この記事の監修ドクター|笠井 謙和先生(笠井整形外科)
痛くて辛い腰痛。その原因はヘルニアかもしれません。ヘルニアにはどんな種類があるのでしょうか。
ヘルニアとは
ヘルニアは、周りの筋肉や膜などの圧迫に耐えきれなくなった臓器が、本来ある位置からはみ出してしまう状態を指し、発症した部位を頭につけて、「○○ヘルニア」と区別しています。発生率が高く、広く知られているものに、「腰椎椎間板ヘルニア」、「鼠径ヘルニア」が挙げられますが、実際にはもっと色々な部位で発症します。
椎間板ヘルニア
椎間板とは、背骨にかかる負担を減らすために、骨と骨の間でクッションの役割を果たしている部位です。椎間板のある部位の中でも特にヘルニアの発生率が高いのは、腰部分(腰椎)と首部分(頸椎)です。椎間板が本来ある位置からはみ出すことによって、脊椎の神経を圧迫してしまいます。従って、椎間板ヘルニアには痛みやしびれが必ず伴います。
椎間板ヘルニアの中でも主に2タイプあり、まず髄核を包んでいる繊維輪にヒビが入り、同時に髄核が外へと出る「脱出型」タイプでは、突然の激しい腰痛・下肢痛を起こします。急性に激しい腰痛が出現する「ぎっくり腰」の中には、脱出型椎間板ヘルニアが原因であることが少なくありません。
もう一つは、姿勢などで積み重なった刺激により、繊維輪が変性して髄核が突出する「膨隆型」タイプです。慢性的な腰痛持ちで悩まされている人は、このようなことが要因となっているかもしれません。脱出型のような衝撃がなく、痛みが弱い分、見逃してしまうこともあり、繊維輪の変形に対して治療が長期化しやすい傾向があります。
またヘルニアは、神経根の圧迫部位によって、正中型・傍正中型・外側型と区別されます。痛みを和らげようと体が傾く症状が現れてきます。
それぞれ、しびれの出方は、神経の圧迫の度合いが低ければ臀部や太もも、脊髄中枢神経まで圧迫していれば、左右の末梢神経が支配するところまで現れてきます。
椎間板ヘルニアになると行動が大幅に制限されます。炎症を抑えるためにしばらくは安静にしなくてはなりません。
自分では見られない体内のことですので、気になる症状があれば、専門医に相談し検査して下さい。