おねしょを叱らないで!夜尿症は病気です

おねしょを叱らないで!夜尿症は病気です

この記事の監修ドクター|久保田 亘先生(宮川クリニック)

おねしょが病気だと言われても、意外に思う人が多いのではないでしょうか。夜尿症とはどんな病気なのでしょうか。

夜尿症はアレルギーに次いで多い慢性疾患です

6歳の少女の睡眠風景

5歳くらいまでの小さい子どものおねしょは、夜間の膀胱が尿を貯めておく力が弱いことや、尿意を感じても睡眠からの覚醒が伴わないなどの、体の未発達から起こるものです。しかし、これらのメカニズムは6歳ごろには整ってくると考えられており、6歳を超えて続くおねしょは、何らかの異常が起こす病気として、夜尿症と呼ばれています。

夜尿症は小中学生の6%ほどに見られる病気で、花粉やハウスダスト、食品などに反応するアレルギー疾患が8%ほどであることと比べても、患者数が大きい慢性疾患と言えます。夜尿症は、患者である子ども本人の心理的負担も大きい病気であるとともに、放置すると一定数が成人へ移行することも分かっており、治療による効果は大きい病気です。

夜尿症はこんな原因で起こります

睡眠中の抗利尿ホルモン分泌が少ない

腎臓で作る尿の量は、飲んだ水分量や塩分量などに左右されながら、脳下垂体で分泌される抗利尿ホルモンによって決められます。さらにこの抗利尿ホルモンは、夜間の分泌量が日中の2倍ほどになって、尿を濃くすることがわかっており、これによって、夜間の尿量が日中の60%ほどに抑えられています。

腎臓で作る尿の量は、飲んだ水分量や塩分量などに左右されながら、脳下垂体で分泌される抗利尿ホルモンによって決められます。さらにこの抗利尿ホルモンは、夜間の分泌量が日中の2倍ほどになって、尿を濃くすることがわかっており、これによって、夜間の尿量が日中の60%ほどに抑えられています。

睡眠中の膀胱容量が小さい

子どものおねしょが少なくなっていくには、抗利尿ホルモンの分泌が日中と夜間でバランスが取れて行く他に、夜間になると膀胱の容量が増して、貯めておける尿の量を増やすことができるようになることが必要です。しかし、膀胱が未発達で、これを行えないと夜尿症が起こります。

膀胱が小さく、尿量が少ない場合は夜尿症にはなりませんので、患者さんの尿量に合った大きさまで、膀胱が発達する必要があるのです。

睡眠中の尿意に気が付かない

膀胱が尿で満ちてくると、眠りが浅くなっていき、排尿する前に目が覚めるようになるには、神経系の発達が関わっています。眠りが深いために夜尿を繰り返してしまう患者さんも多く見られます。排尿と同時にアラームが鳴る、アラーム療法などで改善できます。

疾患が原因の時もあります

尿崩症
抗利尿ホルモンの分泌不足によって、薄い尿が大量に作られてしまい、体内の水分量の調節ができなくなる病気です。夜間も頻回の排尿に悩まされます。
過活動膀胱
膀胱に溜まった尿を排出するには、脳から膀胱への指令が必要ですが、この機能に障害が生じて、意志とは関係なく膀胱が収縮して、尿意が起きる病気です。突然尿意が起き、我慢できないほど強くなり、トイレに間に合わない尿失禁が起こります。また、排尿回数が増える頻尿が起こることも多い病気です。
尿路感染症
尿の排出経路である尿路で炎症が起き、排尿時の不快感や頻尿が起きます。痛みやだるさ、発熱を伴うことが多い病気です。
二分脊椎
二分脊椎は先天性の脊椎形成不全で、神経の障害などを伴う病気です。

5歳を超えて続くおねしょは、夜尿症専門医へ

少女の睡眠風景

5歳を超えて続くおねしょは、さまざまな異常や病気が隠れていることがあります。夜尿症は、小児科や泌尿器科などの夜尿症専門医で治療が受けられます。夜尿症は患者さん(子ども)の心の負担が大きい病気です。早めに専門医を受診して、治療を受けてみてはいかがでしょうか。