失明に近づく「緑内障」の危険性!!

失明に近づく「緑内障」の危険性!!

この記事の監修ドクター|梶原 一人先生(眼科かじわらアイ・ケア・クリニック)

緑内障という病名を聞いたことがあっても、果たしてどんな病気なのかピンと来ない人が多いのではないでしょうか。白内障と似た名前、しかもどちらも色が入っているので、緑内障は何かが緑色に見えるのかな?などと思ってしまいますね。

緑内障とはどんな病気?

緑内障とはどんな病気?

白内障はその名のとおり、瞳に白みがかったベールが覆いかぶさるようになりますが、緑内障は瞳が緑色になるわけではありません。ではなぜ緑という字があてられたかというと、これにも諸説あり、例えば昔のヨーロッパの教科書に緑内障は緑色に瞳が濁る病気だからと書かれていたことで、緑という字があてられたとも言われています。

そんな緑内障は、視野の一部が欠落して見えづらくなる病気です。その原因は眼圧の上昇によるものであるとされていましたが、最近では、日本人の場合、眼圧が正常なのにこの病気にかかる患者が多くみられることが分かっています。緑内障は進行する病気ですが、日本人の場合、進行が非常に緩慢であることが多く、早期の治療で進行を遅らせることがポイントになります。

日本人に多い緑内障の特徴は?

日本人に多い緑内障の特徴は?

先ほど書いたように、緑内障はかつて、眼圧の上昇が原因で視野が狭くなり、進行することで見えない範囲が広がり、最後は失明に至るとされていました。確かに進行の早い緑内障もあります。その場合、治療は困難です。

しかし、日本人がよくかかるのは、このようなタイプではなく、進行が非常に緩慢な、正常眼圧緑内障と呼ばれるものです。このタイプの場合、原因がよくわかっていません。正常眼圧緑内障は、日本人にとっては非常にメジャーな目の病気で、40歳以上で20人に1人が発症します。

正常眼圧緑内障は、これまで言われていた進行の早いタイプのと異なり、進行がゆっくりであることから、緑内障に気づかず、実に9割の人がかかっていることに気づいていないと考えられています。そのため、健康診断などで眼圧検査を受け、異常がないか調べることが大切です。

緑内障の診断

緑内障の診断

健康診断などのの際、眼底検査、視野検査も一緒に受けることで見つけやすくなります。これらの検査を受け、眼圧が高く、視野が欠けており、視神経に障害が出ていると、緑内障の可能性が高いと診断されます。その後、必要に応じ詳細な検査をした上で、最終的な判断を下します。

緑内障の原因は?なりやすい人はいるの?

正常眼圧緑内障はどうしてかかったのか、その原因がよくわかっていません。しかし、かかりやすい傾向というものがあり、例えば、眼圧が高かったり、近親者に緑内障の人がいたりする場合、また、高齢者や片頭痛持ち、近視の場合も緑内障にかかりやすい傾向があります(必ずかかるわけではなく、かかりやすい因子があると考えられています)。一方、先天性緑内障や発達性緑内障、続発性緑内障などは罹患の原因が明確な緑内障です。

緑内障の治療の流れ

緑内障の治療の流れ

緑内障の治療は、薬物、レーザー、手術の3つがあります。基本は点眼薬を使い、眼圧を下げる治療法が採られます。正常眼圧緑内障であっても眼圧を下げる療法が採られます。そうすることで、進行が非常にゆるやかになり、緑内障にかかっていても、日常生活に何ら支障のない状態をキープすることができるからです。

それでもなかなか眼圧が下がらない場合、何種類かの点眼薬を並行して使い、治療します。これで効果が見られなければ、レーザーを使い眼圧を下げる治療をします。点眼薬、レーザーでも眼圧が下がらない場合、最終的には線維柱体切除術、あるいは線維柱体切開術といった手術を行い治療します。

若年層にも広がっている!?早めの受診を!

若年層にも広がっている!?早めの受診を!

緑内障は失明のリスクの高い病気ですが、それは緑内障になったのに何もせずに放置していた場合です。適切な治療を受ければ、進行を止めることができます。もともと中高年に多い病気ですが、パソコンやスマートフォンの普及により、最近は若い人でもこの病気を発症することがあります。おかしいな、と思ったら放置せずにきちんと眼科で受診しましょう。また、健康診断などを定期的に受けることも大切です。