視野が欠ける…緑内障と間違えやすい病気はどんな病気?

視野が欠ける…緑内障と間違えやすい病気はどんな病気?

この記事の監修ドクター|森田 哲也先生(もりた眼科クリニック)

認緑内障は視野が欠けていく病気ですが、緑内障以外にも似た症状が現れる病気があります。

緑内障は視野が欠けていく病気です

緑内障による狭まる視野のイメージ

緑内障は、見えない部分(暗点と言います)が増えたり大きくなったり、見える範囲(視野と言います)が狭まっていく病気です。普段、人は両目で物を見て左右それぞれの目を補い合っているため、暗点や視野の異常に気付きにくくなっています。症状を自覚したときには、かなり進行しているというケースが多い病気です。

視野が欠けていく、視野障害という症状で似通っている、緑内障と間違えやすい病気について見ていきましょう。

緑内障と間違えやすい病気

視神経症

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虚血や外傷などが主な原因ですが、原因不明のケースも多くあります。虚血性のものは、視神経に栄養を供給する血管に詰まり(梗塞)や炎症による閉塞などが起き、血行障害によって視神経が障害される病気です。外傷性のものは、事故などで頭の前部を強く打った後などに起こります。視神経の挫傷が原因となります。

原因不明の視神経症も多く、中高年に起こりやすいとされています。突然の視力低下が起こり、短くて数分、長くて数日かけて急激に視力が低下します。視力低下の前後に目が痛くなる場合もあります。髪をとかすときや食べ物を噛むときに痛みが出たり、全身の痛みや疲労が伴うこともあります。

視力の異常は片目だけで起こるケースが多いですが、両目同時に起こることもあります。視野障害として視界中央の暗点や、上下どちらかの視野が欠ける水平半盲も起こり、数秒から数分でもとに戻るという出現を繰り返すこともあります。

下垂体の病気

両目の視神経が目の奥で交差する部分を視交叉と言います。その視交叉の真下に下垂体というさまざまなホルモンを作り、分泌し、調整を行っている場所があります。

この場所で腫瘍ができることを下垂体腺腫、この腫瘍が出血したり血管を詰まらせてしまう病気を下垂体卒中と呼びます。これらの病気が起こると、下垂体の真上にある視交叉を圧迫して視神経を障害してしまい、視野障害が起きることがあります。

下垂体の病気では、両目の外側(耳側)が見えなくなる両耳側半盲という特徴的な視野障害を起こします。

頭蓋内の病気

頭蓋内での腫瘍や出血によって視神経が障害されて緑内障と似た症状を起こすこともあります。脳内の腫瘍(脳腫瘍)や出血(脳卒中)などによって視神経が圧迫されたり、障害されて視野障害が起こります。

多くの場合、手や足の片方のみが麻痺する片麻痺や、言葉がうまく発せないなどの言語障害、もの忘れが多くなるなどの症状を伴います。視野障害は左右どちらかが見えにくくなる半盲や、物が二重に重なって見えるなどの症状で起こります。

いずれの病気も早期治療が大切です

上に挙げた病気はいずれも進行性のものや、治療が遅れると重い後遺症が残る病気ですが、早期発見と早期治療によって症状や後遺症を軽く抑えることができます。小さな異常を見逃さず、早めの受診を心がけましょう。