低身長の原因に慢性疾患!?こんな病気が隠れている場合も

低身長の原因に慢性疾患!?こんな病気が隠れている場合も

この記事の監修ドクター|髙木優樹先生(糀谷こどもクリニック)

気になる子どもの身長の変化に、慢性疾患が隠れていることがあります。どんな変化に注意が必要で、どんな疾患が考えられるのでしょうか?

身長の伸び方、こんな変化に注意!

身長を測る母娘

低身長は、実際の身長と平均身長の差が大きいことで見つけることができますが、ある時期を境に平均身長との差が開いて行く、急に成長率が悪くなったという場合は、臓器の慢性疾患が隠れていることがあります。
もともと平均近くで推移していた身長が、横ばいになった、伸びなくなったなどの変化が見られたら、大きな慢性疾患が隠れているかもしれないことを知っておきましょう。上記のような変化が見つかった場合は、早めの受診をお勧めします。

低身長の原因になる慢性疾患には
こんなものがあります

腎臓や肝臓、脳や心臓、消化器などの臓器に疾患があると、摂取した栄養の取り込みが上手にできなくなり、結果として身長が伸びなくなることがあります。これら臓器の疾患を原因とする低身長の場合、ある時期を境に、成長曲線が横倒しになり、成長率が著しく悪くなります。

慢性疾患を原因とする低身長を「器質性低身長」と言います。低身長を心配して受診したら、臓器の慢性疾患が見つかったというケースも見られます。器質性低身長の場合は、まず慢性疾患の治療から行い、慢性疾患の改善が見られると、身長も伸び始めることが多くあります。

腎臓の疾患と低身長

幼児用トイレ

小児慢性腎臓病は低身長を伴うことが多い疾患です。主な症状は、低身長の他に、食欲低下や倦怠感、動悸や息切れ、むくみなどが自覚症状として起こります。また、水分を多く欲しがる、尿の量が多いなどもよく見られる症状です。

腎機能の低下によって、尿で排出されるべき老廃物が体内に留まることになり、全身に影響が出る疾患です。治療は、腎臓に負担を掛けないための食事療法と、それぞれの症状に対する対症療法が中心です。

脳の疾患と低身長

目をこする女の子

低身長は脳腫瘍を原因として起こることもあります。骨を伸ばし、身長を伸ばすのは成長ホルモンの作用ですが、この成長ホルモンを分泌しているのが、脳下垂体です。この脳下垂体の近くに脳腫瘍ができると、脳下垂体が圧迫されて機能が障害され、成長ホルモンの分泌が悪くなることがあり、そのため低身長が起こります。

脳下垂体は目の近くにありますので、ここが障害されると視力の低下や視野が削られる症状が起こります。しかし、症状がゆっくりと進行することが多く、気付かないケースも多く見られます。他にはけいれんが起きることも多い疾患です。

脳腫瘍の治療は、手術で主要を取り去ってしまう方法が主流ですが、放射線治療や抗がん剤治療が行われることもあります。低身長に対しては、脳腫瘍が完治したのち、2-3年の間に再発を認めないことを確認したうえで、成長ホルモンを定期的に補充し、成長を促します。

心臓の疾患と低身長

小児の場合は多くが先天性心疾患によるもので、新生児期に心雑音を契機に診断され、体重増加不良、呼吸が早い、疲れやすい、等の症状を認めます。低身長、低体重をしばしば認めますが、低身長を契機に診断されることは比較的まれです。手術等の治療が奏功し完治すると見違えるように身長・体重が増えていくことをしばしば経験します。

慢性疾患が原因?気になる低身長は受診を

子供の診察風景

子どもの低身長と言うと、成長ホルモン分泌不全症が思い浮かびがちですが、臓器の慢性疾患が隠れていることもあるのです。実際に、低身長を疑って検査をしたら、慢性疾患が見つかったというケースもあります。

低身長が気になるときは、やはり、成長曲線を描いてみるのが大切です。成長曲線の変化の仕方で、隠れた病気を早期発見できることもあります。心配なことがある人は、早めに小児内分泌科専門医を受診しましょう。