この記事の監修ドクター|髙木優樹先生(糀谷こどもクリニック)
子どもの低身長の検査は、実際はどんなことをするのでしょうか?持ち物や検査内容、目的などを事前に知って、余裕を持って受診しましょう。
子どもの身長が気になるときは小児内分泌科へ
子どもの身長が低いかなと気になるときは、まずかかりつけの小児科に相談するのが良いでしょう。その上で、治療が必要かどうかについては、低身長の専門医である、小児内分泌科や内分泌内科にかかって調べる必要があります。かかりつけの小児科に、紹介状を書いてもらう必要がある場合もあります。
専門医にかかるときは、描いた成長曲線や母子手帳、学校などでの身体測定の記録などを持って行くと良いでしょう。最近の記録だけでなく、生まれたときからの記録など、情報は多いほど、診断に役立ちます。
検査の前に、身体測定と問診があります。問診で聞かれることは以下のような事柄です。
- 出生時の様子や異常の有無
- これまでにかかった病気や薬の服用
- 家族の成長の様子や身長
- 小さい頃や普段の食事や睡眠などの生活習慣について
これらの情報から病的な低身長が疑われるときは、検査が行われます。
低身長が疑われるときは、こんな検査をします
外来で行う検査
- ①血液・尿検査
- 血液中の骨を伸ばす成分や、成長に影響するホルモンの量や異常を調べることができます。成長に影響するホルモンは、成長ホルモン、甲状腺ホルモンなどです。
慢性疾患に伴う低身長の可能性も考え、一般的な血液検査(肝機能、腎機能、栄養状態を見る検査)、尿検査(尿糖、尿たんぱくの有無確認)も行います。染色体の検査を行うこともあります(女児の場合)。 - ②骨年齢検査
- 手のレントゲン検査を行い、骨の成熟度を見ます。骨は成長段階によって形が違うため、性別や年齢が同じ子どものデータと比較して、異常を調べます。低身長の子どもの骨は、実際の年齢よりも成長が大きく遅れていることが多いのです。
また、成長中の骨の端には、骨端線といって、骨が伸びるための隙間がありますが、その有無を調べることで、今後身長が伸びるかどうかを予測することもできます。骨端線が無い場合は成長期が終わって、大人の骨になっているということもわかります(高校生以上)。
こんなときは入院して検査を行います
成長曲線が急激、あるいは徐々に離れて行く場合
ある時期を境に、平均身長と成長曲線の差に変化が見られるケースもあります。成長曲線がそれまでよりも平均身長との差を増して行く、横に流れて行くなどの変化です。この場合は、肝臓や腎臓、心臓や脳など、何らかの臓器の病気が隠れていることが考えられます。特に脳腫瘍の有無確認が重要で、頭部CT検査や、MRI検査を行います。
外来検査で異常が見つかった場合
成長ホルモンの分泌が少ないことが考えられますので、成長ホルモン分泌刺激(負荷)検査を行います。睡眠中に分泌される成長ホルモンを分泌させる成分を、経口あるいは注射で摂取します。その前後と30分ごとの採血で、成長ホルモンがしっかり分泌できているかどうかを調べます。
検査は治療の第一歩
低身長の原因となる病気はさまざまです。それら全ての病気を疑って検査をするため、低身長の検査は数が多く、日数もかかります。子どもに負担がかかることもありますが、隠れた病気が見つかることもありますので、ちょっと踏ん張りどころです。
原因となる病気が見つかれば、その治療が始まります。確かな診断を下すことが、低身長の治療の第一歩です。身長が気になる場合は、まず小児内分泌科専門医を受診しましょう。