不整脈はさまざま。タイプ別種類と検査について

不整脈はさまざま。タイプ別種類と検査について

この記事の監修ドクター|市川 壮一郎先生(いちかわクリニック)

不整脈は大きく3つのタイプに分けられます。それぞれの症状と病気を見ていきましょう。

タイプ別不整脈の種類と症状

タイプ別不整脈

①脈が遅くなるタイプ(徐脈)

脈を測るとゆっくりで、歩くなど体を動かすと息切れするということが起こります。心臓から送られる血液が不足して起こる症状です。気が遠くなる、めまいがするなどの意識障害がある場合は、とても危険な状態です。早く受診しましょう。

・洞不全症候群
心臓の規則正しいポンプ作用は、洞結節と呼ばれる部位で小さな電気信号が発せられることで作られています。この洞結節の働きが鈍くなるのが洞不全症候群です。また、洞結節から発する電気信号の伝わり方が悪くても起こる病気です。洞不全症候群では、洞結節から電気信号が発せられないので、心電図を記録すると、数秒から数10秒の心停止が起こっています。
・房室ブロック
洞結節で作られた電気信号は、刺激伝導系という通り道を通って心室に伝わり、心臓全体を規則的に動かしています。しかし、この刺激伝導系が不具合を起こして、信号が伝わらなくなるのが房室ブロックです。

②脈が飛ぶタイプ

脈が飛ぶように打つ不整脈です。一瞬胸がドキッとする、詰まった感じがするなどの自覚症状がある人もいますが、あまり感じない人、まったく自覚症状がない人もいます。

・期外収縮
心臓本来の洞結節で作られる正しい電気信号以外に、心室や心房で異常な脈が作られてしまう不整脈です。本来の大きな脈の間に、不規則な小さな脈が挟まります。不整脈の中では一番患者さんが多い不整脈です。危険な不整脈ではないことが多いですが、自覚症状が強い場合や、頻発して起こる場合などは治療の対象となります。

③脈が速くなるタイプ(頻脈)

生活の中で、何をしたわけでもないのに、突然心臓がドキドキと感じられます。規則正しく早く打つ場合と、不規則にドキドキする場合があります。頻脈には危険な不整脈が多く、命に関わるものもありますので、できるだけ早く循環器内科専門医へ受診しましょう。

・心房細動
高齢者に多く見られる不整脈で、通常洞結節でのみ発生する電気信号が、心房でも不規則に生じてしまいます。このため、心房は痙攣をするような動きとなり正常な収縮ができず、心房内で血液がよどむことになります。よどんだ血液内では血栓が作られやすく、この血栓が脳に運ばれて詰まれば脳梗塞(脳卒中)が起こります。
・発作性上室性頻拍
本来洞結節のみで生じ、心臓の中を一方通行で伝達される電気信号ですが、電気回路で不都合が起き、電気信号の空回りが起こります。危険であることは少ない不整脈ですが、突然はっきりと始まる、あるいは一日に何度も起こる場合は、生活に支障が出ますので、治療の対象となります。
・心房粗動
心房細動と似ていますが、心房細動が不規則な脈を打つのに対して、心房粗動は規則的に脈を打つこともあります。しかし、血液をしっかり送り出すのには不十分な収縮しかできないので、心房内で血液がよどみ、血栓ができやすくなります。
・心室頻拍
期外収縮が心室で高頻度に起こります。心機能が低下するような病気の患者さんには、突然死の危険がある不整脈で、治療が必要です。
・心室細動
心室が痙攣して、1分間に300回以上不規則な脈を打ちます。不整脈の中では最も突然死のリスクが高く、緊急治療が不可欠な不整脈です。

不整脈はこんな検査をします

・心電図検査
胸に電極を付けて心臓の動きを読み取ります。5分ほどで終了します。
・胸部X線
X線を利用して、心臓の形や構造に異常がないかを調べます。
・血液検査
全身疾患の影響で不整脈が起こることもあります。血液検査では、甲状腺の異常、貧血、腎臓や肝臓などの内臓障害の有無などを調べます。
・ホルター心電図
クリニックで行う心電図検査は、5分程度の記録になりますので、一日のどこで不整脈が起こるかわからない状態では不十分な検査と言えます。ホルター心電図は、電極を付け、小型の記録機械を身に着けて、通常の生活を送っていただきながら24時間記録します。
・運動負荷心電図
不整脈が運動負荷によって増えるのか、減るのかを調べます。階段昇降運動や、トレッドミルでの走行などがあります。
・心臓超音波検査
超音波(エコー)を使って、心臓の形や構造に異常がないかを調べることができます。また、心臓から送り出される血液の様子もわかるので、血液量の測定も可能です。体に負担がかからない検査方法で、安心して受けることができます。

自己判断は禁物!受診しましょう

自己判断は禁物!

不整脈は自覚症状の強弱もさまざまで、心配の要らないものから命の危険があるものまで幅広くあります。そのため、自己判断せず、この程度なら大丈夫などと軽く見ず、できるだけ早く循環器内科専門医へ受診して、正確な診断と適切な治療を受けるようにしましょう。