時に働く副交感神経を合わせた呼び方です。交感神経は血管を収縮させて血行を良くするなどして、活動時の緊張を支えます。副交感神経は交感神経と逆の働きで体がしっかりと休息し、体力の回復を支えます。
自律神経は体温調節も行います
自律神経には体温を調節する働きもあります。もともと体のさまざまな調整機能として働いている自律神経。体温が上がれば汗を出すように働き、体温を一定に保とうとします。しかし、自律神経はさまざまなストレスの影響を受けやすく、ストレスによって乱れやす神経です。自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、体温調節が上手に行えなくなり、熱中症になりやすくなってしまうのです。
実は春は自律神経が乱れやすくなる季節です
春は新生活を始める人も多く、学校や職場の変化も激しく、ストレスの多い季節です。ストレスとは、心配事などの心理的なものだけを指すのではなく、睡眠不足や疲労などの物理的なものも含みます。

ストレスがかかると、それに対処するために交感神経が盛んに働きます。しかし、ストレスは簡単に取り払われるわけではありません。なくならないストレスに対処するために働き続ける交感神経。自律神経は、交感神経が働いている間は、副交感神経は働けないようになっています。そのため、休息時の回復を担う副交感神経が働けないため、体はさらにストレスをため込んでいきます。

ストレスは自律神経全体のバランスを崩し、さらには疲労回復も妨げてしまう厄介な存在です。このストレスを多く受けてしまうのが春という季節です。自律神経のバランスが崩れると体温調節が上手に行えなくなり、熱中症のリスクが高まります。

こんな人は熱中症になりやすい!

熱中症にはなりやすい人がいます。理由とともに見ていきましょう。

小さな子ども
汗をかいて体温調節を行う仕組みが未熟なため、体内に熱を溜めやすく、熱中症のリスクが高まります。
高齢者
暑さを感じにくくなっているため、気温上昇に気づきにくい点と、水分を控えめに摂る人が多いことから、熱中症リスクが高くなります。
新入生
小学生から大学生まで共通することですが、上級生よりも少ない体力で上級生と同じことをすると、体温調節機能が追い付かず、熱中症になりやすくなります。特に部活動などの際は注意が必要です。
生活習慣病の人
生活習慣病の人に処方される薬の中には熱中症のリスクが高くなるものがあります。前もってかかりつけ医に対策を聞いておくと良いでしょう。また、生活習慣病の人は体力が不足しがちですので、その点からも熱中症になりやすくなります。
普段あまり汗をかかない人
体が汗をかくことに慣れていないと、体温が上昇した時も汗をかきにくく、体内に熱がこもって熱中症になりやすくなります。
運動習慣のない人
運動によって汗をかくことに慣れていないという点と、運動習慣のある人よりも体力がないという点で、熱中症リスクが高まります。
自律神経の症状がある人
自律神経が体温調節を行っていることは先に述べた通りです。このため、自律神経症状がもともとある人は、熱中症により気を付けて過ごす必要があります。

体調によっても注意!こんな日は気を付けて

同じ人でも、体調によって熱中症リスクが高まることがあります。

熱がある・下痢をしている・二日酔い
これらは脱水症状が起きやすい状態、熱中症リスクも高い状態です。
朝ご飯を食べていない
汗をかいて失ったミネラル分は食事で摂り入れることになります。そのため、朝ご飯を食べていない状態は、日中汗をかくとミネラル分が不足してしまいます。水分とミネラル分のバランスが崩れると熱中症になってしまいます。
寝不足をしている
特に大きい、あるいは継続したストレスがない場合でも、寝不足は自律神経に大きく影響します。自律神経のバランスが崩れると熱中症のリスクが高まりますので注意しましょう。

熱中症の初期はこんな症状が起こります

だるい症状の女性

  • だるい
  • 吐き気がする、嘔吐
  • 頭が痛い
  • めまいがする
  • 立ちくらみがする
  • 一時的に気が遠くなる

熱中症だと感じたらこんな対策を

上記のような症状が起こったら、以下のような対策を行いましょう。

  • ・涼しい場所に移動する
  • ・横になって足を上げて休む
  • ・水分補給は塩分と一緒に
  • ・保冷剤で大きな血管(首すじや脇の下)を冷やす

こんな時は医療機関の受診を!

医療機関での診断

このような場合はできるだけ早く医療機関を受診しましょう。

  • ・自力で水分補給が行えない
  • ・意識がもうろうとしている

春の熱中症リスクを知って対策を!

春の寒暖の差の激しさと、生活の変化による自律神経の乱れは、熱中症のリスクを高めます。また、なりやすい人やなりやすい体調もありますので、思い当たる人は水分を多めにとるなど対策を。また、ストレスは知らぬ間に受けているものです。心当たりのない人も春は熱中症に要注意と意識しておきましょう。

もしも熱中症の症状が現れた時は、涼しい場所で横になり、体を冷やして水分を補給し、様子を診ましょう。熱中症は命の危険もある病気です。自分で水分補給が行えない、意識がもうろうとしているなどの状態の時は、迷わず医療機関を受診してください。