ぎっくり腰とヘルニアの違いについて

ぎっくり腰とヘルニアの違いについて

ぎっくり腰とヘルニアはどちらも腰が痛くなる病気です。原因や症状など、どう違うのでしょうか。

ぎっくり腰やヘルニアというと、「痛い」「起き上がれない」「場合によっては手術が必要」など、歩行や立ったり座ったりといった日常生活に必要な動作に支障をきたすイメージがあるのではないでしょうか。また、一度やってしまうと癖になるなどといったイメージもあるかと思います。

腰に関する代表的な病気であるこの2つですが、混同している人も多いのではないかと思います。実はこの2つは異なる病気です。では、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。

ぎっくり腰とヘルニアの原因

痛む腰

どちらも腰に激しい痛みを生じますが、原因はそれぞれ違います。

ぎっくり腰の原因

ぎっくり腰は、突然起こるのが特徴です。よくあるのが、重い荷物を持とうとして、「ぐきっ」という鈍い音とともに立ち上がれなくなるというものです。このような症状を引き起こす原因は、筋肉や靭帯が切れるなどの損傷です。別名の「腰椎捻挫」「急性腰痛」のとおり、急に痛みが発生するのが特徴です。

ヘルニアの原因

一方、ヘルニアは、椎間板の内部にある髄核が外側に押し出されることにより、神経が圧迫されて痛みが生じます。

また、ぎっくり腰がヘルニアになるケースもあります。筋肉や靭帯ではなく椎間板が損傷した場合、悪化してヘルニアになる場合があるのです。そのため、ぎっくり腰になった場合、少し良くなったからとすぐに腰に負荷をかけるのは禁物です。

ぎっくり腰とヘルニアの症状

痛む期間

病室のベッド

すでに書いたように、ぎっくり腰もヘルニアも急に腰に激痛が生じます。ただし、その痛みの期間に違いがあり、ぎっくり腰の場合は、安静にしていれば数日で痛みが治まりますが、ヘルニアはなかなか痛みが治まらず、発症後長い間激痛に襲われるのが特徴です。

安静にして数日で症状が軽くなるようならばぎっくり腰、それでも良くならないようであれば、ヘルニアである可能性が高いです。

痛む範囲

さらに、ヘルニアの場合、腰だけでなく、おしりや太ももの裏側に痛みやしびれといった症状が出る場合もあります。というのも、脊髄が腰から脚へと神経が枝分かれしているため、腰でヘルニアが起きた場合に、神経がつながっているこれらのところにも症状が出るのです。

ぎっくり腰の場合はおしりや太ももなど、腰以外のところには症状は出ず、痛みの生じる場所は腰回りだけとなります。このことから分かるように、ヘルニアの方が痛みの範囲が広いのが特徴です。神経の圧迫が痛みの原因のため、お尻や太もも、また場合によっては足の指などといったところにまで症状が出ます。ぎっくり腰は、あくまでも腰まわりに痛みが生じます。

車いす

歩行困難の違い

ぎっくり腰とヘルニアはどちらも歩行困難を引き起こしますが、ぎっくり腰の場合は腰が痛いために歩けないのに対し、ヘルニアは、脚にしびれなどの麻痺が発生して歩けない、という違いがあります。

もし腰の痛みを感じたら…

このように、ぎっくり腰とヘルニアは、どちらも腰に激しい痛みをい生じますが、痛みの範囲、症状などに違いがあり、それによって見分けることができます。とはいえ、歩行困難を伴う激しい痛みに襲われた場合は、おおよその察しはついても、まずはきちんと病院に行き、診察してもらいましょう。また、症状が軽くなったからといって、無理をしないようにしましょう。

ぎっくり腰はもちろん、軽症のヘルニアの場合も、数日間安静にすることで症状が治まることがあります。だからといって、無理をしては痛みが再発するのはもちろん、さらに悪化する可能性もあります。そのため、軽症だからといって無理はせず、医師の指示に従い、きちんと直すようにすることが大切です。