短期間で失明の危険もある急性緑内障発作とはどんな病気?

短期間で失明の危険もある急性緑内障発作とはどんな病気?

この記事の監修ドクター|森田 哲也先生(もりた眼科クリニック)

急に激しい眼痛と頭痛が現れる急性緑内障発作。症状や原因を知って、早期発見と早期治療を目指しましょう。

急性緑内障発作の症状とは

緑内障は眼圧という目を保つ圧が異常に上がり、視神経が障害される病気です。慢性的な緑内障の場合は徐々に眼圧が上昇しますが、急性緑内障発作の場合は急激に正常値の3倍から5倍の眼圧に上昇します。そのため突然の激しい眼痛や頭痛、吐き気や嘔吐などが現れます。

急速に視野が悪くなる自覚があり、視力も低下します。片目のみで起こることも多いですが、発作を起こした場合はもう片目も起きやすくなることが分かっています。

急性緑内障発作はどうして起こるのか

目の構造 断面図

目の内部では房水と呼ばれる水が作られ、目の中を巡って一定の眼圧を保ち、角膜と虹彩(茶目)の間にある隅角と呼ばれる箇所から流れ出ています。急性緑内障発作は閉塞隅角緑内障とも呼ばれ、この隅角が閉じてしまうために房水が排出されず、眼圧が上がります。

特徴として、遠視のためにもともと隅角が狭い人に起こりやすいとされています。急性緑内障発作はストレスや疲労、体調不良や急に暗い場所へ行ったなど目の負荷により、隅角が完全に閉じて急激に眼圧が上昇して起こります。

また、虹彩の裏側にある水晶体は加齢とともに膨張し房水のスペースを狭めていくため、この病気は中高年に起きやすいと言えます。

急性緑内障発作の治療とは

レザー治療イメージ

点眼治療のみでは再び発作を起こす危険がありますので、レーザー治療もしくは手術治療が必要になります。

レーザー治療

レーザーを使って虹彩に穴を開けてて房水の出口を作り、流れを変えて眼圧を下げます。急性緑内障発作の治療としてだけではなく、予防としても有効な治療法です。

手術治療

レーザー治療が不可能な場合などに行われます。虹彩を切除する手術または白内障の手術を行います。白内障の手術は虹彩の裏側にある水晶体を砕いて取り除き、人工レンズに置き換える治療法です。なぜ緑内障発作に白内障の手術が有効かというと、厚い水晶体を薄い人工レンズに置き換えることで房水のスペースを増やすことができるからです。

急性緑内障発作は失明の危険があります

急性緑内障発作は治療をせずにいると、1週間ほどで失明してしまう危険のある病気です。失明に至らなくとも失われた視野は回復しませんので、一刻を争う治療が必要な病気です。

しかし、頭痛と吐き気が起こるため間違えて内科や脳神経外科に受診してしまうケースも多く、治療開始が遅れてしまうことも多い病気です。急に激しい眼痛や頭痛が起きた時は、急性緑内障発作である可能性を思い出し、早期発見と早期治療を目指しましょう。