突然の動悸!?発作性上室性頻拍という不整脈かもしれません

突然の動悸!?発作性上室性頻拍という不整脈かもしれません

この記事の監修ドクター|市川 壮一郎先生(いちかわクリニック)

突然始まる激しい動悸がしばらくすると突然収まる。こんな症状は発作性上室性頻拍かもしれません。

発作性上室性頻拍の症状とは

症状

発作性上室性頻拍ではこんな症状が起こります。

  • 突然激しい動悸がする
  • 突然脈が速く打つ
  • 顔色が悪くなる
  • 胸が苦しい
  • 心臓がぎゅっとする
  • ・心臓がぎゅっとする

これらの発作は年に数回など不定期に起こります。しかし、しゃがんでいると収まる、数10分で収まる、受診しても症状が消えている、検査しても異常が見つからない、などとなることが多い不整脈です。もちろん、数10分では収まらない、頻繁に起こるなどという場合もあり、繰り返すごとに悪化したり、頻度を増すこともあります。

・なりやすい人は…
どんな人でもなる可能性のある不整脈です。若い年代からなることも多いですし、運動習慣のある健康な人もなることがあります。もともと発作を繰り返していた人が、ストレスなどで頻度が増したり、発作の時間が長くなることもあります。
・どんな時になりやすい?
運動中に起こることも、睡眠中に起こることもあります。どんな場合でも体の向きを変える、姿勢を変えるなどした時に発作が起こることが多いようです。

発作性上室性頻拍は怖い不整脈?

不整脈

不整脈には命に関わるような危険なものもあります。発作性上室性頻拍は症状が激しいので不安に思う患者さんは多いですが、発作が収まれば、全くの正常に戻ります。発作性上室性頻拍は多くの場合、危険な不整脈ではありませんし、突然死などの心配も要りません。しかし、ごくまれに、長時間の発作で心機能が低下してしまい、心不全となるケースが見られます。

発作性上室性頻拍はこのように起こります

・正常な心臓の働き方
心臓では右心房の上部にある洞結節というところで小さな電気信号が作られています。この電気信号が伝達回路を通って心臓全体に伝わり、心臓の規則正しいポンプの働きが行われています。 電気信号は洞結節で生じ、心房(心臓の上の部屋)と心室(心臓の下の部屋)のつなぎ目である房室結節を通って心室に伝わり、ポンプ作用のリズムを作ります。心臓が収縮すると電気信号は消え、新たな電気信号が洞結節で作られて伝達されていきます。
・発作性上室性頻拍は…
原因は不明ですが、心臓の内部で本来ない小さな伝達回路が作られてしまい、電気信号が空回りしてしまって起こる不整脈です。1分間に180回ほどの脈が打たれ、心臓が激しく収縮し、興奮状態になります。伝達回路の異常は種類がいくつかあり、房室結節内または周辺で空回りするタイプなどがあります。

発作性上室性頻拍の治療法

・治療の対象になる発作性上室性頻拍とは
先に述べたように発作性上室性頻拍は危険な不整脈ではないことが多いです。また、しゃがむ、冷たい水を飲む、氷を食べるなどすると収まることが多く、特に治療を必要としないケースがほとんどです。では、どんな場合に治療の対象になるのかというと、発作が頻繁に起こって生活に制限が出る場合、発作の時間が長く、心不全の危険がある場合などです。
・発作を止まりやすくする方法
しゃがむ、冷たい水を飲む、氷を食べるなど既出の方法の他、息を止めてこらえる、横になる、首の動脈をマッサージするなどがあります。ただし、これらの方法の中には適切な方法で行わないと危険なものもあり、主治医の先生とよく相談することをお勧めします。
・薬物療法
発作を止める薬として、飲み薬と点滴、注射薬があります。 副作用がある薬がありますので、循環器内科専門医を受診して相談しましょう。
・電気ショック
薬物を使わない発作性上室性頻拍の治療の1つに電気ショックがあります。直流電流によるショックを心臓に与えると、発作は高い確率で止まります。
・カテーテルアブレーションとは
原因となる異常な伝達回路を、高周波で焼き切ってしまう(焼灼)治療法で、発作性上室性頻拍の確実で根本的な予防治療となります。異常な伝達回路を詳細に突き止め、その部分に電極付きのカテーテルを挿入し、高周波を流して焼き切ります。安全性、成功率ともに非常に高い治療法です。

自己判断は避けて受診しましょう

自己判断は避けましょう

突然起こり、突然収まる激しい動機は発作性上室性頻拍であることが多いですが、他の不整脈であることもあります。発作性上室性頻拍は危険な不整脈ではありませんが、自己判断は禁物です。循環器内科専門医を受診の上、正確な診断を受けることが大切です。